米、国民にマスク着用を推奨 トランプ氏発表 新知見で方針転換
2020年4月4日 9:43 発信地:ワシントンD.C./米国 AFP
米ホワイトハウスで新型コロナウイルスに関する定例記者会見を開くドナルド・トランプ大統領(左)とマイク・ペンス副大統領(2020年4月3日撮影)
【4月4日 AFP】(更新)ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は3日、
新型コロナウイルス流行の拡大防止に向けた米政府の新たな方針として、国民に対し
外出時のマスク着用を推奨すると発表した。
トランプ氏はホワイトハウス(White House)で開いた記者会見で、米疾病対策センター(CDC)が人々に対し何らかの方法で顔を覆うよう要請していると説明。ただ、医療用マスクについては医療従事者が利用できるように入手を控えるよう促した。
トランプ氏は、着用は「任意だ」と強調。「する必要はないし、私はしないことにした。ただ、一部の人々がしたいなら、問題ない」と述べた。記者会見の出席者にマスクをしていた人は一人もいなかった。
従来は、患者とその世話をする人のみがマスクをすべきだとされていた。しかし最近になって、それ以外の人もマスクをすべきことを示す科学的根拠が出てきたと複数の米保健当局高官がマスコミに語っていた。
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長は3日、FOXニュース(Fox News)に対し、マスク着用のガイドラインを変更する理由として、「新型ウイルスはせきやくしゃみだけでなく、会話をしただけでも伝染するという最新の情報がある」と語った。
その数日前には米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド(Robert Redfield)局長が、感染者の最大4分の1が無症状の可能性があると述べていた。
■マスクで飛沫減少、一方で防護具が汚染源になる恐れも
米科学アカデミー(NAS)は1日、この問題に関する最近の研究結果をまとめた書簡をホワイトハウスに送付。その中で、最終的な結論はまだ出ていないものの、「現在入手可能な研究結果は、通常呼吸によるウイルスのエーロゾル(エアロゾル)化と整合性がある」と説明した。
米保健当局はこれまで、新型コロナウイルスの主な感染経路は感染者のくしゃみやせきにより出る直径1ミリ程度の飛沫(ひまつ)だとしていた。この飛沫は直ちに約1メートル先へと落下する。だが、感染者が息を吐いた際にウイルスが超微細な霧状の粒子「エーロゾル」となって浮遊することが可能であれば、ウイルスの拡散阻止がより困難となり、顔を覆う必要性を裏付けることとなる。
米科学アカデミーは香港と中国で行われた2つの研究に言及。香港の研究によると、マスクを着けた新型コロナウイルス感染症患者からの飛沫やエーロゾルはマスクを着けていない患者より少なかったという。
一方、中国の研究によると、武漢(Wuhan)の複数の病院を調べた結果、患者用トイレと医療スタッフが防護具を脱ぐ部屋でウイルスのエーロゾル化が顕著だったとしている。防護具を脱いだ際に微粒子が空中に舞い上がった可能性があり、医療従事者が使う防護具が汚染源になる恐れが浮上した。米科学アカデミーの専門家らは、これらの微粒子は呼吸で体内に取り込まれる大きさではないが、手などに付着する恐れがあるとしている。
米国各地の新型コロナウイルス感染者数(2020年4月3日午前8時現在)
米ニューヨーク市内の新型コロナウイルス感染者数を地域別に示した図。