ごみ未回収問題、中国に責任転嫁する韓国環境部
2018/04/04 11:02 朝鮮日報
先月下旬に降ってわいた「廃ビニール回収中止」問題は、中国の廃資源輸入中止に端を発するものとされていたが、実際には
韓国環境部(省に相当)の方針変更によるものだとリサイクル業界関係者が3日、主張した。
これは、「廃棄プラスチック回収中止は中国の禁輸措置が主な理由だが、廃ビニールは中国にほとんど輸出されておらず、
大部分が韓国国内で処理されているのに、環境部が中国のせいにしている」というものだ。
韓国環境公団によると、全国の各家庭から出た廃ビニール(生活廃棄物)41万8000トン(2016年基準)の70%以上は固形燃料
(SRF)に再生されて発電所などに販売され、残りはほとんどが国内で焼却・埋め立てされていたという。全発生量の25%が中国に
輸出される廃プラスチックとは処理経路が完全に異なるのだ。
問題は、前政権が再生可能エネルギーとして積極的に導入した固形燃料が、今ではPM2.5などの粒子状物質を排出する
「環境破壊の犯人」とされ、各家庭から出る廃ビニールが厄介者になっていることだ。リサイクル業界関係者は「発電所などの
SRF需要が減っている上、政府の取り締まりが強化されているので、廃ビニールを回収する理由がなくなった」と話した。
今回の廃プラスチック回収中止問題は、廃ビニールから始まり、ペットボトルなどほかのプラスチック容器にも拡大している。
ところが、きっかけとなった廃ビニール回収拒否問題は「環境部の一貫性のない方針が最大の原因」だという。リサイクル業界
関係者は「(現政権になって)粒子状物質に対する警戒心が高まっている上、住民が『汚染物質が出る』などの理由で固形燃料
発電所の建設に反対するや、環境部は昨年からSRF製造工場などに対して集中取り締まりを実施した。これまでSRF製品の納品
を受けていた発電所も搬入に消極的になり、需要が減少したので廃ビニール回収拒否問題が発生した」と語った。
政府は2003年、廃資源エネルギー化などのため、廃ビニールをリサイクルするSRF制度を導入した。この制度により、
廃ビニールのリサイクル量は03年の1732トンから15年は18万8653トンへと約108倍に増えた。
SRFは当時、「廃棄物の処理をしながら発電・発熱が可能な新概念の燃料」として脚光を浴びた。
中国の廃棄物輸入禁止策、世界のリサイクル産業に波紋
【朝鮮日報社説】リサイクルごみ未回収問題、環境活動家出身の無能な政府高官のせいだ
2018/04/03 11:12 朝鮮日報
廃ビニールや使用済みペットボトル、廃プラスチックなどリサイクルごみの未回収問題が政府の対応でいったんは収まっている。
リサイクル業者の多くが4月以降はごみの回収をしない方針だったが、環境部(省に相当)と地方自治体の説得により回収を続ける
ことに同意したのだ。
今回の問題は中国がごみの輸入を中止したことが大きな原因になった。中国はこれまで世界のリサイクルごみや廃プラスチック
流通量全体の半分以上に当たる730万トンを輸入してきた。韓国も国内で発生するリサイクルごみの25%に当たる23万トンの
使用済みペットボトルなどを中国に輸出してきた。ところが中国政府は昨年7月、環境保護を理由に今年1月から24種のリサイクル
ごみの輸入中止を発表した。影響でリサイクルごみの価格が暴落し、収益が出なくなったリサイクル業者がビニールや
プラスチックの回収を拒否したのだ。しかし政府が事前に対策を取っていれば、今回の問題は容易に対処できたはずだった。
欧州連合(EU)は1月から全てのプラスチック製包装紙のリサイクルを義務づけ、また使い捨て紙コップの使用を禁じるなど
数々の対策を講じている。米国も自国の埋め立て処理場を拡大する一方、中国以外の輸出先確保に乗り出している。
ところが韓国だけはこれまで特別な対応をせず、リサイクル業者が集団で回収を拒否した後になってようやく対策に乗り出したのだ。
大統領府の関係者も「批判は受ける」として政府による対応の甘さを認めた。
韓国では現政権発足後、環境部長官や次官に元環境運動の活動家が就任したように、市民団体出身者が政府の要職に任命される
ケースが一気に増えた。しかし一つの部処(省庁)の責任者と副責任者がどちらも市民団体出身者であることに問題はないのだろうか。
もちろん業務の把握や組織の運営にさえ問題がなければ、その斬新さは逆にプラスに作用するだろう。しかし今回の問題は十分に
予測可能で対応に当たる時間的余裕があったにもかかわらず、国民の間に大きな混乱を招いた。これについては環境部として
対応に問題がなかったか改めて究明すべきだろう。
中国は環境規制の緩さと低賃金で世界各国から輸入したプラスチックごみをリサイクルし、製品の原料や燃料などに使用してきた。
ところが中国も国民の所得水準が上がった影響でリサイクルごみの輸入をやめると言い出したのだが、これはある意味やむを
得ないだろう。韓国政府は応急処置ばかりを考えるのではなく、例えば商品の過剰な包装を規制し、包装する場合もリサイクルが
容易な材料や構造にすることで、リサイクルごみの発生自体を抑制する根本的な対策を取りまとめなければならない。
家庭から出されるリサイクルごみの多くは異物が混入しているため、業者は回収したリサイクルごみの40-50%は利用できないと
訴えている。家庭でもビニールや発泡スチロール、プラスチックなどの容器はきれいに洗浄し、中を空にしてから捨てることで、
リサイクルが容易にできるよう、国民の一人一人が意識を持たねばならない。
いまだ山積みの五輪廃棄物に平昌の住民憤慨、気温上昇で悪臭も
駐車場は巨大ごみ集積場に…風で飛散し至る所にごみの山
2018/04/02 22:57 朝鮮日報
「五輪が閉幕して随分たつのに、いつまでごみの山を放っておくのか。風が吹くとごみが村の野山に飛んでいくので環境汚染も
心配される」
平昌五輪(2月9-25日)とパラリンピック(3月9-18日)が閉幕してすでに2週間以上たつが、平昌の至る所にごみが放置され、
住民の不満が高まっている。
2日午前、五輪会場だった平昌・横渓里の駐車場は、巨大なごみ集積場と化していた。この駐車場は平昌冬季五輪組織委員会が、
五輪の来場者のために建設したものだ。広さは1万5000平方メートルに達する。組織委と平昌郡は、来場者数十万人が捨てたごみを
処理するために、駐車場内の5か所にごみ分別用の集積場を設置した。指定のごみ袋に入った一般ごみは平昌郡が、リサイクル可能な
ごみは組織委が処理することになっていた。
しかし、五輪が閉幕しても、リサイクルごみだけでなく一般ごみも処理が遅れている。駐車場内に設けられたリサイクルごみ用の
集積場には、一般ごみも含めてあらゆるごみが山積みになっていた。ごみ分別のために設置された鉄製のキャビネットは、
ごちゃごちゃになったごみが扉の外まであふれ出していた。リサイクルできないごみからは悪臭が漂っていた。長期にわたって
放置されていた上、ここにきて気温が上昇しているからだ。一部のごみは江原道特有の強風で飛ばされ、駐車場のあちこちに
散らばっていた。横渓里のある地区長は「このままでは飛んできたごみで村の谷間がごみ置き場のようになってしまう」と嘆いた。
開会式・閉会式の行われたオリンピックプラザもごみ問題で頭を抱えている。各施設の撤去の際に発生した一般ごみが、
風で市街地に飛ばされているからだ。平昌郡の大関嶺面では先月28日から、地域の雇用事業に従事している作業員たちを
急きょ投入し、市街地を中心にごみの収集作業を行っているが、処理が追いつかず、住民から不満の声が相次いでいる。
平昌郡の担当者は「住民の抗議が激しく、先月8日には平昌組織委員会に対してごみ処理に関する文書を発送した。ごみ問題が
解決しなければ、追加で文書を送る予定」と話した。
平昌五輪組織委のソン・ベクユ・スポークスマンは「駐車場のごみは速やかに作業員を投入して処理する予定」
「(施設物の)撤去過程で発生するごみは、回収にかかる期間を短縮するなどの対策を講じる」と話した。