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「青ワイン」で業界に新風、スペイン学生スタートアップ企業の冒険

2018-12-26 09:22:20 | 旅行・観光地・世界遺産・渡航情報・グルメ

「青ワイン」で業界に新風、スペイン学生スタートアップ企業の冒険

2018年12月25日 20:00 発信地:ポルトゥガレテ/スペイン  AFP


【12月25日 AFP】スペイン・バスク(Basque)地方のある大学生のグループは5年前、産業界に旋風を

巻き起こしたいと考えた。どんな分野でも良かったが、できれば食品や飲料関連の業界にしたかった。

 

 イマノルさん、イニゴさん、ゴルカさん、アリッツさん、タイグさんの5人組は、中でも最も伝統的な

産業を選択した。そして、その伝統故に非常に保守的だったワイン業界に、画期的な青色のワインなどを

送り込み、新風を吹かせた。

 

 彼らはバスク大学(University of the Basque Country)で2年間、学内の化学エンジニアや外部の

フードイノベーションセンターなどの協力を得ながら研究を進め、2015年にスタートアップ企業

「ジックライブ!(Gik Live!)」を立ち上げた。

 

 初年度のワイン販売数は3万本で、2017年には50万本に迫った。同社は現在、世界21か国に輸出しており、

そのうち最大の市場は米国、次いでワイン好きで知られるフランスとなっている。最初は5人で始めた会社も、

今では従業員12人を抱えるまでに成長した。

 

 バスク地方の最大都市ビルバオ(Bilbao)北方の町ポルトゥガレテ(Portugalete)にある

同社オフィスのバーで、アイルランド系バスク人の共同創設者タイグ・マッカーシー(Taig Mac Carthy)さん

はこう語った。

 

「多くの人々にとって、ワインは変えてはならない神聖なものだということを、僕たちは理解しています」

「でも僕たちは、何かを変えたいのです。挑戦することを恐れてはいません」

 

■青色のレシピ

 ブルーワインの入ったグラスをちらっと見ただけで、ソムリエはそそくさと退散するだろう。

目が覚めるような青いワイン「ジックブルー(Gik Blue)」は、スペイン国内の数か所のワイナリーで、

伝統的な手順に従って造られている。

 

 どんなレシピなのだろうか?

 

 大量の白ワインに少量の赤ワイン、それにほんの少しの果醪(かもろみ)または搾りたての

グレープジュースを混ぜ合わせる。

 

 青い色は「天然素材とテクノロジー」の融合の結果で、インジゴカルミンと赤いブドウの皮に含まれる

アントシアニンの2種類の色素によって生まれる。だが、それ以上は「企業秘密」だという。

スペインの他の銘柄も後に続き、青いスパークリング・カバなどを売り出した。

 

 一方で、同社は別の種類の商品も次々と生み出している。中には、アールグレーティーを浸出させた

赤ワインや煎茶を浸出させた白ワイン、あるいは「バスタルデ(Bastarde)」と名付けられたスパイシーな

赤ワインなどがある。ネット販売の価格帯は、1本11~13ユーロ(約1400~1700円)で、同社によると

購入者は男女問わず25~45歳が中心だという。

 

 ■二分する評価

  ブルーワインに対する反応は、はっきりと二分される。

 

 仏パリのリッツ(Ritz)ホテルの元チーフソムリエ、ジャンミシェル・デュルック(Jean-Michel Deluc)

氏は「驚きだ」とコメント。ワイン通販サイト「ル・プティ・バロン(Le Petit Ballon)」のブログに

投稿した動画の中で同氏は「私が飲みたいと思うものではないが、悪くはない、かなり良くできている」

と述べている。

 

 一方、英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)は8月にこのワインを取り上げ、

「甘い、非常に甘い、甘すぎる」と評した上、こうした商品は「客寄せ」にすぎないと断じた。

 

 他方で、ワイン情報サイト「スペインワイン市場オブザバトリー(Spanish Observatory of the

Wine Market)」代表のラファエル・デルレイ(Rafael del Rey)氏は青ワインについて、消費者の減少が

続く「保守的な」産業で見られる革新の一つだと述べている。

 

 食事が短時間化し、より軽いワインの需要が増え、またやや甘めの味が好まれるようになってきている中、

「多くの人が魅力的と思えるワインに出会えなくなってしまった」と同氏は説明し、そうした需要に

応える形で青いワインや低アルコールワインといった革新的な商品が誕生していると続けた。

 

 欧州では「ジックブルー」は色が青いことを理由に当局からワインと認定されておらず、商品ラベルには

「アルコール飲料」と表示する必要がある。だが、米国など他の地域では、ワインとして販売できる。

 

 ジックライブ!の共同創設者、アリッツ・ロペス(Aritz Lopez)さん(25)は

「ジックブルーに対する評価が割れることを、私たちは初めから分かっていた」と語った。

同社によると、今のペースでいけば今年の売り上げは150万ユーロ(約1億9000万円)に届きそうだという。

 

 また、マッカーシーさんによれば、同社の青ワインの人気を裏付けるかのように、スペインでは中国製の

模造品も出回っているという。


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