英国も華為締め出しか、単一企業への「過度な依存」調査
【ロンドン】英政府は通信機器の市場シェア動向に関する調査を実施している。業界幹部の間では、
英政府が中国の華為技術(ファーウェイ)に対する追及姿勢を強めている兆候と受け止められている。
英政府は先月、携帯電話会社やインターネット接続業者などの通信会社に書簡を送付し、英国が単一の
ハードウエア会社に過度に依存しているかどうか調査すると通知した。書簡は、ファーウェイには言及して
いないが、通信業界幹部はファーウェイが標的であることは明らかと話している。
英国では、ファーウェイのスマートフォンは人気が高く、無線通信網で使われるアンテナやスイッチなどの
通信機器においても、ファーウェイは高い市場シェアを持つ。また英国の主要ワイヤレス・ネット
接続会社は、すべてファーウェイのハードウエアやサービスを利用している。
だが英政府は7月、政府パネルの調査によると、ファーウェイの通信機器にはエンジニアリング面で
ぜい弱性があり、同社製品を使用する英通信会社にとって新たなリスクになることが分かったとの
見解を示していた。
米政府は、ファーウェイを国家安全保障上の脅威と結論づけた2012年の議会報告書を受けて、
国内市場から同社をほぼ完全に閉め出している。今年に入ってからはさらに踏み込み、トランプ政権と
議会は、すべてのファーウェイ製品を米市場から排除する方向に動いている。こうした中、一部の米国の
同盟国の間でも追随する動きが出ている。
中国通信大手ファーウェイが「当局にアクセスコードを提供」=豪メディア
オーストラリア政府関係者が入手した機密調査報告書はあらためて、中国通信大手の華為技術
(ファーウェイ)と中国当局が緊密的な関係にあることを指摘した。
同報告書によると、中国情報機関は海外で浸透工作を展開するため、ファーウェイの社員に海外の
インターネットのアクセスコードを提供するよう要求していた。
豪メディア「ウィークエンド・オーストラリアン」電子版が3日報じた。
オーストラリア国家安全当局の情報筋はウィークエンド・オーストラリアンに対し、サイバー攻撃や
サイバー諜報活動において中国企業が積極的な役割を果たしていると強調した。
同報道は、報告書に記された中国当局によるサイバー攻撃の対象や実施の具体的な日時について
言及しなかった。また、中国当局によるサイバー攻撃の対象となったのは他国のネットワークで、
オーストラリアのネットワークではないとした。また、中国情報機関がネットワークにアクセスで
きるよう、ファーウェイの幹部に対し、同社が生産販売する通信設備を購入した国や地域または個人に
関する登録情報とパスワード等を提供するよう求めたという。
豪政府は8月、国内通信・情報セキュリティの懸念から、中国通信大手のファーウェイとZTEを、
国内の5G(次世代高速ネットワーク技術)構築から排除した。
一方、ファーウェイは中国当局や人民解放軍との関係を否定し、諜報活動に関与していないと主張してきた。
オーストラリア通信電子局のマイク・バーガス局長は10月29日、キャンベラで開催されたサイバー
セキュリティの関連イベントで、ファーウェイとZTEが「危険性の高い企業」であると指摘した。
また、5G技術の整備は国民生活に関わる重要な通信インフラであるため、豪国内のサイバーセキュリティを
考慮して5G構築から2社を除外することを支持する考えを示した。
だが情報産業に対する中国政府の支配は強まるばかりだ。昨年実施された中国の「国家情報法」では、
中国の情報機関は必要に応じて中国国民・組織・企業に対し協力を求めることができると定められた。
オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)のダニエル・ケーブ(Dannielle Cave)氏はウィークエンド・
オーストラリアンに対して、「国家情報法」の実施で、ファーウェイなどの中国企業が中国当局支配下に
あることが明確になったとの見方を示した。また、ファーウェイが、中国情報機関によるアフリカ連合本部
での盗聴・監視活動に関与している疑いがあると指摘した。
米中央情報局(CIA)は2011年10月に公表した調査報告書で、過去3年間にファーウェイは中国当局から
2億5000万ドル(約283億円)の資金援助を受け、当局のために諜報活動を行ったと指摘した。