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中国は世界の救世主か「戦狼」か。 コロナで浮かび上がる好戦的外交

2020-06-11 05:59:37 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

中国は世界の救世主か「戦狼」か コロナで浮かび上がる好戦的外交

2020年6月8日 8:00 発信地:北京/中国   AFP

 

中国は世界の救世主か「戦狼」か コロナで浮かび上がる好戦的外交‹ ›

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中国・北京で、屋外モニターに映し出された習近平国家主席(2020年5月28日撮影)。(c) WANG Zhao / AFP

 

【6月8日 AFP】世界が新型コロナウイルスと闘う中、中国は米国の空白を埋める情け

深い援助者と批判者に立ち向かう好戦的な超大国という二つの役を演じている。

 

「自らの力を隠し蓄える」というスローガンを掲げ鄧小平(Deng Xiaoping)が推進した

控え目な外交戦略の時代は過ぎ去った。中国の外交政策は、2012年に習近平

(Xi Jinping)氏が国家主席に就任して以来、徐々に自信に満ちたものに変わってきている。

 

 中国政府は昨年12月に武漢(Wuhan)から広まった新型コロナウイルス感染症

(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)への対応を非難されたことから、

今年になりこれまで以上に強引な態度を取るようになっている。

 

 政府は大量の医療物資を海外に送り、新型ウイルスと闘うための20億ドル

(約2200億円)の国際援助を約束し、有効なワクチンができたら全世界に提供すると

している。

 

 このような戦略は、経済力を利用して世界で味方を増やし、習氏の鳴り物入りの

経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の拡大により海外での影響力を強めようとする

方針に沿ったものだ。

 

 だがその寛大さと同時に、目的を達成するためには米国、オーストラリア、フランス

など地政学上の敵と激しく対立することも辞さない姿勢もみえてきている。

 これは危険な広報戦だ。

 

「戦狼」

 中国の王毅(Wang Yi)外相は5月24日の記者会見で、中国の姿勢をこう要約している。

「われわれは他国にけんかを売ったり、いじめたりすることは決してないが、それと

同時に原理と度胸も持ち合わせている」「国家の名誉と尊厳を守るためなら、悪意ある

中傷には必ず反撃する」

 

 中国政府は昨年から、皮肉なことに国内では使用が禁止されているツイッター

(Twitter)を使って、共産党が支配する自国を擁護し宣伝する「戦狼」外交を展開

している。

 

「戦狼」という名称は、ランボーをほうふつとさせる特殊部隊の隊員が外国の傭兵

(ようへい)部隊と戦う大ヒット中国映画に由来する。

 

■「苦しい戦い」

 戦狼外交の主要メンバーである外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は、米軍が

新型ウイルスを中国に持ち込んだ可能性があるという驚くべき陰謀説を展開した。

 

 一方、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は、新型ウイルスを

「中国ウイルス」と呼び、武漢の研究所から流出した可能性があると主張し、中国の

国家主義者たちの感情を逆なでしている。

 

 北京で活動するフリーランスの政治評論家フア・ポー(Hua Po)氏はAFPに対し、

「トランプ氏の就任後、中国は米国の弾圧的な外交政策を回避することができなくなり、

もはや控え目な態度を維持できなくなった」と指摘した。

 

 中国政府の怒りの標的は、米国だけではない。

 

 オーストラリア政府が新型ウイルスの発生源と拡大に関する独立調査を求めた

ことから、駐豪中国大使は報復として豪州製品の不買運動をすると警告した。

 

 また、新型ウイルスをめぐる欧州の対応を批判するメッセージを在仏中国大使館の

公式サイトに掲載した問題をめぐりフランス外務省は4月、中国大使を呼んで正式に

抗議した。

 

 さらに欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル(Josep Borrell)外交安全保障上級代表

(外相)は5月25日、EU加盟27か国はアジアの巨人に対して「より強固な」戦略を

取らなければならないと述べた。

 

 英ロンドン大学(University of London)東洋アフリカ研究学院(SOAS)で中国研究院の

代表を務めるスティーブ・ツァン(Steve Tsang)教授は、特に新型ウイルス危機によって

中国当局の信頼性は揺らいでいるが、中国政府の外交政策は中国共産党の利益が

第一であり、その権力の維持が優先されると説明する。

 

「攻撃的なプロパガンダと『戦狼外交』は多くの西洋諸国を敵に回したが、中国の

政策というはるかに重要な目的のために支払われる代償にすぎない」とツァン氏は述べた。

 

 米ペンシルベニア州にあるバックネル大学(Bucknell University)で政治学を教える

ジクン・シュ(Zhiqun Zhu)教授は、中国は「国際的なイメージを改善するための

苦しい戦いに直面する」と指摘する。

 

「中国のソフトパワーは弱く、その話は公式プロパガンダにすぎないとされ、軽く

あしらわれている。このため中国が広報戦に勝てるとは思わない」

 

中国・北京で行われた定例会見で、質問に答える外務省の「戦狼」主要メンバー趙立堅報道官(2020年4月8日撮影、資料写真)。(c) GREG BAKER / AFP

 

中国・北京で、全国人民代表大会期間中にオンライン記者会見をする王毅外相(2020年5月24日撮影、資料写真)。(c)NICOLAS ASFOURI / AFP

 


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