ズームの「言論の自由」に懸念、「天安門事件」会議でアカウント一時停止
2020年6月11日 9:54 発信地:ワシントンD.C./米国 AFP
香港のビクトリア公園で、当局が禁じた天安門事件から31年の追悼集会に参加した男性が掲げる、天安門事件で戦車の前に立つ男性の写真(2020年6月4日撮影)。(c)Anthony WALLACE / AFP
【6月11日 AFP】ビデオ会議サービス「ズーム(Zoom)」は10日、中国の天安門
(Tiananmen)広場で多数の民主化活動家が死傷した1989年6月4日の天安門事件を振り
返るビデオ会議を開いた米人権団体のアカウントを一時的に停止していたことを明らかに
した。新型コロナウイルスが流行する中で利用者が急増しているズームでの言論の自由が
守られるのか、警戒する声が上がっている。
米人権団体「人道主義中国(Humanitarian China)」が天安門事件に関するビデオ
会議をズームで行い、250人以上が参加した。同団体によると、天安門事件の記憶を
消し去ろうとしている中国からも多数が参加した。その1週間後に同団体の有料アカウント
が何の説明もなく停止されたという。
この件は米ニュースサイト「アクシオス(Axios)」が最初に報じた。
同団体の共同設立者で天安門事件後に中国当局から指名手配された当時の学生リーダー
の一人、周鋒鎖(Zhou Fengsuo)氏はAFPに対し、問題のアカウントは10日に復旧したと
明らかにした。
ズームも、このアカウントを一時停止し、すでに復旧させたことを認めた。
ズームの広報担当者は、「どのグローバル企業とも同様に、当社も事業を行っている
国や地域の法律に従わなければならない。会議が複数の国にまたがって行われる場合は、
各参加者はそれぞれの国の法令に従うことが求められる」 「当社は、各地の法令を順守
するために取る措置に限度を設けることを目指しており、こういった問題に関係する
プロセスを常に見直し、改善している」と述べた。
影響を受けた人権活動家らは、ズームが中国共産党指導部から直接圧力を受けた
可能性があると怒りをあらわにしている。人道主義中国は、「もしそうなら、ズームは
独裁的政府と共謀して天安門虐殺の記憶を消そうとしていることになる」とする声明を
発表した。同団体は、厳しい検閲が行われている中国にいる人たちと連絡を取る上で
ズームは「不可欠」なものだとしている。