遺伝子組み換え作物は「安全」 米科学アカデミーが報告書
米科学アカデミーから「安全」との報告がありましたが、
大手のGenetically modified food(遺伝子組換えフード・GMフード)会社は方向転換し始めました。
2016年5月31日 猪瀬聖 (ジャーナリスト) +当ブログ補足
米国の遺伝子組み換え市場に異変
遺伝子組み換え大国・米国に異変が起きている。遺伝子組み換え食品の開発や販売を積極的に進めてきた大手食品メーカー が、
相次いで「脱・遺伝子組み換え」を表明。
7月には、全米初となる遺伝子組み換え食品の義務表示が、バーモント州で始まる。背景にあるのは、食に対する 消費者の安全・安心志向の高まりだ。
米国から多くの遺伝子組み換え食品を輸入している日本にも影響しそうだ。
ハーシー、ネスレ、ダノン…
米国最大のチョコレートメーカー、ハー シーは5月2日、チョコシロップの新製品「Hershey’s Simply 5 Syrup」の発売を発表した。
アイスクリームやデザートなどにかけるチョコシロップは、甘い物好きの米国では人気商品。
ハーシーが同社の従来のチョコシ ロップと違う点として強調したのは、非遺伝子組み換え原料のみを使用していることだ。
具体的には、主要原料の砂糖を、サトウキビ由来の砂糖に全面的に切り替える。
砂糖には、主にサトウキビ由来の砂 糖とビート(甜菜)由来の砂糖の2種類があるが、米国で栽培されているビートは、大半が遺伝子組み換え品種。
サトウキビ由来の砂糖だけを使うことで、遺伝 子組み換え原料を使っていないことをアピールする。
食品世界大手ネスレも、4月20日、ハーゲンダッツなど同グループが米国内で販売するアイスクリームの原料を大幅に見直すと発表。
人工着色料や人工香料などの不使用に加え、遺伝子組み換え原料を今後使わない方針を明らかにした。
同じく食品世界大手ダノンの米国法人も、4月27日、ヨーグルトなど同社の主要乳製品に関し、非遺伝子組み換え飼料で育てた牛の乳のみを原料にする
と発表した。
米国は世界最大の遺伝子組み換え大国。家畜飼料や様々な食品の原料となるトウモロコシや大豆は、生産量の90%以上、綿は85%が遺伝子組み換
え品種に切り替わっている。
食品業界の推定では、流通している食品の約80%には、何らかの形で遺伝子組み換え原料が使われている。
米国は同時に、遺伝子組み換え業界にとって天国でもある。
日本やEU(欧州連合)などと違い、遺伝子組み換え原 料を使っていても、メーカーはそうであることを消費者に知らせる法的義務がないためだ。
表示義務化を求める消費者の声は根強いものの、義務化に反対する食 品業界のロビー活動で、法制化の動きはこれまで、ことごとく葬り去られてきた。
バーモント州が全米初の表示規制
ところが、この遺伝子組み換え大国・天国に今、大きな地殻変動が起きている。
ハーシーやネスレなど大手食品メーカーの脱・遺伝子組み換えの動きに加え、7月1日には、米国では初めてとなる遺伝子組み換え食品の表示を義務付
ける法律が、東部バーモント州で施行になる。
同法は、州内で販売されるすべての食品に適用。加工食品は原則、全重量に占める遺伝子組み換え原料の割合が 0.9%を上回る場合、「遺伝子組み
換え技術を使って製造されています」「一部、遺伝子組み換え技術を使って製造されています」などとパッケージに表示し なければならない。
どちらの表示にするかは、遺伝子組み換え原料の含有比率による。違反業者には、1ブランドにつき1日当たり最高1000ドルの罰金が科 せられる。
バーモント州の新法施行が迫る中、これまで表示に消極的だった大手食品メーカーは、手のひらを返すように表示に積極姿勢に転じている。
ゼネラル・ミルズは、施行日を待たずに、同社が米国内で販売するすべての商品に遺伝子組み換え原料使用の有無を 明記し始めた。同社のホーム
ページ上でもすでに同様の情報を掲載。
いち早くラベル表示に踏み切ったキャンベル
キャンベルスープやケロッグ、マーズなど他の大手食品メーカーも、遺伝子組み換え原料使 用の有無を表示する方針を相次いで明らかにしている。
大手メーカーには、いずれ同様の法律が他州でも施行になるから、早めに手を打っておいた方が他社との競争上も有 利との読みがある。
実際、報道によると、全米50州中、30以上の州が現在、同様の法律の制定を検討。
11月の大統領選挙と同時に行われる住民投票で、遺 伝子組み換え表示の可否を問う州もある。
遺伝子組み換えをめぐる地殻変動の原因は、「安全な食べ物を食べたい」「自分が口にする食品が、どこでどうやって作られているのか知りたい」と願う消
費者が、かつてなく増えていることだ。
消費者の4人に3人が支持
米世論調査会社ハリスポールが5月25日に 発表した最新の世論調査によると、米国の成人の75%が、遺伝子組み換え食品の表示義務化を支持。
また、調査会社ニールセンによると、「遺伝子組み換え原 料不使用」と自主表示した食品の売上高は、4月30日までの1年間で212億ドルに達し、
この4年間で64%も増えた。遺伝子組み換え原料の使用が認めら れていない有機食品の売上高も、2015年は前年比で11%伸び、過去最高の397億
ドルに達した。
遺伝子組み換え食品の安全性に対する消費者の懸念を払しょくするかのように、権威ある米国科学アカデミーは2016年5月 17日、遺伝子組み換え作
物は人や動物が食べても安全だとする内容の報告書を発表した。
政府の食品医薬品局(FDA)も、遺伝子組み換え食品の安全性に問 題はないと言い続けている。
しかし、米国では、専門家や政府の見解を鵜のみにする消費者は多くない。
ハリスポールの調査で、消費者の58% が「遺伝子組み換え食品は、長期にわたる研究がないため、人体への影響は未知数」と考えるなど、消費者の間
では専門家も予想できない“想定外”の影響に対 する懸念が根強い。
遺伝子組み換え食品がかりに安全だとしても、「自分が食べる食品がどんな原料でどうやって作られているのか知り たいから、
表示義務は必要」と考える消費者も多い。
バーモント州の法律制定を後押しした市民運動が「Right to Know」(知る権利)を合言葉にしたのは、象徴的だ。
非遺伝子組み換え食品に対する需要があまりにも急速に伸びているため、原料が不足する事態も起きている。
菓子メーカーは遺伝子組み換え原料を使わない製品を作ろうにも、サトウキビ由来の砂糖が不足しているため、
政府に対し砂糖の輸入量拡大を要請しているという。
日本は遅れてしまう。
遺伝子組み換え大国・米国の異変は、多くの遺伝子組み換え穀物や食品を米国から輸入している日本にも影響を及ぼしそうだ。
現在、日本で表示義務の対象となっているのは、原則、遺伝子組み換え原料の含有比率が5%以上の場合に限られて いる。
しかも抜け穴が多い。これに対しバーモント州のルールは、0.9%以上と、日本と大きな開きがある。
バーモント州のルールは他州のモデルになるとみ られており、表示を義務付ける法律が各州で施行になった場合、
「0.9%以上」が基準になる可能性が高い。
ヨーロッパでは、すべての(を含む食品加工食品)、または飼料は0.9%を超えるGMOが含まれている場合ラベルを付ける必要があります。
このままだと、 「5%以上」という日本の表示ルールは、世界の中で「ガラパゴス化」する恐れがある。
今後は、これまでパッケージに遺伝子組み換えの情報が何も記載されていなかった米国からの輸入食品が、
いきなり「遺伝子組み換え食品」に変わる可能性もある。輸入業者はどう対応するのだろうか。また、消費者は何を感じ、どう行動するだろうか。
米国の消費者はGMフードに対して、日本よりも大きな危機感を持っています。
バーモント州から始まるラベル表示は全米に広がっていくと思われます。
GMフードに関連してスターバックスの話題です。
ニール・ヤング(シンガー)「GOODBYE STARBUCKS!!!」宣言(抜粋)
ニール・ヤングが、「これまで毎日列に並んでラテを買ってきたが、昨日が最後になった」とし、
「GOODBYE STARBUCKS!!!」を宣言したのは昨年末のこと。
遺伝子組み換え作物(GMO)の使用を明記する制度を条例化したアメリカ・バーモント州に対し て、
バイオ化学メーカー・モンサントが、条例を差し止める訴訟を起こした。
ニール・ヤングはこの訴訟にスターバックスが加わっているとし、声を上げたの だ。
モンサントは、かつてはベトナム戦争の際にアメリカ軍が空からバラまいた枯葉剤を製造、
その後、牛成長ホルモン剤、除草剤のラウンドアップ、GMOなどで事業を拡大してきた。
とりわけ、GMOについては90%もの世界シェアを持つ。ニール・ヤングは、モンサントの主義主張に同調しようとしたスターバッ クスを名指しすることで、
消費者の知らぬ間に荒らされていく食への危機を訴えたのだ。
「スターバックスは、自社の製品にGMOが含まれているのかどうかという、こちらからの設問に反応しなかった」と批判している。
ブレット・ウィルコックス『日本では絶対に報道されないモンサントの嘘』(成甲書房)を開けば、
同社はGMOを量産し、世界の種子市場を独占してき た挙句、今ではアメリカの国家戦略とも寄り添っているとある。
国務省とモンサントは蜜月関係にあり、農業の世界における『ノーベル賞』とも言われる『世界 食糧賞』の授賞式でケリー国務長官が、
「飢餓と栄養不良を撲滅するために尽力した」「バイオテクノロジーが作物の収穫量を劇的に増やすのは紛れもない真実 だ」と
モンサントの主張をそのまま代弁した。
モンサントがGMOの安全性を示すために使う概念が、米国食品医薬品局(FDA)が提示する「実質的同等」。
先の本から引くと、「実質的同等」とは 「バイオテクノロジーによって改良された作物由来の成分を使った食品はまったく安全であり、
それ以外の食品と異なるところは一切ない」という考え方。大体 一緒だから大丈夫、という乱暴な言い訳を国家が率先して広めようとしている。
彼らは常套句として、「GMOが飢餓を救う」と繰り返す。企業広告としてこんなメッセージが流される。「10億人には十分な食料がありません。
我々 が直面している課題は人口の増加です。
食料供給を増やし、不足している所に届けられるかが我々の課題です(トム・ウィルトラウト / ダウ・アグロサイエンス社)」「10億人が飢えています」。
その多くは小さな農家です。世界の食料危機を解決できるのは我々です(ヒュー・グラント / モンサントCEO)」。
多額の広告費を使ってばらまかれるこれらの見解は、繰り返されることで正義の主張に思えてしまう。
しかし、映画の中でミレニアム研究所代表のハン ス・ルドルフ・ヘレンが断言する。
「私たちは1人1日当り、4600カロリー分の食料を生産しています。必要な量の2倍です。
すでに140億人に十分な食 料を生産しているのです。食料が足りないと主張するのはバイテク産業です」。
食料が足りないのではなく、分配が適切ではないのだ。
「飢餓を救う」「食料危 機を解決する」は、受け手を勘違いさせようと働きかけるトリックでしかない。
モンサントの種子を受け取る側も黙っているわけではない。
この映画で紹介される、ハイチの農民の事例が象徴的だ。
2010年、ハイチ大地震によって
31万人を超える人が亡くなり、首都ポルトープランスを中心に壊滅的な被害が生じ、数百万人がテント暮らしを余儀なくされた。
モンサントは、ハイチに対し て475万トンの種を寄贈した。困窮の中にある農民たちは喜んで受け取ったのか。
否。農民は、その種子を燃やしたのだ。
現地の農民運動指導者がその理由を 語る。「資本主義的な企業の典型的なやり方です。モンサントの目的は利益を得ることです。
彼らの目的は食の安全を保証し生命を守ることではないのです」と 厳しい口調で繰り返す。
スタバのソイラテなどに使用している豆乳は100%クロですね。モンサントと組んでるわけですから当然大豆は遺伝子組換えもの。コストも安
いですし。
英国スタバで悪質な経営をしていたのですから、ここは色眼鏡で見ちゃって良いでしょう。
日本は大豆が殆ど輸入なので大豆加工品はヤバイですが、今のところなるべく避けるということしか対策はないですね。
米国の大手食品メーカーが「脱・遺伝子組換え」に動き出したので少し希望がありますが、モンサントが怪物企業ですから
時間はかかると思います。
遺伝子組換えでない種、生命の源である自然界の種を日本は大事に守り続けて欲しいです。
次回に続く
最後までお読み頂きましてありがとうございます。