G7伊勢志摩サミット主要議題
世界経済・貿易
新興国経済の減速、原油価格の下落、貿易の減退等によって不透明さを増す世界経済が、国際社会の直面する大きな課題となっています。G7伊勢志摩サミットにおいては、世界経済の成長やリスクへの対処について、G7として前向きなメッセージを発出することを目指します。
政治・外交問題
自由、民主主義、法の支配、人権といった基本的価値を共有するG7の議長として、地域や世界の平和と繁栄のために、グローバルな視点に立っ て、最も適切な道筋を示すことにより、世界をリードしていきます。G7伊勢志摩サミットでは、テロ対策、中東情勢、ウクライナ情勢や北朝鮮情勢等、現下の 政治・外交問題について、率直に議論する予定です。
気候変動・エネルギー
昨年12月のCOP21において、「京都議定書」以降の新たな国際枠組みである「パリ協定」 が採択され、我が国も、安倍総理から、2020年における途上国支援増額(1.3兆円)を表明し、年間1000億ドル供与のコミットメントに道筋をつける ことなどを通じて、合意妥結に貢献しました。G7伊勢志摩サミットでは、G7として、COP21の成果をもとに、気候変動に関する国際社会全体の取組を先 導すべく、議論を行います。また、油価下落や地政学的不安など、変化の著しい国際エネルギー情勢を踏まえ、エネルギー安全保障の確保は、国際社会にとっ て、引き続き喫緊の課題となっています。エネルギー政策において、G7が主導的な役割を果たしていくことが求められます。
開発
G7伊勢志摩サミットは「持続可能な開発目標(SDGs)」を中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」 の採択後初めてとなるサミットです。今後のアジェンダの実施には、民間・市民社会を含むあらゆるステークホルダーが参加するグローバル・パートナーシップ が不可欠です。G7として、かかるパートナーシップの下でSDGsを含む2030アジェンダの実施を積極的に主導していく必要があります。また、日本は、 本年8月、国連、国連開発計画(UNDP)、世銀、アフリカ連合委員会(AUC)と共に、ケニアで第6回アフリカ開発会議(TICADⅥ)を開催します。TICADは、国際社会全体でアフリカの開発を議論するための機会であり、G7との有機的な連携を目指します。
質の高いインフラ投資
現在、世界のインフラ投資の需給ギャップは、年1兆ドルに上るとされていますが、短期的かつ量的な視点のみならず、中長期的かつ質的な観点も不可欠です。日本は、長年、アジアを始め、世界において、「質の高いインフラ投資」を推進しており、昨年5月には、安倍総理から「質の高いインフラ・パートナーシップ」を発表しました。G7伊勢志摩サミットでは、国際社会に対して、持続可能な成長に資する形で「質の高いインフラ投資」を実践することの重要性を発信し、G7としてどのような貢献が可能か議論します。
保健
2000年の九州・沖縄サミットでは「感染症対策」を主要議題として取り上げ、2年後に「グローバルファンド」が設立されました。また、2008年の洞爺湖サミットで 感染症対策や母子保健を含め「保健システム強化」の包括的取組に合意しました。G7伊勢志摩サミットでは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)* の推進に向けて、エボラ出血熱などの教訓を受けた公衆衛生危機への対応や、母子保健から生活習慣病・高齢化までを視野に入れたライフコースを通じた保健 サービスの確保等について議論を行う予定です。
*ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
世界中の全ての人が生涯を通じて必要なときに基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられること。
女性
我が国は、「女性が輝く世界」作りに向けた様々な取組を行っています。その一環として、2014年から国際女性会議「WAW! (World Assembly for Women)」を 開催し、海外から多数のリーダーを招き、女性をめぐる様々な課題について包括的に議論してきました。G7伊勢志摩サミットでは、エルマウ・サミットの成果 も踏まえ、教育を含む女性のエンパワーメント、自然科学・技術分野における女性の活躍推進などのテーマを取り上げ、あらゆる分野で女性活躍推進に向けた国 際的機運を高めていきます。
G7 MEMBERS 加国の概要紹介
G7伊勢志摩サミットに参加し、国際的な経済、政治課題について討議する7カ国とEUをご紹介します。
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JAPAN
国名:日本
首脳:安倍晋三首相
人口:1億2,711万人(2015年国勢調査)
面積:37.8万平方キロメートル
首都:東京
過去開催サミット
- 北海道洞爺湖サミット(2008年)
- 九州・沖縄サミット(2000年)
- 東京・サミット(1993年)
- 東京・サミット(1986年)
- 東京・サミット(1979年)
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CANADA
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国名:カナダ
首脳:ジャスティン・トルドー首相
人口:約3,599万人(2015年)
面積:998.5万平方キロメートル
首都:オタワ
過去開催サミット
- ムスコカ・サミット(2010年)
- カナナスキス・サミット(2002年)
- ハリファックス・サミット(1995年)
- トロント・サミット(1988年)
- オタワ・サミット(1981年)
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FRENCH REPUBLIC
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国名:フランス共和国
首脳:フランソワ・オランド大統領
人口:約6,633万人(2016年)
面積:54.4万平方キロメートル
首都:パリ
過去開催サミット
- ドーヴィル・サミット(2011年)
- エビアン・サミット(2003年)
- リヨン・サミット(1996年)
- アルシュ・サミット(1989年)
- ヴェルサイユ・サミット(1982年)
- ランブイエ・サミット(1975年)
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FEDERAL REPUBLIC OF GERMANY
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国名:ドイツ連邦共和国
首脳:アンゲラ・メルケル首相
人口:8,094万人(2014年)
面積:35.7万平方キロメートル
首都:ベルリン
過去開催サミット
- エルマウ・サミット(2015年)
- ハイリゲンダム・サミット(2007年)
- ケルン・サミット(1999年)
- ミュンヘン・サミット(1992年)
- ボン・サミット(1985年)
- ボン・サミット(1978年)
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ITALIAN REPUBLIC
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国名:イタリア共和国
首脳:マッテオ・レンツィ首相
人口:6,080万人(2014年)
面積:30.1万平方キロメートル
首都:ローマ
過去開催サミット
- ラクイラ・サミット(2009年)
- ジェノバ・サミット(2001年)
- ナポリ・サミット(1994年)
- ヴェネチア・サミット(1987年)
- ヴェネチア・サミット(1980年)
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UNITED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
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国名:英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
首脳:デービッド・キャメロン首相
人口:6,411万人(2013年)
面積:24.3万平方キロメートル
首都:ロンドン
過去開催サミット
- ロック・アーン・サミット(2013年)
- グレンイーグルス・サミット(2005年)
- バーミンガム・サミット(1998年)
- ロンドン・サミット(1991年)
- ロンドン・サミット(1984年)
- ロンドン・サミット(1977年)
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UNITED STATES OF AMERICA
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国名:アメリカ合衆国
首脳:バラック・オバマ大統領
人口:3億875万人(2010年米国国勢局)
面積:962.8万平方キロメートル
首都:ワシントンD.C.
過去開催サミット
- キャンプ・デービッド・サミット(2012年)
- シーアイランド・サミット(2004年)
- デンヴァー・サミット(1997年)
- ヒューストン・サミット(1990年)
- ウイリアムズバーグ・サミット(1983年)
- プエルト・リコ・サミット(1976年)
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EUROPEAN UNION
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国名:欧州連合
首脳:ドナルド・トゥスク欧州理事会議長
ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長
人口:5億820万人(2015年)
面積:429万平方キロメートル
欧州委員会所在地:ブリュッセル
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過去開催サミット
- ブリュッセル・サミット(2014年)
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「G7伊勢志摩首脳宣言」の主な内容・・・・・全文はココ
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5月27日 13時51分
三重県志摩市の賢島で、26日に開幕したG7サミット=主要7か国の首脳会議「伊勢志摩サミット」は、27日が最終日で、閉幕に先だって、討議の成果などを盛り込んだ「G7伊勢志摩首脳宣言」を発表しました。その主な内容です。
世界経済「各国が状況に応じ政策総動員」
「G7 伊勢志摩首脳宣言」では、最大のテーマとなった「世界経済」について、「世界経済の回復は続いているが成長は引き続き緩やかで、ばらつきがあり世界経済の 見通しに対する下方リスクが高まってきている」と指摘したうえで、「新たな危機に陥ることを回避するため、適時にすべての政策対応を行うことにより現在の 経済状況に対応するための努力を強化する」としています。
そして、持続可能で均衡ある成長の達成に貢献するための対応策をまとめた「G7伊勢志摩経済イニシアチブ」を打ち出し、「財政戦略を機動的に実施し、構造政策を果断に進めることに関し、G7が協力して取り組みを強化することの重要性に合意する」としています。
また、「3本の矢のアプローチ、すなわち相互補完的な財政・金融及び構造政策の重要な役割を再確認する」として、機動的な財政出動をはじめ金融政策、構造改革など、G7各国が状況に応じて政策を総動員して世界経済を支えていく姿勢を強調しています。貿易「市場をわい曲する補助金など懸念」
「貿易」の分野では、中国で過剰に生産された鉄鋼製品などが各国の産業に悪影響を及ぼしている問題を念頭に、「市場をわい曲し、世界規模の過剰生産能力を助長する、政府や、政府によって支援された機関による補助金などについて懸念する」と指摘しています。
そのうえで、この問題への対応策として、支援の実態を明らかにしたうえで、その排除を求めていくことなどを通じて市場機能を向上させるとしています。テロ対策 「平和的共存、包摂的な対話を促進」
テ ロおよび暴力的過激主義対策について、あらゆるテロを強く非難したうえで、「市民などを対象とし、過激派組織IS=イスラミックステート、アルカイダ、そ のほかのテロ組織によって行われる攻撃、残虐行為、人権侵害は、平和と国際の安全並びに、全人類に共通の価値、原則に対して深刻な脅威をもたらす」と指摘 しています。
そのうえで、「我々は暴力と憎悪の連鎖を断ち、暴力的過激主義の発生、まん延を防止するため、意見、文化、信仰の相違がどこに存在しようとも、平和的共存、多様性の尊重、寛容性、包摂的な対話を促進することにコミットする」としています。海洋安全保障「東シナ海や南シナ海を懸念」
海洋安全保障の分野について、海洋進出の動きを強めている中国を念頭に、「緊張を高め得る一方的な行動を自制し、自らの主張を通そうとするために力や威圧を用いないことや、紛争解決には仲裁手続きを含む平和的手段を追求すべきことの重要性を再確認する」と指摘しています。
そのうえで、「東シナ海や南シナ海における状況を懸念し、紛争の平和的解決の根本的な重要性を強調する」として、中国を直接、名指しすることは避けながらも具体的な海域を明記して懸念を表明しています。北朝鮮「最も強い表現で非難する」
北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射について、「最も強い表現で非難する」としたうえで、北朝鮮に対し今後いかなる挑発行動も行わないよう要求しています。
また国際社会に対し、北朝鮮に対する国連の安全保障理事会の制裁決議を完全に履行するよう呼びかけています。また拉致問題について、北朝鮮に直ちに対処するよう強く求めています。ウクライナ情勢「ロシアのクリミア併合を改めて非難」
ウ クライナ情勢について、「我々は外交手段によって、また国際法、特にウクライナの主権、領土の一体性および独立を尊重する法的義務の完全な尊重によっての み解決され得るとの確信をもって連帯する」としたうえで、ロシアに対し、「クリミア半島の違法な併合に対する我々の非難を改めて表明し、併合の不承認政策 および関係者に対する制裁を再確認する」としています。
さらに、去年2月の停戦合意に違反して継続的に行われている暴力に懸念を示したうえ、停戦の完全な履行に向けて、「具体的な措置をとることを要請する」としています。