平成29年1月15日(現地時間)、安倍総理は、インドネシア共和国のジャカルタを訪問しました。
総理は、日本語パートナーズとの懇談を行った後、元日本留学生による表敬を受けました。次いで、ビジネス会合に出席し、その後、歓迎式典に出席しました。続いて、インドネシア共和国のジョコ・ウィドド大統領と会談を行い、その後、共同記者発表を行いました。最後に、ジョコ大統領夫妻主催の歓迎晩餐会に出席しました。
歓迎式典
総理は、日本語パートナーズとの懇談で次のように述べました。
「ここインドネシアでは、世界で2番目に多い日本語学習者が日々学んでいます。日本語パートナーズの皆さんは、それぞれの高校で、
先生、学生の文字どおりパートナーとして日本語の授業をサポートされてきました。慣れない海外生活の中で、日々奮闘されている皆さ
んに心からエールを送りたいと思います。
また、パートナーズの皆さんは、日本語だけではなく、折り紙、書道、和食等、日本文化も紹介しておられると伺っています。たまたま
この前、お正月に久々に鶴を折ったんですが、50年ぶりくらいに折ったらうまくいきませんで、これは妻に言われて、真珠湾に贈るとい
うプロジェクトで鶴を折って、名前を書いて贈ったんですが、たまたま向こう側がこの鶴をインターネットにアップしましたら、日本の総理
大臣としては下手だというコメントが寄せられました。私は大変ショックを受けたわけでありますが、そうした様々な日本の文化を今広め
ていただいている、やはり日本の文化を知るということは、日本人の考え方を知るということにもつながってきていると思いますので、大
変大切なことだと思っております。
さらに、皆さんは派遣された地域の方との触れ合いを通じ、日本紹介の発信のみならず、インドネシアについての理解も深められ、相
互の交流に努められていると聞いています。こちらにいらっしゃる日本語の先生におかれては、日々の指導において、パートナーズの
皆さんから様々なことを吸収し、日本語の授業を更にグレードアップしていただきたいと思います。生徒の皆さんにおかれては、パート
ナーズと日々交流する中で日本語能力を更に高め、パートナーズを通じて日本語を更に好きになっていただきたいと思います。先ほど
のお話では、日本語の授業、そして文化の授業が大変楽しいと伺ってうれしくなりました。まず楽しいという感じを持っていただけるこ
と、楽しいと感じていただいていることが大変重要だと思います。そしていつか日本を訪れ、直接日本の文化、伝統に触れてほしいと思
います。
日本語パートナーズを通じて、日本とインドネシアとの相互の理解が更に深まり、両国の交流が更に強くなっていく、深まっていくこと
を期待いたしまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。」
また、総理は、元日本留学生による表敬を受け、次のように述べました。
「長年、日本とインドネシアの友好関係に尽力いただいているギナンジャール・インドネシア日本友好協会顧問を始め、元日本留学生
の皆様とこうしてお会いできることを大変うれしく思います。
日本とインドネシアは、長年にわたり、政治、経済、文化、スポーツ等の様々な分野で活発な交流が行われています。強い絆で結ば
れた両国の友好関係は、元日本留学生の貢献によるところが大きいと、感謝申し上げます。
元日本留学生の皆さんが中心となって設立したダルマプルサダ大学も、昨年、創立30周年を迎えたと承知しております。心よりお祝
い申し上げます。
今日、御来会いただいた皆様は、日本の様々な大学や、あるいは、様々な地方の大学で勉強された皆様であります。そして今、様々
な分野で御貢献をしておられます。日本とインドネシア、そして皆さんが卒業された大学とインドネシア、また皆さんが勉強された地方と
インドネシアの架け橋として、これから大いに御貢献いただくことを期待したいと思います。」
日本・インドネシア・ビジネス会合 安倍総理スピーチ
本日は、「日本・インドネシア・ビジネス会合」に出席させていただき、両国の経済界の熱気を今こうして感じることができて、大変うれしく
思います。
日本側はもちろんなんですが、インドネシア側の経済界の方々のお顔も、大変親しくさせていただいている方々のお顔をたくさん拝見
させていただき、うれしく思います。それぐらい、日本とインドネシアの経済分野における関係は、濃密なものになってきていると思いま
す。
「経済協力」という言葉から、真っ先に思い浮かべるのは、インドネシアとの協力でありまして、資源やモノの売り買いから始まり、技術
の移転、研修生の受入れ、投資の展開など、両国の結びつきは、何と、長く、深いことでしょうか。そして、何と多くの日本人がインドネ
シアを訪れていることでしょうか。
日本自身にとっても、インドネシアとの関わりがなければ、これほど発展することはなかったと思います。
若い人たちも多いインドネシアは、活気にあふれ、天然資源にも恵まれ、大きな可能性を実感させます。世界の成長センターである
ASEANの盟主であり、G20のメンバーでもあります。そのようなインドネシアの魅力を感じ、多くの日本企業がここで活動しています。
日本企業ができることは、これからもたくさんあります。日本は、電力を含む質の高いインフラを世界中に展開しています。日本から
のインフラを含む幅広い分野への投資は、若者が技術や経験を習得する機会ともなります。何よりも、インドネシアの経済発展を支
え、雇用を拡大し、人々の豊かさづくりに大いに貢献しています。
政府による経済協力だけではなく、ここにインドネシアに熱い思いを持つ日本の経済人との協力が加わることで、両国の協力関係は
更にレベルの高いものとなります。これは、地域の安定と発展にもつながっていきます。これからも日本の投資が、正に、インドネシア
の皆さんから歓迎される形で、そしてインドネシアの皆さんの生活が豊かになる、インドネシアの成長にも貢献する形で進んでいくことを
大いに期待したいと思います。
先ほど、インドネシアにおいて日本語を学ぶ若者たちと話をする機会がありました。また、日本の大学に留学をした元留学生の皆さん
と話をする機会がありました。こうした皆さんの存在は、日本にとっては大きな財産であろうと、改めてそう思いました。こうした人材を両
国の経済界の皆さんには、是非、活用していただきたいとお願い申し上げたいと思います。
今回のこの会合によって、両国のビジネス界の交流が深まり、理解が深まり、そして、協力が進んでいくことを期待し、そして、両国間
の協力に新たなページを開くことを期待して、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。
首脳会談
戦略的パートナーシップの強化に関する日・インドネシア共同声明
晩餐会
インドネシアに対する円借款の供与
平成29年1月15日
1 本15日(現地時間同日),インドネシアの首都ジャカルタにおいて実施された日・インドネシア首脳会談において,対インドネシア円借款3件の供与に関する事前通報を行いました(供与限度額739億8,800万円)。今回の事前通報を受けて,今後,我が国とインドネシア政府との間で,円借款の供与に関する交換公文を締結する予定です。
2 案件の概要(対インドネシア円借款事前通報案件(PDF))
(1)「ルンタン灌漑近代化計画」(482億3,700万円)
この計画は,インドネシア第2の灌漑面積を有する西ジャワ州チマヌック川流域ルンタン灌漑地区において,灌漑施設の改修,灌漑システムの近代化及び維持管理体制の強化を図るものです。
(2)コメリン灌漑計画(第三期)(158億9,600万円)
この計画は,インドネシア第4の灌漑面積を有する南スマトラ州及びランプン州に跨るコメリン灌漑地区において,灌漑施設の拡張及び改修,灌漑システムの近代化及び維持管理体制の強化を図るものです。
(3)バリ海岸保全事業(フェーズ2)(98億5,500万円)
この事業は,海岸・砂浜侵食が進み,海岸線後退,砂浜消失が深刻化しているバリ島東部海岸及び南部海岸地域において,養浜や護岸等の建設・修復及び関係機関の海岸維持管理に係る支援を行うものです。
3 供与条件
(1) 金利 : 円LIBOR+15bp(変動金利。下限は0.1%。)(コンサルティング・サービス部分に係る金利は0.01%を適用。)
(2) 償還期間 : 30年(10年の据置期間を含む。)
(3) 調達条件 : 一般アンタイド
インドネシアは高速鉄道の件で日本を裏切り中国の大風呂敷に乗ってしまいました。その計画が遅れているのは以前から報道されていまし
た。中国財政にそんな余裕はありませんし、南シナ海で揉めてるのにそんなサービス事業なんてしません。
日本は悔しい想いをしているのですが、そんな事をおくびにも出さずニコニコ顔で訪問しちゃう安倍首相。笑っちゃう程すごくないですか。
日本は対中国において、他のアジア諸国をまとめて包囲網をキッチリ作りたいですからね。
インドネシアは日本と中国が競った高速鉄道計画の受注合戦で中国を選んだが、計画には遅れが生じている。また、中国とは南シナ海をめぐって対立を深めており、このタイミングの首相訪問は「経済でも安全保障でも信頼できるのは日本」とのメッセージを送る形となった。
インドネシアにとって中国は最大の貿易相手国であり、歴史的にも密接な関係だが、海洋国家であるインドネシアを脅かす中国の動きが顕在化。一昨年には領海内で不法操業をしていたとして拿捕(だほ)した中国漁船を海上で爆破したことが記憶に新しい。
象徴的な例はインドネシア領ナトゥナ諸島付近での争いだ。中国は領有権は主張していない。とはいえ、中国公船が漁船を引き連れて違法操業を繰り返す示威的な行動パターンは、日本の尖閣諸島(沖縄県石垣市)付近で領海侵入を繰り返す中国の姿と重なる。
首相は15日の会談で、ナトゥナ諸島の具体名を挙げて離島開発への支援を表明した。中国の無法な振る舞いへの対処は、日本とインドネシア共通の課題と認識しているからだ。
インドネシア側の対応にも変化が見えてきている。昨年10月には、南シナ海問題などに関わるルフット調整相(海事担当)が来日して首相を表敬訪問し、同年12月にも東京で岸田文雄外相と会談した。2つの会談では航行の自由や平和と繁栄の確保の重要性で一致した。
2015年10月、日本が受注合戦に敗れたジャワ島の高速鉄道計画では中国に飛びついたインドネシア政府だが、予定した契約は遅れ気味だ。日本は巻き返しを図るため、ジャカルタ-スラバヤ間の鉄道(約750キロ)の高速化に参画しようと意気込み、ジョコ氏も前向きの反応を示した。
インドネシアには中国への不信感が芽生え、一時の「中国熱」は冷め始めている。日本外交筋は「経済案件は日本に回帰し始めている」と話す。加えて今回の会談では外務・防衛閣僚会合(2プラス2)の年内の再開催や防衛装備・技術の移転の推進も再確認。連携の重要性を確認した今回の首相訪問は、インドネシアの路線転換を決定付け、加速させたといえる。