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日・ベトナム首脳会談 ・ フィリピン・オーストラリア・インドネシア・ベトナム訪問についての内外記者会見

2017-01-16 22:41:59 | 外交・海外支援

日・ベトナム首脳会談 2017/1/16

1 少人数会合

(1)アジアを巡る情勢

 フック首相より,アジアの平和と安定に日本が果たしている役割に謝意と高い評価が表明され,南シナ海問題や朝鮮半島情勢等に対し引き続き積極的役割を期待する旨発言がありました。また,海洋安全保障面でベトナムに対する支援を引き続きお願いしたいとの意向が表明されました。更に,経済面で,貿易・投資の拡大,ODAの供与,日本のソフトパワーの広がり等を通じて,アジアの繁栄を牽引してほしいとの期待も表明されました。

 これに対し,安倍総理より,50周年を迎えたASEANの平和と繁栄が維持されるよう,その中心性,一体性を支持する,連結性や格差是正支援等,積極的に協力を行っていく,南シナ海や北朝鮮等地域の安全保障に関わる問題について,ベトナムと緊密に連携していきたい旨述べました。北朝鮮の核・ミサイル開発については,安保理決議の厳格な履行を確保するため圧力の強化が必要との考えで一致しました。

(2)米国

 両首脳は,米国のトランプ新政権との関係では,アジアの平和と安定及び経済発展に果たす米国の役割の重要性について,トランプ次期大統領の理解を得ることが重要であり,その関連でフィリピンにおけるASEAN首脳会議やベトナムが主催するAPECにおいて,米国が積極的役割を果たすことを期待するとの認識で一致しました。そのためにトランプ次期大統領に対してアジアの政治安全保障の状況について説明するとともに,TPPを含むアジアの経済がもたらす利益について理解を得ることが重要との考えを共有しました。


2 全体会合

(1)冒頭

 フック首相より,敬愛する安倍総理の2017年新年早々の訪問を心から歓迎,自分は,昨年5月のG7アウトリーチ会合に参加した際,貴総理とも会談したが,共同ビジョン声明の精神に沿って,両国関係は,勢いよく発展してきた,ベトナムは一貫して,日本を長期的かつ最優先のパートナーとすることを確認する旨述べました。

 これに対し,安倍総理より,9月にラオスでお会いして以来の再会を嬉しく思う,自分はベトナムを重視しており,総理として3回目の訪問,今年最初の訪問先としてベトナムを訪問したのは重視の表れ,日本とベトナムのパートナーシップをフック首相と手を携えて力強くあらゆる分野で発展させていきたい,ベトナムが議長国を務める本年のAPECの成功に向け,全面的に支援したい旨述べました。

(2)二国間関係総論

 フック首相より,両国間の政治的信頼関係の強化のため,ハイレベルの交流を強化したい。天皇皇后両陛下のベトナム御訪問を大変重視しており,万全にお迎えできるよう準備をしている,また,2017年APECの際,貴総理をご招待したい旨述べました。

 安倍総理より,世界的に政治,安全保障,経済面での不確実性・不透明性が増す中,「広範な戦略的パートナーシップ」の下,良好な日ベトナム関係を更に強化したい,今春の天皇皇后両陛下のベトナム御訪問は,両国の友好・親善の象徴,成功に向けあらゆる面で協力をお願いしたい旨述べました。

(3)安全保障

 フック首相より,安全保障,国防分野の協力を強化し,防衛装備品の装備移転を促進したい旨述べました。また,日本政府からの海上法執行能力強化に対する積極的支援に感謝している,人材育成とともに,新造巡視船の早期供与をお願いしたい旨述べました。

 安倍総理は,特に海洋分野を中心に,安保・防衛協力を一層強化したい,フック首相から要請いただいた新造巡視船(6隻)の供与を決定した,両国海上法執行機関間の協力を具体化し,更に進展させたい,また,日本が提示した指針(ビエンチャン・ビジョン)に沿い防衛協力を充実したい旨述べました。

(4)経済,経済協力

 フック首相より,日本は貿易,投資,ODA分野でのパートナー,経済の連結性強化を促進したい,農業分野でも協力を進めたい,質の高いインフラ整備や気候変動対策への支援も要請したい旨述べました。

本日,初めての試みとして,同行している日本企業関係者とベトナムの地方の代表者と対話を行う,今回の訪問を通じ,日本企業がベトナムにおいて投資機会を見つけることができることを確信している旨述べました。

更に,高効率石炭火力やエネルギー分野等のインフラ分野での投資を歓迎する,ベトナム産の赤い果肉のドラゴンフルーツ,ライチ等の日本への輸入をお願いしたい,日本の梨は解禁手続きを終えた旨述べました。


 安倍総理は,1,600社を超える日本企業が,投資,雇用創出及び技術移転等を通じ,ベトナムの発展に貢献しており,今次訪問にも,20社以上のCEO等が同行している,日越共同イニシアティブや法制度整備支援等を通じ,引き続き投資環境が改善され,投資と貿易が更に拡大することを期待する旨述べました。

また,日本産梨の日本からの輸出及びベトナム産の赤い果肉のドラゴンフルーツの日本への輸出が本日(16日)解禁されたことを歓迎する旨述べました。

安倍総理は,日本はベトナムの最大の支援国,今年度署名に至った協力はこれまで約1,300億円に上る,今回新たに決定した円借款4件約1,200億円もビジネス機会を作り出す,引き続き「質の高いインフラ」整備を中心に,官民を挙げてベトナムの経済発展を力強く支援する,また,保健分野等社会的課題も支援していく旨述べました。

更に安倍総理は,原子力協力は二国間エネルギー協力の柱,中止の決定は大変残念だが,高効率で環境に優しい石炭火力やLNGの新規導入の協力パートナーとして貢献していきたい,また,二国間の象徴的な案件と成り得るインフラ整備に,日本企業の高い技術と知見を活用して協力したい,衛星案件の迅速な実施について協力をお願いしたい旨述べました。

安倍総理は,ベトナムの国営企業改革を引き続き支援していく,国営企業に日本企業が戦略的投資家として一層参画できるよう協力をお願いしたい,また,米国の利上げに伴う資本流出リスクに鑑み,チェンマイ・イニシアティブ等の金融セーフティネット整備を進めたい旨述べました。

 これに対しフック首相より,ベトナムの国営企業に日本企業がパートナーとして参加していることも大変よかった,戦略的投資家として日本がベトナムの大手企業と協力して参加することを心から歓迎する旨述べました。

(5)TPP・RCEP

 フック首相は,TPPについては,日本は承認した最初の国であり,総理の決意と努力を評価している,ベトナムもTPPを重視し,批准に向けて準備中,またRCEP交渉でも緊密な連携をお願いする旨述べました。

 安倍総理は,自由貿易こそが世界の進むべき道であり,日本はTPP協定の国会承認を得た,早期発効に向けてベトナムの国内手続の進捗を強く期待,RCEPは,ベトナムと緊密に連携し,質の高い協定の早期妥結を目指したい旨述べました。

(6)人材育成,文化交流

 フック首相より,教育,人材育成,文化交流についても推進したい,産業人材育成のためのODA供与をお願いしたい,また,日越大学を通じた協力も行っていきたい,ベトナムの人材育成で日本と協力したい旨述べました。また,現在日本への留学生は4万人に達している,貴国においては,技能実習法案が改正されたと承知,ベトナムへの配慮をお願いしたい旨述べました。

 安倍総理より,各地でのお祭りや日本紹介番組等を通じた人的交流の急速な拡大を歓迎,本日同席している杉特別大使にも御尽力いただいている,訪日観光客の更なる増加と相互理解の促進に向け,積極的な文化・青少年交流も行いたい,特に「文化のWAプロジェクト」への協力をお願いしたい旨述べました。

更に,昨年,両国議連の支援を受けた日越大学が開学し,初等教育における日本語教育が開始したことを歓迎し,日本式のものづくり技術・知識を伝える寄附講座や「日本型教育」等を通じ人材育成に貢献したい旨述べました。

また,不適正な人材送り出し機関を排除し,実習生の保護等を図るため,速やかに政府間取決めの作成の協議を開始したい,ベトナム人留学生についても,質の高い留学生交流を促進すべく日越で連携したい旨述べました。

 これに対しフック首相は,観光客の双方向の増大に向け,努力していきたい,杉大使が二国間の青少年,文化交流促進のために果たされている役割を歓迎し,高く評価する旨述べました。

(7)その他

 安倍総理より,2025年大阪万博への支持を求めたところ,フック首相よりその場で,支持する旨のやりとりがありました。また,安倍総理より,「自由で開かれたインド太平洋戦略」について紹介し,ベトナムの協力を得つつ推進したい旨述べました。

 

安倍総理大臣とクアン・ベトナム国家主席との会談

安倍総理大臣とチョン・ベトナム共産党中央執行委員会書記長との会談

安倍総理大臣とキム・ガン・ベトナム国会議長との会談

 

フィリピン・オーストラリア・インドネシア・ベトナム訪問についての内外記者会見

動画はこちら

【安倍総理冒頭発言】

安倍政権、5年目の外交は、アジア太平洋からスタートします。

この地域にしっかりと軸足を置きながら、地球儀を俯瞰する視点で、積極的な外交を展開する。振り返れば、その最初の訪問国も、ベトナムで

ありました。

  4年ぶりに、ここハノイに戻ってまいりました。あの時と変わらぬ、ベトナム国民の皆さんの心温まる歓待に、まず冒頭、心から感謝申し上げ

たいと思います。

 今年、ベトナムはAPECの議長国であります。この秋、再び、ベトナムを訪れることを楽しみにしています。

 ハノイを貫く、雄大なホン川。その水は、南シナ海へ流れ込み、東シナ海を経て、東京湾の水とつながっています。その間の自由な往来を阻

むものは何もありません。

 我が国とベトナムは、「自由な海」で結ばれた、隣国同士であります。フィリピン、インドネシア、そしてオーストラリア。今回訪問した国は、いず

れも、太平洋という「開かれた海」を共有し、基本的な価値を共有する、重要な隣国ばかりであります。

 海洋の安全、航行の自由の原則が極めて重要であること、そして、そのためにも、法の支配がしっかりと貫徹されなければならない。その認

識で、いずれの国とも、完全に一致しました。

 ベトナムやフィリピンに巡視船等を供与し、海上における法執行能力の強化を支援します。インドネシアのジョコ大統領とは、海上安全や離島

開発における協力を進めていくことで合意しました。

 オーストラリアのターンブル首相とは、防衛にかかる物品・役務の相互提供の新たな枠組みなど、安全保障・防衛協力の強化で一致しまし

た。日本と豪州、そして米国、インド。基本的価値と戦略的利益を共有する国々との連携の重要性も確認しました。

 日米同盟という強固な基盤の上に、我が国と海で結ばれた、アジアから環太平洋地域、さらにはインド洋へと至る、この地域の平和と繁栄を

確固たるものとする。そのために、日本は、「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下、地域の一員として、大きな役割と責任を果たしていく覚

悟であります。

 この広大な海を舞台に、古来、たくさんの人々が、自由に行き交い、そして共に暮らし、共に繁栄を享受してきました。

 多くの日本人も、未来への希望を胸に、この海を渡りました。ダバオ開拓に一身を捧げた太田恭三郎も、その一人です。

 一世紀余り前、弱冠29歳の若者は、大きな志を持って、フィリピンのダバオにやってきました。持ち前の勤勉さで努力を重ね、暴風にも、干ば

つにも、ひるむことなく、マニラ麻の栽培に成功しました。さらに、病院、道路、港の整備。日本人とフィリピン人が、共に暮らし、共に豊かになる

ため、力を尽くしました。

 そのダバオは、ドゥテルテ大統領の故郷でもあります。今回、大統領にお招きいただき、共に訪問しました。多くの方が日の丸を手に、私たち

を歓迎してくださいました。本当に感激いたしました。大統領の私邸にも伺い、正に胸襟を開いて、二国間の関係の一層の発展、さらには、この

地域全体の課題について、忌憚のない意見交換ができました。

 ドゥテルテ大統領は、今年、ASEAN議長を務めます。大統領と手を携えて、日本として、自由で、開かれた、ASEANの、更なる統合、発展、

安定に貢献していく考えであります。

 本年は、ASEAN創設50周年の節目の年であります。

 ASEANは、大きく成長を続け、これからも「世界の成長センター」として、更に躍動していくでありましょう。

 この10年間、先進国が低成長に苦しむ中で、今回訪問したASEAN諸国では、一人当たりの国内所得の上昇が30%から50%に達してい

ます。ハノイの風景も、4年前とは、大きく変わりました。

 鉄道、港、発電所の建設、灌漑や治水など、急成長を遂げるアジアの旺盛なインフラ需要に、日本は、信頼と実績、高い技術力を生かして、

貢献していきます。

 20年前、フィリピンに進出した、三重県の金型メーカーは、長年、人材育成に取り組んできました。今や、高度な金型も、現地スタッフの皆さ

んだけで、製作できるそうであります。4年前、インドネシアでも合弁会社を設立し、同じように、インドネシアの若者たちの技術向上に取り組ん

でいます。

 日本の技術を、単に持ち込むのではなく、人を育て、しっかりとその地に根付かせる。これが、日本のやり方です。

 今回の訪問では、それぞれの国に根を張ってビジネスを行ってきた、建設、エンジニアリング、物流、商社など、総勢76社に及ぶ日本企業の

トップの皆さんが、経済ミッションとして同行しました。

 山形、福島、富山、広島など、地方で頑張る企業の皆さんもいます。地方から海外へ、アジアへ。アジアの成長は、地方にとっても、大きな

チャンスであります。

 今回訪問したベトナム、フィリピン、インドネシアの三か国を合わせれば、人口は日本の3倍以上、4億5千万人に達します。それだけの数の

人々がどんどん豊かになっていく。この地域にみなぎる活力を、日本の成長につなげ、共に繁栄していきたいと思います。

 その基盤は、自由貿易であります。自由で、ルールに基づく公正なマーケットを創り上げていかなければなりません。

 そのスタンダートともいうべきTPPの早期発効を目指すことを、今回の訪問でも改めて確認しました。このTPPの成果を礎として、今後、

RCEPなどの、より大きな、質の高い、野心的な協定を目指してまいります。日本は、常に、自由貿易体制の旗手であり続けたいと思います。

 千葉県の袖ケ浦さつき台病院では、現在、24人の、アジアの若者たちが、働いています。

 いつも元気いっぱい、何事にも一生懸命な若者たちの存在は、世界に先駆け「高齢化」という課題に直面する、日本の医療・介護の現場に、

新しい活力を生み出してくれています。

 その一人、ベトナムからやって来られたハイさんは、こう語っています。

 「日本で学んだことを、ベトナムに戻って、自分の後に続く人たちにも伝えていきたい。」

 躍動感あふれる、このアジアでも、近い将来、高齢化が大きな課題になると予想されています。日本は、高度な医療技術や介護のノウハウ、

経験で、そうした未来の課題の解決にも貢献していきます。そして、この地域の未来を担う、若者たちの交流は、その大きなエンジンになると考

えています。

 共に力を合わせ、共に未来を拓く。

 この地域の平和と繁栄のため、日本は、これからも、強いリーダーシップを発揮していく決意であります。

 私からは、以上です。


【質疑応答】
(NHK 石川記者)
 今週アメリカでは、トランプ次期大統領が就任します。今回の総理の歴訪で、アジア・太平洋地域の平和と安定のためには、アメリカのコミットメントが必要不可欠だという認識を各国首脳の皆様と共有されたと思います。トランプ氏のアジア政策の見通しが不透明な中で、経済、そして安全保障の両面にわたりまして、今回の歴訪の成果を今後対米戦略にどのようにつなげていきたいと考えていらっしゃいますでしょうか。また総理は、トランプ新政権発足後、速やかにトランプ氏と日米首脳会談を行いたいとされていますが、トランプ氏との会談の日程等、見通しについて併せて伺いたいと思います。

(安倍総理)
 トランプ次期大統領とは、昨年の11月に世界のリーダーたちに先駆けて会談を行いました。今回の訪問で、ベトナム、フィリピン、インドネシア、そして豪州のリーダーたちと胸襟を開いて意見交換し、そして地域の平和と繁栄のためには、米国のコミットメントが不可欠であるとの考え方の下、引き続き緊密に連携していくことで一致をいたしました。

 安全保障面では、紛争の平和的解決、そして武力による威嚇や武力の行使に訴えないこと、法の支配、航行の自由といった基本的原則を堅持していくことが重要であり、経済面では、21世紀型にふさわしい自由で公正な市場を創り上げていくことが重要である、このため、米国、ASEAN、豪州、インドといった基本的価値を共有する、そして戦略的利益を共有する国々と、緊密に連携していきたいと考えています。

 トランプ大統領は1月20日に大統領に就任する予定であります。首脳会談の調整は政権が発足してからということになりますが、就任後できるだけ早い時期に会いたい、日米首脳会談を行いたいと考えています。

(トゥオイチェー紙:クィン・チュン記者)
 日・ベトナム首脳会談が開催されましたが、日越関係の将来についての考え、ベトナムの果たす役割、日本との安全保障分野における協力や地域の繁栄のために、どのような役割をベトナムに期待されるでしょうか。そして、4年ぶりのハノイ訪問であると思いますが、御感想をお聞かせいただきたいと思います。

(安倍総理)
 私にとっては4年ぶりのハノイでありましたが、車から見えるハノイは本当に発展をしていて、活気を感じました。多くの市民の皆さんが手を振ってくださり、大変感激いたしました。

 私はベトナムとの関係を非常に重視しています。今年最初の外国訪問先としてベトナムを選びました。4年前、総理に就任して一番最初に訪問した国はベトナムであります。

 そしてこの春には、天皇皇后両陛下のベトナム御訪問が予定されています。親密な日越関係を象徴する最重要行事であるといっていいと思います。両陛下の御訪問を通じ、両国の友好親善関係が一層深まることを確信しています。

 長期的には、日本は、質の高いインフラ整備を中心に、官民を挙げてベトナムの発展に協力をしていきます。そしてまた、将来を担うベトナムの人づくりにも積極的に協力をしていく考えであります。昨年開校した日越大学はその象徴であります。

 ベトナムは本年、APECの議長国を務めます。ベトナムのリーダーシップの下、11月のAPECサミットが大成功するよう、日本としても全面的に協力をしてまいります。

 ベトナムは、法の支配などの基本的価値を共有する重要なパートナーであります。地域の平和と繁栄、そして自由で開かれた国際秩序の発展に向け、ベトナムと一層協力をしていきたいと思います。

 私も大好きなベトナムにこうして今回訪問することができて、本当に私も、私の妻も喜んでおります。また、私はベトナム料理が大好きでありますので、この後の晩餐会を大変楽しみにしております。

(朝日新聞 高橋記者)
   憲法改正について伺います。安倍総理は、党の仕事始めで、「新しい時代にふさわしい憲法はどんな憲法か。今年は議論を深め、姿・形を表していく」と述べました。民進党の蓮舫代表も議論は歓迎する立場です。御自身の総裁任期を来年秋に控え、発議までのスケジュールや改憲項目についてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

(安倍総理)
 今年は、日本国憲法の施行から70年の節目の年に当たります。新しい時代にどのような憲法がふさわしいのか、国会の憲法審査会において、野党第一党の党首も議論をしていきたいとおしゃっておられるわけでありますから、議論が深められ、具体的な姿が現れてくることを期待したいと思います。

(ザン・チ紙 ブイ・ティ・テン記者)
 総理の御出身の山口県に訪問したことがあり、大変光栄です。日・ベトナム首脳会談が行われましたが、ベトナムに対する海洋安全保障分野における能力強化及び協力、巡視船の供与を含め、詳細な説明をお願いします。

(安倍総理)
 私の故郷山口県を訪問していただいてありがとうございます。また是非訪問していただきたいと思います。たくさんおいしいものもありますし、美しい景色もあります。

 今般、ベトナム側からの要望も踏まえまして、6隻の新造巡視船を供与することを決定しました。引き続きベトナム海上警察の能力向上の支援を行うとともに、両国の海上における法執行機関の間の協力も具体化していきたいと考えています。

 また、今回訪問したフィリピン、豪州、インドネシアでも、海洋分野を中心に、法執行機関の能力向上や相互の連携、安全保障や防衛分野での協力を一層進めていくことで一致いたしました。

 古来から、アジアの人々は、海を自由に行き来することで豊かな生活を享受してまいりました。今日も地域の平和と繁栄は「自由で開かれた海」を守り育んでいくことにかかっていくと考えています。

 ベトナムを始めとする地域の諸国と協力し、航行の自由、法の支配、紛争の平和的解決といった基本的な原則を揺るぎないものとしていきたいと思います。

 そして揺るぎないものとしていくことによって、地域は繁栄し、人々の生活は豊かになっていくと確信しています。