映画「ハンナ・アーレント」が公開されたのは2013年頃で、10年近く前になる。アイヒマンの印象が強くて内容の記憶が曖昧であったので、この本を手に取ってみた。
ハンナ・アーレントは、ドイツ生まれのユダヤ系哲学者、政治理論家。ナチス戦犯のアドルフ・アイヒマンの裁判の傍聴記録が有名である。
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現代の世界でプーチン率いるロシアがウクライナに進行しているが、これは、ナチスと同じ全体主義、帝国主義じゃないかと思っている人は少なからずいるのではないだろうか。 また、旧統一教会の激しい人間支配に全体主義・帝国主義を想起する人も多いのではないだろうか。
政治学者・森分大輔氏によるこの新書は、「アーレントの思想」をわかりやすく描き出していると感じた。特に「『全体主義の起原』-人間性への軽蔑」、「『エルサレムのアイヒマン』-悪の凡庸さをめぐる考察」にはのめり込んで読んでしまった。
なぜ、ロシアの人々は、自分たちの現状を全体主義と感じないのか。なぜ、旧統一教会の信者は、自分たちの行いの意味や価値を感じ取れないのか。そう思うならこの本を読んでほしいと思う。
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『19世紀末植民地を争奪する「帝国主義」→現地人を未開な野蛮人とする「人種主義」→植民地争奪戦に乗り遅れたドイツやロシアは、自民族の究極的な優位性を唱える「汎民族運動」→中欧・東欧の民族的少数者たちの支配を正当化する「民族的ナショナリズム」、ユダヤ人を異種と見る「種族的ナショナリズム」→反ユダヤ主義。→全体主義へ。
モップ=20世紀初頭、環境の変化によって生じた自由競争の敗者、あらゆる階層から吐き出された脱落者。現代の一般大衆ともよべるある人々、例えば、トランプ崇拝者の白人労働者。
モップの台頭→官僚制=組織に忠実であり、出世を第一義、歯車→思考の停止→人権の終焉。
予言としてのイデオロギー→すべての人間を組織に組み込み、淘汰される人間をイデオロギーから恣意的に区分→決定に疑義を挟まない全体主義による社会の支配→秘密警察とテロ(暴力)、絶滅収容所へ。』
「エルサレムのアイヒマン」は「悪の凡庸さ」として有名であるが、アーレントの精緻な考察は、読むに値する。常識的な判断を下す前にこの「悪の凡庸さ」を考え返さなくてはならない。
今、世界を恐怖に落とし込めようとしている「プーチンの戦争」、日本に巣くう宗教と言う名のカルト。アーレントの「全体主義の起源」、その他の著作は、これからの世界に有益なものとなると確信する。
<ホテルでランチ>
じゃらんのポイントでランチしました。眺め最高!
下関グランドホテル、牛頬肉の赤ワイン煮込み。
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