「医学部」鳥集 徹(とりだまり とおる)著_2018/03
いい本を見つけた。
年を重ねるにつれて、医者に診てもらう機会が格段に増えてきた。
かかりつけ医のように確実に会える医者は、小さな内科小児科の先生、眼科の先生、大学病院の先生の3人ほどだ。大きなビルの病院では、曜日や午前午後によって先生が変わるので、何度も通う必要のある場合を除いて、つまり、行ける時に総合病院へ行くといつも違う先生が待っている。体のあちこちにガタが来て病院に行く機会も増えたので、最近、かなり多くの医者に会っている。尊敬できる医者ばかりではあるが.........
「医学部」というこの本は、
<はじめに>において<「職業訓練校」が偏差値トップの異様さ>について語っている。つまり、医学部を目指す受験生に、医学部の、中身と医者になることの姿を具体的に説明している。
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目次
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目次
第一章 東京大学医学部の凋落
第二章 「医局」の弱体化
第二章 「医局」の弱体化
第三章 医学部ヒエラルキーの崩壊
第四章 医学部とはどんなところか?
第五章 ゆがんだ医学部受験ブーム
第四章 医学部とはどんなところか?
第五章 ゆがんだ医学部受験ブーム
第六章 医者に向く人、むかない人
おわりに
それでも医学部を目指す人たちへ
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東大理Ⅲは、受験会の頂点に立つ最難関の大学学部である。理Ⅲ、つまり、東大医学部の合格であれば、最高の頭脳の持ち主と評価される。ただし、最近の傾向として、受験会では、東大の入学よりも、医学部合格が、すぐれた頭脳の持ち主と評価されるようになってきた。
底辺私立高校から瞬く間に、進学校につくり上げたある校長は、国立大入学者をさらに伸ばす方向よりも、次は医学部合格者を増やす路線変更の可能性を力強く語った。
週刊誌なども全国の高校の進学者数を公表し、東大合格者上位高校の特集などが一般的であったが、最近では、全国の高校医学部合格者数一覧なども記事になっている。できる高校は、医学部合格者が多い、というわけである。いつの間にか「優秀な生徒は医学部を目指す」となってしまっている。頭脳優秀で、医者を目指す受験生には、一読をお勧めする本である。(受験産業にたずさわる人も読むべき本のひとつであると思う。)
医者にむく人むかない人がいるのは確かなので、自分の頭脳をどう活用するか考えてもらいたいものである。 最近のTVドラマでは、感動の医者物語が多く、影響を受けている受験生も多いのではないかと思ってしまうが、ロシアでは、医者の6割が女性であり、女性に向く職業のひとつではないかとも思う。
ここ30年、失われた日本と言われるが、優秀な人材が医者になってばかりいるのが、そのことが、日本の発展を阻害してるのではないかと疑ったりする。優秀な人に医者になってもらいたいのは当然だが、優秀であればこそ、日本を発展させるために能力を発揮する人材になってほしいと強く願う。