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主夫の徒然なるままに

高校受験について 高校入試「特色化選抜」(2)



 高校入試における「特色化選抜」とは、「学校の特色にふさわしい生徒の入学をより一層促進する観点から、生徒の多様な個性を積極的に評価する『特色化選抜』を導入し、県立高等学校の特色化及び活性化を図る。」 と説明する(福岡県教育委員会)。
 本音としての第一として、優秀な生徒の公立高校間での早期獲得を目指すことにある。<高校入試「特色化選抜」(1)参照>


 「特色化選抜」を実施する本音として、もう一つの大きな理由がる。私立高校の存在が大きい。

 保護者の時代では、私立より公立高校の方が「上」。公立を落ちた生徒が私立高校に行くと思っている親が非常に多い。時代は、変わり、第一志望が私立高校という生徒も多くなってきた。授業料が、公立より3倍の費用がかかっていた時代であれば、親としてはできるだけ公立に行ってもらいたいと思ってしまうが、現在では、私立高校無償化も進んでいるので、無償対象でなくても、以前よりは、経済的に軽い負担で済む場合が多い。また、私立高校も生徒に受ける個性を出して人気を得ている高校も多くなってきた。

 無償化になる年収制限は、590万円、910万円などが基本だが、東京都では、年収制限の撤廃を予定、大阪府も無償化を宣言している。大阪府は、段階的の無償化で、現中1生が完全に無償化になる予定だが、今年度においても公立高校受験生が激減している。正直なところ、公立底辺普通科高校に行くぐらいなら、ヤンキーのいない私立高校に行こうと思うのが自然だろう。

 ちなみに年収制限には、共働きの場合、両親の一方が働いている場合、子供の数などによって差がある。おおよそ、片方働きで年収590万~650万円で年額約39万6千円、年収910万~960万で年額11万8千円の支援。共働きで660万~690万円で年額39万6千円、1060万~1090万円でで年額11万8千円の支援となっている。共働きで年収1000万の家庭は結構多いのではないかと思われるし、その家庭が余裕をもって生活しているとは思えない。年収の壁をもう少し上げるべきではと個人的には思う。
 
 福岡県の「特色化選抜」は、1月の24,25日頃に実施される。私立高校専願入試が1月中頃、私立高校一般入試が1月最終~2月初旬に実施、公立推薦が2月中頃、一般入試が3月初旬である。私立高校に取られる前に生徒を獲得しようとするのが明白である。


 私立高校に受験生を取られる。

 魅力的な私立高校が増えたことが大きい。受験生の減少にいち早く対策を取ってきたのは、やはり、私立高校である。まずは、私立高校間において熾烈な戦いがあった。そこで、近代的な設備やICT機器の導入、男女共学化、難関大・医学科対象の特進科の導入、ネイティブ英語・英会話導入など目に見える魅力的な改革を実施してきた。その高校の名前を、卒業しても恥ずかしくないイメージとして獲得していった。
 
 また、兄弟で上の子が公立普通科、下の子が私立高校に通ったお母さんから聞いた話では、公立では、上から目線で話す。私立では、お客様目線で話す。その差に驚いたそうである。高いお金を払っているのだから当然と思っていたかもしれないが、同じ授業料ならばどうであろうか。

 30年前は、受験は一発勝負であった。受験の点数のみが勝負であった。一発勝負では、中学時代ずっと真面目に勉強した生徒が不合格の場合は可哀そうだ。だから、点数をあげようと「内申点」という評価が加わった。その優しさに嬉しいと思うかもしれないが、要するに荒れた生徒には、「高校に行けませんよ」という生徒管理を強める飴と鞭である。さらに「推薦入試」が始まる。学校の先生に気に入られた生徒には、入試がぐっと楽になりますよ、というお墨付きを与え、反抗する生徒をさらに無力化し、教室管理・生徒管理を強化した。

 では、「推薦入試」と「特色化選抜」の違いは何かと言うと、推薦入試では、学校長の推薦許可が必要で、特色化選抜では、高校の示された条件のもと生徒自身で選抜に臨むと言うことである。ただし、「推薦入試」での割合は、各高校の定員の10%~40%、概ね25%程度である。偏差値の高い高校ほど募集定員が少ない。「特色化選抜」では、地区ナンバー2の高校で定員240名中募集60で約25%だが、底辺の普通科高校では、160名中110名の募集で約70%近い募集枠、さらに下の商業高校では、160名中140名の募集、90%近い募集枠である。「推薦入試」と「特色化選抜」の両方実施の高校もあるが、どちらか一方のみ実施の高校もある。大学入試での50%が、テストを受けない推薦などの合格者を占めると言う時代であるが、高校入試も同じような選抜形態になっていくようだ。

 塾のチラシでは、「特色化選抜」の内申点のハードルの高さを引用し、「中3生になって急に内申点が上がるのは難しいですよ。早めに入塾して内申点対策をしましょう」と入塾を勧める。うまく制度を利用している。

 今日は、福岡県の一般入試日(3/5)である。新たな受験生が誕生する日である。

 受験の制度も趣旨も刻々と変化している。

 < 受験は『情報戦』である >

 新たな受験生とその保護者へ。


<台湾の街角>
作文教室と英語塾

 














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