「データ保護完全ガイド」W.Curtis Preston 著 池田 祥孝 訳 を読んだ。
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実は、この訳者は私の大学時代の親友で同じ寮で生活を共にし、時にバイクに乗ったり、酒を酌み交わしたりしていた。彼は、英語が大好きで英単語を学べるボードゲーム「スクラブル」のようなものを部屋で彼女と遊んでいた。英語が好きなのだなぁと感心したものである。
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さて、彼が一冊の本を訳したと年賀状で伝えてきた。早速、ネットで調べてみると400ページ近いボリュームと4400円と言う値段に恐れをなし、図書館にあるかどうか調べてみた。北九州市の図書館には置いてなかった。そこで、福岡県立図書館経由で福岡県のすべての図書館の在庫を調べてみた。水巻町図書館と大宰府図書館にあった。2023年12月25日出版でもあり、また、かなりの専門書であるので、福岡県に2冊あったことが幸運であった。さらに、水巻町図書館はいつも利用している図書館で、こういうめぐり合わせというものもあるのだなぁと思った。
基本的に企業のデータ保護を担当する部署で読むべき内容であり、専門用語も多く、読むのを躊躇していたが、勇気を出して読んでみた。出だしで、
ランサムウェアの脅威
バックアップとアーカイブは全くの別物
3-2-1ルール(データバックアップの基礎)
フルバックアップとインクリメンタルバックアップ
など、前半に頻繁に出てくるこれらの専門用語は、この手の部署にいる人なら常識用語だろうが、素人には近寄りがたい。ただし、よく読んでいくと多くの納得できる説明や自分の経験のなかに出てきたことと重なることが多いことに気が付いた。
私個人は、塾での講師をしながら最初、個人塾で使われるプログラムの開発に夢中になっていた。大手塾に入ってからは、1000人以上の成績管理データの処理にあたり、バックアップの問題などに関わっていた。当初、その塾でのデータ管理は、ハードディスクが一般的な時代に3.5インチフロッピーディスクで保存されていた。全体のシステムもWindows95以前のプログラムで動かしていたので手を付けられない状態であった。結局、データ保護も含めて一から構築となったが、塾講師、教室長、成績管理システムの開発の同時進行は、オーバーワークで大変であった。私が勤める前のデータのバックアップの統一性がなく、それらのデータを有効利用できなかったのは悔やまれる。せめて、その時代にデータ管理・保護に精通していた人材がいればと思った。
このガイドブックの後半になると、さらに専門性は上がり、素人にはさらに取っ付きにくくなってくる。わかるところをかいつまんでみると
パブリッククラウドでのデータ保存とその問題点
バックアップとリカバリソフトウェアの多くの方法
アーカイブソフトウェア・アーカイブの重要性
ディザスタリカバリ(DC)の方法
企業にとってディザスタリカバリ、つまり、滅多に起こらない最悪の最悪の状態に備える。災害復旧と訳すことが多いが、やはり、ランサムウェアが近年登場したことが企業にとってDRが始動する理由であろう。ランサムウェアとは、企業などのデータを暗号化したり、使用不能にしたりするもので、これに感染すると身代金を要求されることになる。ホンダやいくつかの病院などが感染し、ニュースになったこともある。DCの方法などの解説は詳しいが、素人との私には難解であったが、企業としては死活問題であろう。
「データ保護完全ガイド」は、専門性の高い本で、専門用語が多用され、個人のデータ保護のとしては、敷居が高い。しかし、一般の企業としては、最低限この本の知識は必要ではないのだろうかと思った。そして、この膨大の量の翻訳を担当した友人を誇りに思う。「すごいなぁ!」
<思い出のLP 「オレゴン」>
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