陳は、朝からイヤな予感がしていた。どうも下腹の様子が変だ。昨日食べた(中略)料理がいけなかったのだろうか。朝から何度かトイレに行き、強力な下痢止めを指定量の倍飲んでみたが、まだスッキリしない。不安だ。しかし今日は大事な商談で出張に行かねばならない。陳は、激しく収縮活動を続ける下腹を押さえながら、慌しく家を出た。
空港に着くと、何度もトイレに行ったせいか、ひどく喉が乾いていた。何か飲もう、そう思ったが、ここで気を抜いてはいけない。いったん飛行機に乗ってしまったらトイレにも満足に行けなくなるではないか。以前、朝の便を利用した際、最初から最後までトイレの前が長蛇の列だった事を思い出し、爽やかな清涼飲料水のペットボトルが並ぶ売店を横目で通り過ぎた。
搭乗ゲートにギリギリまで粘り、最後の方でようやく飛行機に乗り込む。満席に近い機内は人いきれでムッとするようだ。額に脂汗を浮かべて力なく席に着き、一刻も早くこの場から開放されることだけを祈りながら、死んだようにジッとしていた。まもなく飛行機が離陸すると機内は徐々に気温が下がってきたようだ。少し楽になり、陳は思わず深い安堵のため息をもらした。
しばらくすると、スチュワーデスが飲み物を配り始めた。自分の番が来て、温かい白湯はないかと訊ねてみたが、小生意気な若い小姐は鼻でフンと笑い、「お食事の後にコーヒーがございます」と言うだけで、ぶっきらぼうに飲み物を積んだワゴンを指すのみだった。
仕方なく飲み物は断り、スチュワーデスが通り過ぎた隙に、まだ空いている後部のトイレへと向かった。背広の内ポケットから持参した下痢止めを取り出すと、水道の蛇口から水を出しっ放しにしたまま、直接口を当て無理やり薬を飲み下す。ようやく喉の渇きが癒されたと思ったのも束の間、たちまちひどい後悔に襲われた...
(以下、3時間略)
飛行機は最終着陸段階に入ろうとしている。てこずった乗務員らは、一体どうやって外から開けたのか、あくまで席に戻る事を拒否する陳を3人がかりでトイレから引きずり出し、子供用の小さなオマルを邪険に陳の席に据えると、半ば強制的に、ズボンが半分ズリ落ちたままの彼をその上に座らせ、シートベルトをぎゅうぎゅう締め上げた。腹にきつく食い込むベルトの感触で強い刺激を受けた陳は、周りの乗客から飛ぶ怒号の嵐もかまわず、何もかも捨て、我が身を運命に任せる事にした...
ある生物学的な音が機内の騒音を嘲笑うかのように高らかに響いたその時、これまでずっと順調に飛行を続けてきた機体は、低空の乱気流地帯に入ったのか突然、激しく急降下した。座席から飛び上がりそうな強い衝撃に乗客たちが一斉に動揺した次の瞬間(つづく)
空港に着くと、何度もトイレに行ったせいか、ひどく喉が乾いていた。何か飲もう、そう思ったが、ここで気を抜いてはいけない。いったん飛行機に乗ってしまったらトイレにも満足に行けなくなるではないか。以前、朝の便を利用した際、最初から最後までトイレの前が長蛇の列だった事を思い出し、爽やかな清涼飲料水のペットボトルが並ぶ売店を横目で通り過ぎた。
搭乗ゲートにギリギリまで粘り、最後の方でようやく飛行機に乗り込む。満席に近い機内は人いきれでムッとするようだ。額に脂汗を浮かべて力なく席に着き、一刻も早くこの場から開放されることだけを祈りながら、死んだようにジッとしていた。まもなく飛行機が離陸すると機内は徐々に気温が下がってきたようだ。少し楽になり、陳は思わず深い安堵のため息をもらした。
しばらくすると、スチュワーデスが飲み物を配り始めた。自分の番が来て、温かい白湯はないかと訊ねてみたが、小生意気な若い小姐は鼻でフンと笑い、「お食事の後にコーヒーがございます」と言うだけで、ぶっきらぼうに飲み物を積んだワゴンを指すのみだった。
仕方なく飲み物は断り、スチュワーデスが通り過ぎた隙に、まだ空いている後部のトイレへと向かった。背広の内ポケットから持参した下痢止めを取り出すと、水道の蛇口から水を出しっ放しにしたまま、直接口を当て無理やり薬を飲み下す。ようやく喉の渇きが癒されたと思ったのも束の間、たちまちひどい後悔に襲われた...
(以下、3時間略)
飛行機は最終着陸段階に入ろうとしている。てこずった乗務員らは、一体どうやって外から開けたのか、あくまで席に戻る事を拒否する陳を3人がかりでトイレから引きずり出し、子供用の小さなオマルを邪険に陳の席に据えると、半ば強制的に、ズボンが半分ズリ落ちたままの彼をその上に座らせ、シートベルトをぎゅうぎゅう締め上げた。腹にきつく食い込むベルトの感触で強い刺激を受けた陳は、周りの乗客から飛ぶ怒号の嵐もかまわず、何もかも捨て、我が身を運命に任せる事にした...
ある生物学的な音が機内の騒音を嘲笑うかのように高らかに響いたその時、これまでずっと順調に飛行を続けてきた機体は、低空の乱気流地帯に入ったのか突然、激しく急降下した。座席から飛び上がりそうな強い衝撃に乗客たちが一斉に動揺した次の瞬間(つづく)
男子頻繁進出廁所航機急降
(明報 即時兩岸新聞 2003.02.05 09:40HKT)
http://www.mpinews.com/content.cfm?newsid=200302050940ca30850t
中國國際航空公司一架國際航班因為機上一名男子「在廁所形跡可疑」,前日凌晨在深[土川]緊急降落。
内地傳媒報道,這班航機原定本2日深夜由北京飛往新加坡,但在起飛不久,一名男子不斷進出廁所,「最長的一次竟超過1個小時。」。這種異常舉動引起了乘客和乘務員的警覺。最後,在機員多次敲門沒有反應下,機員強行打開廁所門,發現該男子衣著整齊坐在馬桶的蓋子上。機員向該名男子査問時,對方大發脾氣,在不能確定該男子此舉的目的和後果的情況下,機長決定把飛機緊急降落深[土川]機場,並將該男子交給深[土川]警方。
該航班隨後於當天6時許重新起飛。據初歩調査,該男子是天津市某醫院的醫生,暫時不清楚他在機上舉止異常的原因。