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『北氷洋―The North Water―』 イアン・マグワイア(著),高見浩(翻訳)

2020年12月21日 21時23分00秒 | ■読書
イギリスの作家「イアン・マグワイア」の長篇ミステリ作品『北氷洋―The North Water―(原題:The North Water)』を読みました。


ここのところ、イギリスの作家の作品が続いていますね。

-----story-------------
呪われた航海で生き残るのは誰だ!?
圧倒的な筆力で描かれるサバイバル・サスペンス。

19世紀半ば、英国。
北極海を目指し捕鯨船ヴォランティア号が出港した。
乗組員は、アヘン中毒の船医「サムナー」、かつて航海で大勢の船員を犠牲にした船長「ブラウンリー」、そして凶暴な銛打ちの「ドラックス」ら曲者揃い。
やがて船内で猟奇殺人が起きるが、それは過酷な運命の序章に過ぎなかった――。
想像を超える展開と圧倒的な筆力で、人間の本性と自然の脅威を描き尽くすサバイバル・サスペンス。
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2016年(平成28年)に発表された作品、、、

19世紀の北極圏の海上で鯨油採集を業務としていた捕鯨船を物語の舞台とした、海洋冒険小説であり、船内での殺人事件を巡るサスペンスと謎解き、生き残りをかけたサバイバル小説の要素が混然一体となった作品でした。


1859年春のラーウィック港、北極圏の海上で鯨油採集を業務としている捕鯨船ヴォランティア号の出港前、乗組員で腕利き銛打ち「ヘンリー・ドラックス」は、泥酔し、港町の酒場でたまたま出会った男や奇妙な色気を放つ少年を、いずれも大した理由もないのに殺害する、、、

彼は何の屈託もなく機械のように生身の人間を殺すことができる男だった… 一方、船医として雇われた「パトリック・サムナー」は、英国領インドでの戦争引揚者で何か秘密を抱え、しばしば阿片チンキを吸っては現実から逃避し、忘我の境地をさまよう。

インテリである「サムナー」は気の荒い船員と一定の距離をたもち、時折船室で自分だけの世界に閉じこもる… 他の乗員たちも、いわくありげな人物が顔を連ねていた、、、

船長は3年前の航海でパーシヴァル号を沈没させてしまった不運な男「ブラウンリー」で、船主「ジェイコブ・バクスター」は、ある密約のもとにツキに見放された呪われた男を雇用する… 航海士も評判の悪い男で、航海中に「ドラックス」とともに「サムナー」の秘密を握り、機会をうかがって亡き者にしようとする。

こうしてそれぞれの思惑をかかえながら捕鯨船は鯨をもとめて北上するが、嵐に遭遇し、氷塊の圧力で船が沈没してしまう… そして、人智を超えた自然の猛威が、この航海に対して抱えていた船員たちの各々の思惑を押しつぶし、彼らを無力な単なる一人の人間に差し戻し、北極の氷原の上に投げ出す、、、

航海中にも殺人に手を染め地下倉に幽閉されていた「ドラックス」は、これを機会に氷の向こうに姿を消す… 一方、「サムナー」らほかの船員は生き残りをかけて別の捕鯨船を探すが、それもうまくいかず、やがて死の影が忍び寄ってくる………。


色んな要素が入り混じっていましたが、生き残りをかけたサバイバル小説、冒険小説… という要素が強い印象でしたね、、、

最も印象に残ったのは「サムナー」が生きるために北極熊を狩るシーン… その迫力には思わず息を呑みましたね。

そして、クライマックスは、北極圏から脱出してイギリスに帰国した「サムナー」「バクスター」「ドラックス」との決着をつける終盤の展開… 大自然との闘いから、人と人との闘い、、、

まっ、納得できる幕引きだったので良かった… 淡々とした描写なのですが、ぐいぐいと引き込まれる魅力があって、集中して読めましたね。



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