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『ありふれた祈り』 ウィリアム・ケント・クルーガー(著),宇佐川晶子(翻訳)

2022年01月21日 22時20分00秒 | ■読書
アメリカの作家「ウィリアム・ケント・クルーガー」の長篇ミステリ作品『ありふれた祈り(原題:Ordinary Grace)』を読みました。


ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。

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全米4大ミステリで最優秀長篇賞を独占!
2016年度版「ミステリが読みたい!」(海外篇)第1位

「北上次郎」氏(文芸評論家)
読み終えると最後の一文が迫ってくる。
余韻たっぷりのラストがいい。(本書解説より)

●アメリカ4大ミステリ賞受賞!
「ミステリが読みたい!」2016年版〔海外篇〕第1位

1961年、ミネソタ州の田舎町。
13歳の「フランク」は、牧師の父と芸術家肌の母、音楽の才能がある姉や聡明な弟とともに暮らしていた。ある夏の日、思いがけない悲劇が家族を襲い穏やかだった日々は一転する。
悲しみに打ちひしがれる「フランク」は、平凡な日常の裏に秘められていた事実を知ることになり…… エドガー賞をはじめ4大ミステリ賞の最優秀長篇賞を独占し、「ミステリが読みたい!」で第1位に輝いた傑作。
解説/「北上次郎」
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2013年(平成25年)に発表された作品で、アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)、バリー賞、マカヴィティ賞、アンソニー賞の最優秀長篇賞を受賞した作品… 2016年(平成28年)に日本で翻訳出版された後は「ミステリが読みたい!」〔海外篇〕第1位にも輝いている作品なので、期待して読みました。


あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった―― 1961年(昭和36年)、ミネソタ州の田舎町で厳めしい牧師の父「ネイサン」と芸術家でややエキセントリックな母「ルース」、音楽の才能がある美しい姉「アリエル」、吃音があるが聡明な11歳の弟「ジェイク」とともに暮らす13歳の少年「フランク・ドラム」… だが、ごく平凡だった日々は、思いがけない悲劇によって一転する、、、

家族それぞれが打ちのめされもがくうちに、「フランク」はそれまで知らずにいた秘密や後悔に満ちた大人の世界を垣間見るが……。


少年の人生を変えた忘れがたいひと夏を描く、切なさと苦さに満ちたミステリでしたね… 少年モノには弱いんですよねー 「フランク」「ジェイク」の気持ちになって、感情移入しながら読みました、、、

序盤から中盤は、「フランク」の目線で、田舎町での人間関係や日常の出来事を通じて、先住民や障碍者への差別、貧富の差、戦争の傷等が色濃く残る地域性が丁寧に描かれているので、やや退屈で冗長な感じがしますが… 殺人事件が発生してから、事件の真相を知るまでの終盤の展開は一気読みでした。

「アリエル」の交際相手が判明した頃から、真犯人はほぼほぼ見当が付きましたが、ラストまで飽きずに読めました… ミステリとしても愉しめますが、主人公とその家族の成長を描く家族小説、青春小説という印象の方が強い作品ですね、、、

「スティーヴン・キング」『スタンド・バイ・ミー』や、「ジョン・ハート」『ラスト・チャイルド』のようなノスタルジックな雰囲気が感じられる好みの作風でした… 少年たちの気持ちにシンクロできるかどうか、心の痛みを感じられるかどうかで、評価が大きく分かれる作品かな。



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