朝のひととき。
セミの声がうるさくて目が覚めちゃうというスニーカー(山下真司)のぼやきを受けての
ドック(神田正輝)のダジャレ連発にキレるゴリさん(竜雷太)、
けっこうウケてる長さん(下川辰平)というおなじみの構図がすでにこの回で確立されている感じです。
「セミプロだよ」は、ドックにしては気の利いた返しだと思うんですがね。
ある出版社から相談を受け、メインテーマまるまる使ってスコッチ(沖雅也)とスニーカーが
建物に入っていくところを映す演出がかっこいい。
カメラの前を二人が歩いてるだけなんですけどね。
音楽と演者がかっこいいと、ただ歩くシーンも絵になりますよね。
以前より噂のあった土木省の入札に関する東郷建設・岩田社長との関係を暴いたルポが無記名で送られてきて、扱いに困った編集長が相談してきたのだった。
東郷建設のバックには響組がついており、黒い噂が流れると関係者が不審な死を遂げているのため、このルポを書いた人物にも危険がおよぶ心配があった。
岩田や土木省の三浦らが会合に使っているスナックに客を装って入ったスコッチは、
担当のホステス博子(田島令子)に近づき、その後も彼女に張りつく。
スコッチ、お紅茶しか飲まないのかと思いきや、これは当時のスポンサー提供のコーヒー牛乳では?w
このあと、窓越しに倒れる彼女を目撃し、車のドアをジャンプして飛び越え、さらに後ろ足で閉めるという美技を見せてくれます。
博子の様子から、ルポを書いたのは彼女だとひらめくスコッチ。
しかし、目を離したすきに逃げられ、翌日彼女は遺体で発見される。
博子が白血病で余命半年だったこと、本当は雑誌の記者になりたかったらしいことを知り、
彼女が命を懸けて不正を暴こうとした思いを無駄にするまいと一丸となる一係。
さらにスコッチは、博子が真相究明のために近づいた三浦に対し、しだいに本当の愛情を感じていて、彼に罪を償ってもらいたくてルポを書いたと思い至る。
しかし、その思いは届かず三浦は博子を殺した。
不正で利権をむさぼろうとする者、それを搾取する暴力団、保身のために恋人を手にかける役人。
それを追いつめる刑事たち。
証拠のイヤリングを、夜中の駐車場で地面にはいつくばって探すスコッチ、ドック、ロッキー、スニーカー。
みんな絶対自分が見つけてやる!と思っていそうな真剣な様子で、捕り物だけじゃなく、こういう地道な捜査もやっぱりかっこいい。
真剣さというのは、無条件に人の心を打つんだなと思いました。
【スコッチとドック】
ふたりのやりとりで私が愛してやまないのが、ドック登場編の
「冗談じゃないよ!ひとつ間違えば僕が死ぬとこだったじゃないっすか」
「俺が死ぬよりましだ」
というシーンなんですが、さくっとひどいこと言われているのに
「ハードボイルドだ。たしかブランデーとかいったな」と感心しているドックもなかなかです。
今回、ひとりで響組に乗りこみ、組員たちにむりやり握手しながら快活に挨拶をしつつ強引にガサ入れをする案外無鉄砲なドック。
「まったく前後の見境がないな、お前ってやつは」とぼやくスコッチに対し、
「滝さん、あんたも相当ね」
と先輩に対して無礼なドックの物言いを気にするでもなく笑うスコッチ。
両者ともマイペースなせいか、組むことは多くてもあまり“コンビ”感はないのですが、
やりとりは息が合っていて、実はかなり好きな組み合わせです。
動けない二枚目が刑事役をやるほどの悲劇はないと思っているのですが、その点沖さんも神田さんもアクションシーンに限らずちょっとした動きにも自分のカラーがちゃんとあり、かっこよさもコミカルさも表現できて、なおかつこの容姿なのでいうことなしです。
この組み合わせで、逆に隙のないハードな話も観てみたかった気がします。