太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

ドックとラガー

2019年03月10日 | 太陽にほえろ!
昨日放送された「旅サラダ」。ドックこと神田正輝さんが長年司会を務めている番組に、
ラガーこと渡辺徹さんがゲスト出演されました。
徹さんは以前にも出ておられるみたいですが、その回は見逃してしまったので、私にとっては
「太陽」の特典DVD以来のドックとラガーの絡みにワクワクしました。

「太陽にほえろ!」において、チームとしての良さもさることながら、それぞれの時代に
若手の名コンビが生まれていて、それを見るのも楽しみのひとつでした。

テキサスとボン、ボンとロッキー、ドックとスニーカー、ドックとボギー、ボギーとマミー、
ブルドックコンビ等々…。
中でもコンビ歴?が長く、ニコイチ感が強かったのがドックとラガーだったのではないでしょうか。

ふたりの刑事の名前がタイトルになった作品が目立った80年代前半、なぜか「ドックとラガー」という話は
作られなかったですが、ふだんからコンビを組むことが多かったので今さらという感じだったのでしょうか。

今日は旅サラダ記念に、このコンビで印象に残った話を挙げてみたいと思います。



#487「ケガの功名」
高校時代の先輩から妹(早乙女愛)の目付役を頼まれ、兄貴代わりを引き受けつつほのかな好意を抱いているラガー。
その彼女から婚約者だと紹介された男に宝石強盗の容疑がかかり、ラガーは彼女に疎まれながらも刑事として兄貴分として
真相に迫り彼女を守る。

そんなラガーにお節介をやいたり冷やかしたりしながらも近くで支えるのがドック。
ふたりが初めてがっつりコンビを組んだエピソードだったと記憶しています。
逃げる犯人が急に振り返ってラガーに銃を向けるのを、ドックが撃ち落とすのがカッコよかったです。

一係伝統の腹パンチも引き継がれております。

デート代1万円をラガーにむりやり借りられてしまい、自身は山さん(露口茂)から都合2万円借金しているという残念なところも
ドックらしくて笑えます。



#547「ドックの恋愛術」
冒頭、喫茶店でトランプ占いに興じるラガーに「刑法の勉強でもしろ、刑事らしく」とたしなめつつ、
漫画雑誌を読みふけるドック。
強烈な女難の相が出ているというラガーの占いが当たったのか、ドックは電話交換手の女性の周りで次々起こる死傷事件を捜査するため
刑事の身分を隠して女性に近づき事件を解決するが、苦い結末を迎えることになる。


以前、ラガーが拳銃を奪われた事件で、裏切って嫌われるのも刑事の仕事だと諭したドック。

今回、捜査のために近づいた女性が自分を信じ切っていることに罪悪感を覚え、首尾よく進んでいることを喜ぶラガーを
怒鳴ってしまい、はっと我に返って謝る。


ロマンチックな恋愛を望むラガーとドライで現実的な恋愛観をもつドック。
対照的な一面と、同じようなことで悩む共通点と。
一話限りでなく、長い時間をかけてそれぞれの刑事のキャラクターや関係性を描いているのが「太陽」の魅力ではないでしょうか。

女性を守るためにやむなく発砲し、彼女に刑事だったということがバレて非難されるドック。
彼の葛藤を身近で感じていたラガーが、ドックよりも先に泣きそうになっているのが微笑ましいです。

このころまでは、ラガーもそれほど大きく育ってwいなかったですね。体型に差が出てきた後期のドックとラガーについては
また別の機会に。


【アニキと徹】
この当時、テレビ情報誌をはじめとする雑誌で、太陽の若手を中心にインタビューや撮影エピソードのような記事が組まれていました。
楽しく和気あいあいとした雰囲気が伝わる記事が多く、今読み返してもニマニマしてしまいます。

20歳直前で太陽に参加した徹さん。以前にも書いた神田さんのラジオ番組に徹さん(たぶんラガー殉職後?)が、
「アニキに支えられ、叱られたり励ましてもらいながら今まできたので、これからもアニキなしでは考えられない人生」と
メッセージを寄せていて、楽しくふざけあっているだけじゃなく、厳しさもあるからこその絆なんでしょうね。

当時からアニキ愛が強かった徹さんですが、番組終了後何十年も経ったDVDの座談会でも相変わらずのアニキ大好きっぷりを発揮していて、
元々褒められるとはぐらかしがちな神田さんが、「やけに褒められて俺そろそろ危ないんじゃ・・・」と怯えるwという
ふたりの関係性が変わっていないのが嬉しいです。

徹さんのようにストレートに感情を表さない神田さんですが、太陽放映当時に「笑っていいとも」の友達の輪で
マミー→トシさん→ドック→ラガーというスペシャルな流れがあったときに、徹さんを「海や山に一緒に行く弟分」と紹介していて、
公私ともにすごく可愛がっているんだろうなと思いました。

昨日の旅サラダでは、司会とゲストという立場もあり落ち着いた雰囲気でしたが、今までいろんなところでそれぞれが披露してきた
「ふたりでプールに飛び込んでロッキーを助けるはずが、本番で裏切ったドックがラガーひとりに飛び込ませた」ネタを徹さんが
また披露していて、これはもう一生ふたりの持ちネタとして語り継がれるんだろうなと。





撮影の合間にふざけてる…ように見えますが、実は本編中の一場面(#546「マミー刑事登場!」)です。
なんとなく「ドックとラガー」と「アニキと徹」の境目が消え、劇中でありながら舞台裏を見ているような気分になります。
後ろで見守るトシさん=地井さんの笑顔もいいですね。



#550 俺はプロだ!

2019年02月24日 | 太陽にほえろ!


建設会社の社長が趣味のバードウォッチング中に車にはねられて死亡した。
その社長は、早田代議士の土地売買の汚職事件で検察側の証人になる予定だった。

少し前にも証人になるはずだった人物が謎の死を遂げており、一係では早田が二つの事件の背後にいると
考え、もう一人の証人・木崎の身辺警護を申し出たが、木崎はすでにボディーガードを何名も雇い
入院という形で身を隠していた。

そんなとき、若い時に海外に渡り傭兵として生きてきたというジミー森本(長塚京三)が帰国するという情報が入る。


#539『襲撃』に続く、トシさん(地井武男)のアクション編。
放映当時は、「おじさんなのに頑張ってる~」などと思ってみていたものですが、
よく考えたらこのころ地井さんは40代に入ったところ。

ゴリさんが亡くなる直前までハードなアクションをしていたことを思えば、
トシさんだってまだまだ若いもんには負けないですよね。

さて、帰国した森本を尾行していたドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)は、こともあろうに森本本人に
道を聞かれ、彼の宿泊先が新宿のNEW CITY HOTELであることを掴む。
(今さらですが、このホテル犯罪に絡みすぎでは…)

ホテルで森本の部屋の一つ上の階の窓から、入院中の木崎を狙撃できるか検証するトシさんとドック。
「ドックだったら狙撃の成功率はどのくらいだ?」
「え?」と戸惑いながらもドックはルームキーをライフルに見立て構えてみる。

それなりに決まってる…ルームキーだけど。

私もなんでドックに聞くの?と思いました。射撃が得意とはいえライフル撃ってるところなんて見たことないし。
むしろトシさんの方がイメージあるんですが。
ドックも「50%ってとこでしょうか」と冷静な答え。

トシさんは、五分五分ならホテルからの狙撃はない。プロなら確実な場所を選ぶと推理しますが、
いや、50%って言ってるのはあくまでドックですから。

やけにトシさんの信頼が厚いドック。

その後、銃の売人を締め上げ、森本にスコープ付きの狙撃銃を売ったことを吐かせたトシさん。
戦利品を持って一係へ。

今度は本物を構えてみるドック。銃の扱いが手慣れていて、オートマチックだけじゃないのねとちょっと見直しました。


山さん(露口茂)とライフルというレアなカット。
山さんも試しに構えていたシーンがあったような気がしたのですが、記憶違いだったようです。
でも、トシさんとドックが出て行ったあと絶対ちょっと構えてみていると思う…。

ホテルで江の島のパンフレットを見ていた森本が、試し撃ちに選ぶのは江の島に違いないと車を走らせるトシさんたち。
案の定、揺れる小舟の上から岩場に置いたぬいぐるみを撃った森本を発見したトシさんは、森本に狙撃され肩を負傷してしまう。

恐怖に駆られ一度は証言台に立つことを拒んだ木崎をマミー(長谷直美)が説得し、いよいよ公判の日を迎える。
早田の運転手を尾行していたラガーは、彼が財界の黒幕といわれる森川と密会しているところを目撃する。

木崎の車をガードしながら裁判所に向かう一行。しかし、狙撃がしやすいと思われた場所を通過しても何も起きなかったことを
無線で知ったトシさんは、森本の狙いは木崎ではなく早田ではないかと推理し病院を抜け出す。
一連の事件を仕組んだのは早田ではなく森川だったのだ。

トシさんの推理通り、森本は羽田から裁判所に向かう早田を京浜運河から狙撃しようとしていた。


間一髪、ボートの上から森本の肩を撃ち抜き狙撃を阻止したトシさん。
一瞬の隙をついてオートマチック拳銃を取り出した森本を蹴り倒し、手錠をかける。
「どうして早田が狙いだとわかったんだ」
「なめるな、ジミー森本!お前が殺しのプロなら、俺はデカのプロだ!」

かーっこええ!!


【ちいちい前夜】
いかにもプロフェッショナルな刑事のトシさんですが、演じる地井さんは多分に三枚目の要素のある親しみやすいお人柄だった
ようですね。のちに“ちいちい”と呼ばれ旅番組などでも活躍されますが、この当時はそんな素顔を隠し?二枚目を演じておられました。
地井さんもまたプロの役者ですね。

#556 南国土佐・黒の推理 / #557 ~黒の証明

2019年01月02日 | 太陽にほえろ!


七曲署管内で起こった有名カメラマン沢木(立川光貴)の妻の殺人事件。
多額の保険金がかけられていたため夫の沢木に容疑がかかり、撮影で高知に向かった沢木を追って
一係のメンバーも高知に飛ぶ。


プロデューサーの出身地だったから高知ロケが実現したと知り、ずいぶん簡単な理由だなと思いましたが、
私も祖父母が高知にいたので、一係のみんなが高知に行ったということがとても嬉しかったです。
放送後に帰郷した際、高知城でドックとボギーの生写真が売られていてもちろん買ったのですが、
なぜか行方不明なのが残念でなりません。

そんな個人的にもなつかしい高知ロケ前後編。
ジプシーの後任として迎えたマミー(長谷直美)もだいぶ刑事の仕事に慣れてきて、
今回も得意の運転を活かした迫力ある追跡を見せてくれます。

容疑者がカメラマンだということもあり、写真を使ったトリックや、風光明媚な景色もふんだんに盛り込まれ、
改めて観ると推理物としても面白いです。


ハネムーンを装って沢木と同じフェリー、同じホテルで監視するボギー(世良公則)とマミー。
ひたすらぼやくボギーに対し、「自分だけ被害者みたいな顔しないで」と文句を言うマミーがもっともです。
ふたりとも負けてないのでしょっちゅう口喧嘩をしていますが、なかなかいいコンビですよね。

保険金目当てと思われた殺人が、実は保険金はアフリカの恵まれない人々に全額寄付することになっていたと知り、
沢木の動機が不明になり、実際に接したボギーたちもシロではないかと考えた。
しかし、山さん(露口茂)は殺された妻が生前友人にもらしたという「夫が怖い」というひとことを捨て置けずにいた。

そんななか、凶器が発見され指紋から谷口という男が浮かぶ。
奇しくも父の見舞いで高知に帰ったという谷口を追い、ドック(神田正輝)とラガー(渡辺徹)も高知に飛んだ。

谷口が資産家の父に離縁されかかっていて、その前に父親が死ねば莫大な遺産を手にすることから、
沢木と谷口が交換殺人を企てたのではないかと推理するドック。



東京では山さん、トシさん(地井武男)が証拠を探すべく奔走。
距離は離れていても、あいかわらずこのへんの連携は手堅いです。

そんなとき、谷口の遺体が渓谷で発見された。
自殺とも他殺ともとれる転落死に混乱する捜査。
谷口に自分の妻を殺させ、かわりに谷口の父を自分が殺すと信じさせて裏切り殺したのではないかと
疑うが、沢木は撮影した写真を見せアリバイを主張する。

捜査に不利な状況ばかりが続くなか、あきらめずに現場を引っ張るドックがなんだか頼もしく見えます。
ベテランというにはまだ若いんだけど、チームリーダーとしての力がいつのまにかついていて、
今回高知という慣れない土地で本領が発揮された感があります。



マミーの尾行を撒き逃げ出した沢木を追いつめ緊急逮捕するも、妻を殺したと思われる谷口に近づき、
逆に襲われて渓谷でもみ合ううち突き落としてしまったと正当防衛を主張。交換殺人の証明はできないまま拘留期限が迫る。



東京から頼もしい助っ人トシさんも登場。
「捜査方針を立ててくれ。俺もそれに従う」
いままで若手をまとめてきたドックをたてて、自分はサポートに徹するトシさんがまた素敵です。
変に遠慮せずその役目を受けるドックもいい。
スムースに仕事を進めるうえで、良い手本のようなチームです。

山さんは、沢木が世に出るきっかけとなったコンクール入賞作品が、実は殺された妻の作品だったことを掴む。
これで動機も明らかになった。



一方、沢木と谷口の出会いを探っていた高知チーム。
東京の谷口の部屋に鳥の写真がたくさんあったことを思い出したトシさんは、
尾長鶏パークに谷口が出向いたであろうと推理。そこで沢木と谷口が接触したことがわかれば、
沢木の主張は一気に崩せる。

当日パークを訪れた地元の団体客をしらみつぶしに当たり、おばちゃんたちからむりやり見せられたw
スナップ写真に写る沢木と谷口を見つけたボギーとラガー。






「皮肉なもんだな沢木。プロのカメラマンのおまえが、素人の撮った写真で化けの皮をはがされたんだ」
ドックの言葉に突っ伏す沢木。
それを見て同じく突っ伏すドック。やれやれとネクタイを緩めるトシさん。
拘留期限ギリギリで、ついに事件が解決。

このあと、みんなで高知の地酒と肴でおおいに盛り上がったことでしょう。


帰った後は、沢木が撮った写真で盛り上がる一同。



「沢木が写真に裏切られるのは当たり前ですよね! もともと嘘の写真で有名になったんですから」
ラガーからそう評される沢木ですが、なかなかどうして。



いい仕事してます。


#545 さらば!ジプシー

2018年12月31日 | 太陽にほえろ!


1年以上同じ署に在籍したことがなく、七曲署が最長記録となったジプシー(三田村邦彦)に
西多摩署から引き抜きの話がきた。
子どものころから今に至るまで、人から乞われて移ったことがなかったジプシーは戸惑いながらも
そんな自分にしてくれた一係の仲間の厚意に応えるためにも、西多摩署に行く決心をする。


レストランチェーン「ファンタジー」の社長・谷(小松方正)が何者かに銃で狙われた。
幸い怪我はなかったものの、ガードするという申し出を迷惑そうに断る谷に不審を抱いた山さん(露口茂)とジプシーは、
やがて、谷が10年前に時効になった強盗殺人の容疑者だったことを掴む。



やっぱり、ただの被害者じゃなかった。だって小松方正だもの。

谷の過去の事件を知るファンタジーの専務は、谷から殺されかけたために恨みを晴らすべく拳銃を入手して
谷を襲ったのだった。


ジプシー自身も子どものころ両親をある事件で失い、いまだ犯人がわかっていない。
街中でふたたび銃撃された谷の近くにいながら、専務を撃たなかったジプシーは、
時効を過ぎてから姿を現し、盗んだ金をもとにレストランを開業して成功している谷に対して憎しみをもっていた。
しかし、その憎しみはすべての警察官の胸にあると山さんから諭される。

「信じる」という山さんの言葉が、谷と対峙したジプシーが引き金を引くことを止めた。
そして、ジプシーはそんな自分に納得して、西多摩署への転勤を受ける。


一係室でボス(石原裕次郎)、山さん、トシさん(地井武男)に挨拶をし、聞き込みでいないというドック(神田正輝)たちに
会えずに去る寂しさをにじませながらも、七曲署の建物を出て感慨深げに振り返るジプシー。

登場編ではたしか七曲署の看板にガンを飛ばしていたと思いますが、1年ちょっとでずいぶん変わりました。

そこに「ジープシー」と聞きなれた声。

小学生が友達を迎えに来たかのような呼びかけ方です。




ボギー(世良公則)の車で西多摩署へ送るために待ち構えていたらしい。
ジプシーが転勤を受けたと知った時には涙ぐんでいたラガー(渡辺徹)も笑顔で参加。

いざ、走り出したヘイチ号には「JUST転勤!」と書かれ、たくさんの空き缶が仕込まれていた。



呆れつつも笑顔で見送る大人たち。



己のことしか信じない孤高の人だったジプシーが、こんな嬉しさと誇らしさと寂しさの混ざった良い表情で
七曲署を去ることになるとは、最初は想像もしませんでした。
でも、つらい別れが続いたせいか、ジプシーの旅立ちは希望に満ちていて、観ていて自然とこちらも笑みが浮かびます。

キャラクターが変わったというよりも、ジプシー本来の優しさを一係のみんなが引きだしたんだと思います。
人との関わりの中でいくらでも変わることはできる。
人見知りだった私は、彼の姿に勇気づけられ、大人になるにつれそれを実感しました。


【あのころのカルテット】
ミワカントリオだとかカワセミカルテットだとか、そのネーミングはいるか?と当時は思っていました。
ただご本人たちはそういう呼び名があることを知らなかったみたいですね。

呼び方はともかく、このころのメンバーは本当に仲が良かったみたいで、番組を離れても現在に至るまで
つきあいが続いているようです。

必殺のスタッフに、太陽の現場ではクールにふるまえと助言されていた三田村さんが、
神田さんから「さんちゃん」というあだ名をつけられ、クールが3日ももたなかったと話していましたが、
そもそも三田村さんが見かけによらずひょうきんな方のようで、クール設定に無理があったもよう。

仕事仲間というのは、友達とはまた違う特別な絆ができると思います。
タフな現場を毎日いっしょに乗り越えてきたならなおさらでしょう。

DVDの特典映像で、当時の様子が目に浮かぶような楽し気なみなさんを観ていると、
それだけで幸せです。

#419 禁じられた怒り

2018年12月21日 | 太陽にほえろ!


ドック(神田正輝)が街で偶然再会した医学部時代の同級生・美津子(水原ゆう紀)。
彼女は学生時代から熱心にボランティア活動に打ち込んでいて、大学を中退し愛光園という
施設で保母として働いていた。

そんな彼女が絞殺体で発見される。
天使のようだと同僚に評される一方、数日前に自殺した商事会社の経理部長をゆすって
寄付金を得ていたという疑惑も浮上した。

ドックは刑事の仕事と友情の板挟みに悩む。




再会した晩に変わり果てた姿でみつかった美津子に茫然となるドック。
「彼女と何時ころ別れた?」と尋ねられ、
「俺が彼女を殺したと思ってるんですか!」とゴリさん(竜雷太)に掴みかかり、
落ち着け!と諭され我にかえったときの目の変化が良いです。



おお、懐かしいメンバー。
太陽はどの時代も好きですが、なかでもこのメンバーは絵面が強い気がします。大好きです。

保母のかたわらコンパニオンの仕事もしていて、そこで得たいろんな会社の暗部をネタに金をゆすり、園の資金にしていた美津子。
ドックと歩いているところを自殺した経理部長のいた会社に出入りしていたライターに見られ、警察にタレこまれるのを恐れて殺されたのではないかというスコッチ(沖雅也)。

「それじゃあドックが彼女を殺したみたいじゃないですか」と抗議するスニーカー(山下真司)。
たまらず飛び出し、夢中で街を走るドックの前に現れたスコッチが、
捜査の手がかりになる写真を手渡し、パンッとドックの腕を叩いて励ますシーンは
何度見てもいいです。


それにしても、新宿の雑踏のなかのロケなので、周囲の人がチラチラ見ているのがそのまま映ってます。
まあ、見ちゃいますよね。どうしても。



遊んでばかりかと思いきや、彼女に誘われボランティアにも参加していた学生時代のドック。
ゴリさんじゃないですが、意外な一面を見た気がしました。
まあ、居眠りしていて美津子に叱られたりしてるのはドックらしい感じですが、
ビジュアルは俺天のJUNっぽくもあります。

「どんな手段で集めても、金は金」
ボランティアを経験したからなのか、きれいごとじゃなく現実的な考えも持っているようです。

美津子がとった手段は決して誉められたものではないけれど、私利私欲のためではなく、
困っている人を助けるためだった。

その気持ちがわかるだけに、友人の罪を暴くのか、
刑事の職務を全うするのか悩み、一度は握りつぶした証拠のメモを、
たまたま声をかけてきたゴリさんに見せたとき、導かれるように刑事の道を選んだドック。

もしかしたら違う選択もあり得たわけで、ちいさな偶然が人の道を変えるんだなと思いました。


逃げる容疑者を追って、通りがかりのポンコツ車wを借りて追跡するドック。
「ドック刑事のテーマⅡ」をバックに、こんなへっぽこな車での追跡はこの時だけかと…。

スクラップ工場に逃げ込んだ容疑者との対決。
駆けつけたロッキー(木之元亮)、スニーカーに手を出さないよう告げ、
殺された美津子の無念を晴らすように殴りつけます。


得意な拳銃に頼らず、がむしゃらに戦う姿が印象的でしたが、
拳銃を覆面車に置いてきちゃった、というオチ。

このころ、まだ七曲署に来て一か月ほど。
軽くておよそ刑事らしからぬキャラクターながら、実は熱い一面ももっているドックと、
そんな彼を受け入れて、それぞれのやり方でフォローする仲間たち。

自分も仕事をするようになってから改めて観ると、また違った感動があります。





【今月生まれの仲間たち】
七曲署の刑事を演じた役者さんは、なぜか12月生まれが多いようです。
役名で挙げると、長さん(11日)、ボギー(14日)、スニーカー(16日)、ドック(21日)、ボス、橘警部(28日)…
他にもいらしたらすみません。

この当時は半分が12月生まれだったんですね。
子どものころは、自分が同じ月のためささやかな共通点を喜んでいました。

好きな人たちの好きな部分を真似しているうちに、なんとなく身についてきて、
今では逆に「自分と似てる」と思いながら彼らを見たりして…。

どんだけ好きで影響を受けたんだって感じですが、それが彼らでよかったと思います。