太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#561 12年目の真実

2019年06月03日 | 太陽にほえろ!


ドック(神田正輝)には同じ高校から揃って一浪して同じ医大に入った友達が4人いた。
仲の良いその5人が毎年恒例で集まり飲んだ翌朝、仲間の1人・安川が遺体で発見された。
周囲の状況から、安川は建設中のビルの屋上から何者かに落とされたと考えられた。

ドックは仲間を信じながらも、刑事として彼らのアリバイを調べ真実を探ってゆく。



『禁じられた怒り』に続いて、再会した翌日に医大時代の友人を亡くし捜査を担当することになるドック。
そのうえ今回は容疑者も友人というしんどい状況。
それでも前回に比べるとずいぶん冷静に対応していて刑事としての成長がうかがえます。




もう一軒行こうという誘いを断り先に帰ったドックは、酔っ払って自宅に帰るのが面倒だったのか、
翌朝起きる自信がなかったのか、なぜかラガー(渡辺徹)を叩き起こし部屋に転がり込む。

なんともはた迷惑な話ですが、結果的にこれがドックのアリバイになったんですよね。

亡くなった安川は、医大を中退しクリーニング店を営んでいたが、妻が配達中に店の車を盗まれ、
犯人がひき逃げ事故を起こしたまま見つからないため、遺族に払う賠償金を工面するのに苦労していたことが判明。
さらに通夜の席でドックは、彼の母親から「5人のうち息子ともう一人が裏口入学だった」という事実を聞かされる。

…もう一人って、ドックじゃないの?
たしかお父さんがお金払って入学できたのがわかって嫌になった…っていうのが
中退した理由のひとつじゃなかったでしたっけ?

なんとなくもやもやしますが、まあ先に進みましょう。

裏口入学を斡旋していた予備校の職員(北村総一朗)をゆさぶる山さん(露口茂)。

『七曲署・1983』以来でしょうか。北村さんと対峙する山さんはいつも楽しそうw


安川が同じ境遇の友人に借金を頼んだのではないかと思ったドックは、友人たちに事実を確認して回る。
親友に対しても遠慮なく捜査に当たるドックにマミー(長谷直美)やラガーたちは感心するが、
ドックはあくまでも仲間の無実を信じていた。



裏口入学を告白した倉本(大門正明)が、あの晩ビルの屋上で安川と会っていたことも打ち明けたが、
あくまで殺しは否定。
ところで、倉本医院の外観がドックの実家にそっくりなんですが。



状況から倉本が怪しいと睨むラガーは、それでも倉本を信じるドックにちょっとイラついていますw
刑事仲間のドックを医者仲間に取られちゃいそうで焦ってるのか、少し焼きもちも入っているように見えるのは考えすぎでしょうか。
のちにラガーが殉職したとき、ドックが回想したのはこの場面でした。

意外にも、真犯人は安川が生命保険に入っていることを知った、ひき逃げの被害者の夫だった。
妻を喪い途方に暮れる気の毒な夫を装い、実は妻以外の女性と付き合いマンションの購入資金にするため
安川の命を奪ったのだった。

逮捕状を突きつけられ逃げ出す男を捕まえ殴りつけるドック。
当時の一係の中では力が強そうなトシさん(地井武男)とラガーが二人がかりでも抑えきれない暴れぶり。
犯人にぶつけた拳には、安川と仲間たちの分の怒りも込められていた…にしても少々やりすぎて
哀れな犯人は前歯を折られたのでした。


【本日の卒業】
友人が勤める病院の屋上でナーコと再会したドックは、介護の仕事を手伝いたいという彼女を応援する。
その言葉で気持ちを固めたナーコが一係に挨拶に来た。

(ナーコ、ますます綺麗になってる!)

しょげるラガーに「男らしくシャキーンと見送ってやれ」と諭すドックに、
「良いこと言うじゃないか」と言ったときの山さんの口調と表情がツボで何度も観ちゃいます。

ナーコの卒業をもって、一係のお茶くみの歴史は終わりました。
時代の変わり目を感じます。

#552 或る誤解

2019年05月20日 | 太陽にほえろ!
かすみ荘で一流会社に勤めるサラリーマンの手塚が殺されているのが見つかった。
遺体のそばに9時38分を指して止まっている血のついた置時計があり、犯行時間と凶器がほぼ確定された。
凶器の指紋は拭き取られ、近所で見つかった手塚の財布からは現金が抜き取られていた。

ドアノブから前科のある三善(佐野浅夫)の指紋が検出されたが、彼はラガー(渡辺徹)が行きつけの
定食屋の主人だった。

山さん(露口茂)とラガーが店を訪ねると、三善は山さんを店の外に誘いその場で手塚殺しを自白する。
一方、ラガーから事件のことを聞いた三善の娘・和枝(東啓子)は激しく動揺した。
彼女は手塚と付き合っていて、父に反対されて気まずくなっていたのだった。




服役中に知り合った男の娘・和枝を引き取り育ててきた三善。
和枝の結婚話に反対したためにケンカになり、
むしゃくしゃして相手のアパートに押し掛けたら、その男が殺されていた。

直前に和枝がアパートから走り去る姿を見た三善は、彼女が殺したと勘違いして
自分が罪をかぶろうとしたのだった。

和枝はあの晩手塚のアパートの前まで行ったものの、会わずに引き返していた。

父親がどうして自分に確かめもせず罪を被るようなことをしたのかと嘆くが、
山さんは娘を疑うようなことを言ってこれ以上嫌われるのが怖かった三善の気持ちがよく分かった。

血のつながらない息子・隆を育ててきた山さん。
父親参観に行くと約束したのに、この事件で行けなくなり隆から責められたばかりだった。



自分が記憶する限り、親に面と向かって嫌いと言ったことはないと思うのですが、
子どもが思う以上にショックなんでしょうね。
特に父親は取り乱したりしづらい分、いつまでも傷が癒えなさそうです。

親子だからといって何でも話せるわけじゃない。
今回のように、ちょっとしたタイミングのいたずらで物事があらぬ方向に転がってしまうことは
じゅうぶんあり得ます。

取り調べたのが山さんだったから真相にたどり着いたものの、もしかしたら
三善の自供のまま彼は娘の罪を被って逮捕され、娘は信じていた父が恋人を殺したと思い込んで
これから苦しんで生きていくことになったかもしれません。



山さんは、事件を解決するとともに親子の未来も救ったのでした。


一係室に戻った山さんは、ボスから遅れてでも授業参観に行けと命じられる。
「最後の1分でも出たほうがいいですよ」
子どものいるトシさん(地井武男)の一言も実感がこもっています。

あんなにむくれていた隆くんですが、きっと駆けつけたお父さんを見て大喜びすることでしょう。
山村親子もまた、ボスと仲間たちによって救われたのでした。






【本日の走り屋】
交通課から異動して間がないマミー(長谷直美)が、今回得意の運転を披露。
「大丈夫か?」と助手席で怯えるドック(神田正輝)を尻目に容疑者のバイクを追いつめます。


途中で振りきられたボギー(世良公則)は「あなた下手ねー」と言われ、
山さんを学校に送っていく役目もマミーに奪われてしまうw


交通課のミニパトと比べて一係の覆面車は性能も良さそうなので、マミーも嬉々として飛ばしてますね。
そして、車にとっても上手い人に乗ってもらう方が実力を発揮できて幸せでしょう。

いろんな規制がかかる前のこの時代は、カーアクションも迫力があって観ていて血が騒ぎました。

#558 疾走24時間

2019年05月04日 | 太陽にほえろ!
給料日に飲んで帰る道すがら、後ろから尾行してきた男に給料袋を奪われそうになるボギー(世良公則)。
ボギーに反撃された若い男は杉本良平(長谷川諭)と名乗り、免許証も見せ父親の借金の返済が明日に迫っていて
やむを得ずやってしまったと平謝りしたため、同情したボギーはなけなしの給料をほとんど渡してしまう。

しかしその翌日、良平と似た特徴の若い男によるひったくりが続発。
そのうちの一件の被害者が、助けたマミーの目を盗んで姿を消したことから事件は思わぬ方向へ。



情に厚く人を信じやすいボギーが巻き込まれる犯罪のひとつのパターンと言えるでしょう。
とくに自分より若い者に対して兄貴気質が炸裂するため、冒頭から観ているこちらが「あゝ、ボギー…」と
心配した通りの展開に。



なごやかな雰囲気ですが、実は給料日の翌日に後輩のラガー(渡辺徹)から金を借りようとする図w

少年課や交通課の後輩からも借りていることをドック(神田正輝)に責められ、トシさん(地井武男)や山さん(露口茂)からも
どうしたことかと問い詰められる。

自身も山さんやジプシー(三田村邦彦)に借金していたドックがボギーを責める資格はないと思いますが、
そのドックのところに少年課・交通課の被害者wたちが借金に来るという…七曲署、どうなっとるんじゃ。


捜査の過程で、姿を消した被害者が竜神会の息のかかった人間で、盗んだダイヤモンドを鞄に入れていたことがわかる。
街で良平を見つけ身柄を確保したボギーは、ダイヤをとりもどそうとする竜神会から追われることに。


車の窓に映った人影で尾行を知るボギー。なんかカッコいいんですけど!



粘って引きずられる良平。粘り強さが可笑しみに。

良平父の話は嘘だったが、一緒に甲府から遊びに来ていた彼女・香が、街でトラブルになった男たちに囚われ
彼女を救うために30万円をかき集めていたことが分かった。

竜神会から追いつめられ、銃弾の雨を逃れあわやのところを駆けつけた仲間に助けられたボギーと良平は、
約束の時間ギリギリに30万円をもって香が囚われているマンションへ飛び込む。


「おめでとう!良平くん」

なんと、これはチンピラのように見えた3人組の若者がとっさに思いついたゲームだった。
良平が時間までにお金を集めて香を助けに来るか否か。
しかも香もそれを承知でその遊びに乗っていたのだった。

3人組の中に、のちに“顔面凶器”と言われる小沢仁志さん(白いジャケット)がいるため、まさかゲームとは思いませんでした。
小沢さんはこれがデビューだそうですが、すでに安定の悪人顔w 

茫然とする良平の代わりに、ボギーの怒りが爆発! 3人をボコボコに殴り倒してしまう。
「ちょっと手こずっちゃったけど」
そういいながら傷だらけの顔で笑うボギーにあきれ顔のドックとラガー。

「減俸だな、おまえ」(何回目?)


3人組の恐喝が原因で良平はひったくりを繰り返したにもかかわらず、3人組よりも良平の罪が重いことに憤慨するボギーは
ボス(石原裕次郎)に対し、「俺の考えが間違ってるならクビにしてください。俺はそんな冷たいボスの下で働きたくない!」と抗議。

そこに取り調べを終えたトシさんが良平を連れてくる。
「刑事さんのような友達がいると思えば頑張れる。きっと罪を償ってやり直す」
そう誓う良平。
彼の口から、ボスと山さんが情状酌量の証言をしてくれるということを聞いたボギーはすぐさま前言撤回。

今日の当直も進んで買って出て許しを請うボギーに、すっとぼけた表情を向けるボス。
このころは若手だけでなく、ボスも面白さに重きを置いていたんでしょうか。
昔よりおとぼけの表情を見せてくれることが多かった気がします。


【本日の卒業生】
『ゆうひが丘の総理大臣』で優等生遠藤役だった長谷川諭さん。
出てくるとどうしても「遠藤!」と呼んでしまいそうになります。
他の生徒役とくらべても『太陽』への出演回数が多く、以前にロッキーやラガーの回で犯人役を演じ、
こののちにドックの回にも登場し、木念先生と遠藤のツーショットが実現します。

根は真面目でいい人間なんだけど、つい犯罪に手を染めてしまう…そんな若者像にハマっていたと思います。


#553 ドックとマミー

2019年04月30日 | 太陽にほえろ!
めずらしく渋い色味のジャケットを購入したものの、やっぱり地味じゃないかと署に戻ってからも
ぐだぐだと悩むドック(神田正輝)。
若いもんは少々地味なくらいが似合うとボス(石原裕次郎)に励まされ、マミー(長谷直美)とともに
街に聞き込みに出たところ、幼い女の子から父親と間違われてジャケットの裾を引かれる。

迷子らしいその子は「ちえみ」と名乗り3歳だと言うが、対応に困っていたところに近くで男が殴られ重傷との知らせが入る。
やむなくちえみを連れて急行したふたり。
ドックは自分とそっくりのジャケットを着た被害者を見て驚くが、なんとその男はちえみの父親だった。




可愛いうえに人懐っこい最強の3歳児。

一晩だけという約束でマミーの家に連れて帰ってもらったが、ちえみは「お兄ちゃん」の一点張り。
電話口でお兄ちゃんを呼んでとせがむちえみと、うしろで泣き叫ぶ自身の双子。
マミーの「ちょっと、おかあさーーん」が妙にツボです。


岩城家阿鼻叫喚の図。


マミーから連絡を受けまんざらでもないドックと、ドックよりもなぜかさらに嬉しそうなラガー(渡辺徹)。

アパートにちえみを連れて帰ったドックは、ちえみの家がコーヒーを扱っている店らしいことをつかむ。
翌日コーヒー豆を扱う店を中心に探したドックとマミーは、ついに高谷というちえみの家に行きつき、
近所の人から、妻を喪ったちえみの父親に最近再婚話があったものの破談になっていたことを聞く。

高谷は北署が3年前から追っている島田紀子という女から、結婚詐欺で500万円もの金を奪われていた。
島田の行方を探そうとした矢先、高谷が心不全を併発し死んでしまった。


ちえみが欲しがっていた『赤ずきん』の絵本を買い与えたドックとマミー。
狼に食べられた赤ずきんとおばあさんを猟師のお兄さん(=ドック)が狼のお腹を切って助けた…と読み聞かせたマミーの
アレンジがのちのちまで影響します。

パパは死んでしまってもう会えないと伝えるドックに、「狼のお腹をハサミで切って」とせがむちえみが悲しい。
「パパは狼に食べられちゃったの?」と聞かれてそう答えてしまったマミーの気持ちもわかりますが、
ならばちえみは当然お兄ちゃんに助けてもらいたいと思うでしょう。

父親の死を、このときのちえみがどのように理解していたのかはわかりませんが、
声をふるわせながら真剣に伝えようとするドックと、こらえきれずに涙ぐむマミーの様子から、
幼いながらに大変なことが起きたということは感じたのではないでしょうか。

そこに山さん(露口茂)が現れ、ちえみを施設に連れて行けと命じる。
せめて今夜だけはそばに置いてやりたい。かわいそうです。
そう訴えるドックに山さんが告げた一言が、最初に観た時から忘れられません。


「明日になれば、かわいそうじゃなくなるのか」

ホントにそうだと思います。ひとときの感傷に流されず、本当にちえみのことを思えばそうするしかないでしょう。
そしてそれはドックのためでもある。
冷たいようだが…そう淡々と、しかし厳然と言い放つ山さんの言葉には、深い深い愛情が込められています。


施設に預けようとした際に、ドックの腕にしがみついて離れようとしないちえみ。
このシーンがとても自然で感心します。
いつの時代も天才子役といわれる子はいますが、だいたい何歳くらいから“演じる”という自覚ができるんでしょうね。

彼女はいわゆる上手い子役という感じではなく、あくまで自然で演技くさくないので、
逆にどうやって3歳の子に芝居をさせていたのか知りたいです。

幼い子の多くは、大人の男性を敬遠し女性には懐きやすい傾向があると思いますが、
ちえみはマミーといるときよりドックといる方が明らかに嬉しそう。
3歳にしてすでに女子力が高い感じで末恐ろしさもあります。

これだけ可愛いのに他の作品で観た記憶がなく、今はどうしているんでしょう。


高谷がだまし取られた大金を取り返そうと島田紀子を探すものの、彼女は何者かに殺されていた。
島田と共謀していた男が高谷を殴り殺し、口封じに島田をも殺害したと思われた。
であるならば、あの日高谷と一緒にいたちえみも危ない!

施設から、森にお兄ちゃんを探しに行くと言って出ていったちえみの行方を追うドックたち。
今回、いつもに増してドックの運転が攻めていて、うん、いいですねw

間一髪、男がちえみに手をかける直前に駆けつけたドックとマミー、そしてラガーの連携で事件は解決。

ちえみを引き取ると宣言したドックに、まさに子育て奮闘中のマミーが諭す。
「子どもはペットじゃないのよ。病気もするし、悪さもするの」

自分を慕い懐いてくる天涯孤独となったちえみに情が移るのはわかるものの、
ふだん冷静で合理的なドックが「引き取る」と決めたことに驚きました。
これがボギー(世良公則)やラガーならなんとなく納得しますが。

いっしょに育ててくれる相手の当てがあったのか?
男手ひとつで育てるなら、一係の仕事は続けられないでしょう。
たとえば内勤に変わってでも育てるつもりだったのか。

いい加減な気持ちで決めたわけではないと思いますが、それでもやはり思い直して
ドックはちえみを引き取りたいという高校教師夫妻に託すため、
ちえみが気に入っていたジャケットから革ジャン・黒いサングラス姿に着替え、
大嫌いな犬(しかもボクサー)を連れてちえみの前に立つ。

教師夫妻の夫の方が来ていたジャケットはちえみの父親のもの?ドックのもの?
ちえみがジャケットの匂いを嗅いで安心したように緊張をゆるめたのが印象的でした。

わざと嫌われて自分のもとから離れさせようとするドックの意図を酌んだ教師夫が、
さりげなくドックに慈悲のこもったまなざしを向けるのが泣かせます。
そして、ちえみもなんだかドックの気持ちをわかって吹っ切ったように見えるのは深読みしすぎでしょうか。



夫人から真っ赤な帽子をプレゼントされ、まさに赤ずきんちゃんになって施設を去るちえみ。
彼女の明るい笑顔と夫妻のやさしく温かな声。
それを背中に受けながら別れを告げるドック。
そんな彼を気遣うように見上げるボクサーw

このころのドック編は、初期にはなかったほろ苦い結末が増えた気がします。

「着ているもんが違うだけでそっぽ向かれちゃうんだもんな」
犬の効果が絶大だったと思うのですが、それは言わないドックのやさしさ。
それがボクサーにも伝わっていたのでしょう。
「お前を気に入ってキャンキャン鳴きどおしだと」


やっぱり。そんな気がしてた!

さよなら、マカロニ刑事

2019年03月30日 | 太陽にほえろ!


多くの人が突然の訃報に茫然としたと思います。
萩原健一さん、68歳。
長年闘病されていたことも初めて知りました。


「太陽にほえろ!」を愛し続けているにもかかわらず、実は歴代新人刑事の中で
一番よく知らないのがマカロニです。
放送当時はまだ幼くほとんど記憶がありません。

例えば部活の伝説のOBのような、ちらっとお見かけしたことはあるけど
怖そうで近寄れない。でも、先輩たちがちょっと自慢気に話しているのを
何度も聞いている…。

マカロニ、ジーパンはそんな存在でした。

近年になり、ようやくスチール写真だけでなく動くマカロニを観る機会に恵まれ、
なるほど、男が、女が、惚れるのが分かった気がしました。

どこを切り取っても絵になる、独特のカッコよさ、かわいらしさ、色気のある人です。

「太陽」という番組が伝説になったのも、萩原さんが初代新人刑事として参加したから。
これは、誰もが異論はもたないでしょう。

見た目だけでなく、才能・センスもずば抜けたものをもっていたんですね。

破天荒なイメージが強いですが、最近ではずいぶん丸くなられて、もしかしたら
OB会にも出席してくれそうな…話しかけても大丈夫そうな、でもやっぱり狂気を秘めていて
近づいたらいけない気がする、そんな印象でした。

「ショーケン」と呼べるほど親近感はなく、訃報がショックではあるけど涙は出てこない。
でも、自分でも信じられないくらい寂しいです。

ボスや長さんたちに、「お前来るのが早すぎるぞ」と叱ってほしい。
てへへ…と困ったように笑って頭をかくマカロニの姿が浮かびます。


萩原健一さん、ありがとうございました。
どうぞ安らかに。