太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

「大都会PARTⅡ」#46 霊感聖少女

2018年04月23日 | 刑事・探偵モノ
犯人逮捕の際、外で見張っていたはずのジン(神田正輝)は、荷物が多くて困っていた老婆を
タクシーに乗せてあげていて、そのすきに容疑者の一人を取り逃がしてしまった。

現場にいた徳吉(松田優作)と宮本(苅谷俊介)は気にするなと慰めてくれたが、
課長(滝田裕介)からは交番勤務の方が似合うんじゃないかと嫌味を言われ、
黒岩(渡哲也)のとりなしでようやく課長のお小言から解放されるものの
固い表情のままのジン。



その晩、一人で飲みに行ったスナックでは「教師か税務署の人?」と言われ
ますます自信をなくしていたところ、霊感があるという少女から「警察の人」と
言い当てられて、彼女の予知を聞かされたジンは、翌日その話の通りに強盗の現場に居合わせ、
犯人の一人を逮捕する。

その後も少女の予知の通りに動きお手柄を立てるジンだが、黒岩はその少女は容疑者の身近な人間で、
予知という形で犯行を食い止めたいのではないかと推理する。


いや、どう見ても少女の予知が具体的過ぎて怪しいんですが、まったく疑っていないジンさん。
素直すぎる…。


トクさんに代わって取り調べを担当。犯人に故郷や母親の話をして見事に落とすジン。
調書を書く場面で、さらさらと縦に波線を引いてるだけという神田さんの雑な芝居がひそかにツボです。


やはり少女は犯人グループの一人の妹だったことが判明。
「刑事になって何年になる」
黒さんに叱責されますが、実際そんなに経ってないですよねw
少女からは、誰にも言わないと約束したのにと罵られ踏んだり蹴ったりです。

それでも、彼女が兄を心配する気持ちは本物だと信じ、少女に兄を探させることを黒さんに頼むジン。
黒さんは、そんなジンを信じて任せてくれる。

リーダー格の男に殺されかけていた兄を間一髪で見つけ出したジン。
宗方医師(石原裕次郎)の手術で一命をとりとめ、少女からはありがとうと感謝される。


諸先輩方は、宗方先生が手術室から出てきたら容体を訪ねる前にまず煙草を差し出すのですが、
「煙草」「マッチ」と、いちいち所望されてしまう気の利かない感じが新人ぽくて好ましいです。

ほっとしたせいか涙ぐむジンに、「俺、そういう刑事好きだぜ」と肩をたたく宗方先生。

車で待っていた黒さん、トクさんに報告してハンドルを握るジン。
助手席のトクさんは霊魂を信じると言い、後ろの席から黒さんがそれを茶化す。

ふたりとも、この事件でジンが失敗や葛藤を乗り越えて、それでもなんとか彼の信じるやり方で
事件を解決できたことを喜んでいるのが伝わってきます。

新人というのは、失敗したり出来なかったりして迷惑も心配もかけるけれど、
だからこそ先輩たちにとっても必要な存在なんだと、自分が社会に出てベテランと言われる年代になって
改めて感じます。

トクさんの話に笑いながら運転するジンの横顔が急にすこし大人びて見えて、あんなに自信無げだった冒頭の場面とは別人のようです。


そんなジンに自分の煙草を吸わせるトクさんの表情がなんともいえず優しくていいですよね。


ドラマではあるけれど、ちょうど神田さんの新人時代と重なっていて、裕次郎さん、渡さん、優作さん…
みんなが役柄と同様、厳しくも温かく見守っている雰囲気を感じられて、とても好きなエンディングです。