深夜、喫茶店のレジから売上金を奪った男が、翌朝撲殺体で発見された。
目撃者を捜す中で、態度に不審な点がみられた坂口というチンピラをマークしたゴリさん(竜雷太)。
しかし、刑事たちの裏をかいて姿を消した坂口もまた、翌朝撲殺されてしまった。
レジ強盗を殺したところを目撃し、それをネタに金をゆすろうとして返り討ちにあったと推理された。
容疑者は、前日坂口を乗せたタクシーの運転手・加納(小野進也)。
彼は、元埼玉県警の警官だった。
警官時代、容疑者を捕らえる際に発砲したことが問題視され、今度は拳銃を使わず格闘した末に
容疑者を死なせてしまい謹慎処分を受けた加納。
「警官は自分を守っちゃいけないのか。死ななきゃ同情されないのか」と叫んで辞職し、
タクシー運転手として再出発していた。
最初にレジ強盗の撲殺体を発見した吉野巡査(横谷雄二)は、加納が元警官と知り、
よけいに許せず捜査に協力したいと意気込むが、ドック(神田正輝)たちに止められる。
なんか危ない空気が…と思ったら、案の定自分を囮にして加納の化けの皮をはがそうとし、
加納にぼこぼこに倒されてしまう。
幸い命は助かったものの、吉野は心身ともに傷ついてしまった。
ゴリさんはある朝署への連絡を絶ち、単独で加納に接触した。
加納がヤクザ者を襲うのは正義のためなどではなく、もともと人を殺すのが好きな殺人マニアだからだ。
その推理を本人にぶつけ、一生かけてもつきまとい正体を暴くと宣言する。
冷静を保ってきた加納が、ついにゴリさんに牙をむき襲いかかった!
かつてスコッチ(沖雅也)が、「拳銃は、持てば必ず人を撃ちたくなる」という持論を語っていましたが、
拳銃にしても武術にしても、あるいはお金や名誉なども、持っている人が使い方を誤るととんでもない結果を招きます。
正義の反対は悪ではなく別の正義だと思いますが、加納の場合も自分なりの正義を信じていたのか、
それとも自分の暴力性を自覚しつつ正義の名を借りて正当化していたのか。
そして、加納は行き過ぎた例だとして、はたして内なる暴力性というのは特別なものなのか。
ボス(石原裕次郎)がゴリさんに、
「今度の事件で闘争本能をかきたてられたんじゃないの?」とからかっていましたが、
ゴリさんに限らず、そうした本能のスイッチが入ってしまうことは全くないと言い切れるか。
アクションものを好んで観ている自分自身にも問い直すきっかけとなったエピソードでした。
【本日の因縁】
一係の刑事たちと対決する役どころが印象的な小野進也さん。
いかにも悪そう…には見えないのに、ひとりよがりな理由で罪を犯す役が多い気がします。
今回は、空手の有段者である吉野巡査を半殺しにし、一係随一の武闘派ゴリさんを苦しめる姿が
恐ろしかったです。
そして、のちにカナダでロッキー(木之元亮)を射殺。その数年後にはドックにこれまた理不尽な理由で
決闘を申し込みます。
ドックとの決闘、拳銃でよかったですよ。殴り合いだったら殉職してましたよ、きっと。