太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

#529 山さんの危険な賭け

2018年09月03日 | 太陽にほえろ!


東亜医科大学研究所から、致死率24%の伝染病ウイルス・マールブルグ菌が強奪された。
襲われたガードマンの証言から、犯人3人組の1人はボクシング経験者らしいことが判明。
山さん(露口茂)は、最近の響組の様子がおかしいことから、元ボクサーの組員川本ではないかとにらむ。




もしも菌をばらまかれたら…と怯える研究所の深町助教授(小野武彦)。ちょっと田中哲司さんに見えなくもない?
彼とライバル関係にある別の助教授による内部犯行の可能性も考えられたが、のちにその疑いは晴れた。

そんななか、都内でマールブルグ菌に感染した患者が発見され、内閣広報室に脅迫電話がかかってきた。
明後日の夜9時までに南米の口座に日本円にして25億円を振り込まなければ、マールブルグ菌を保有したゴキブリを
ばらまくという内容だった。

ボギー(世良公則)の聞き込みで川本を見たという証言を得て鉄工所に急ぐ刑事たち。
山さんは、全員防弾チョッキを着用するよう指示する。



この鉄工所でのアクションがなかなか熱くてしびれました。
何も言わず飛び出していくジプシー(三田村邦彦)は登場編の車での突っ込みを彷彿とさせ、
それを追い走っていく山さんの姿は、ふだんほとんど見ないだけに貴重です。

ラガー(渡辺徹)とボギーが援護射撃というのも、ドック(神田正輝)が銃ではなく格闘で組員をおさえるのも
いつもとは違って新鮮です。
そして劇伴が「ジプシー刑事のテーマ」と「ボンボン刑事のテーマ」。燃えます。

しかし、そこに川本の姿もウイルスもなく、拳銃の密造現場を押さえただけだった。
山さんは、飛び出したことではなく、防弾チョッキを着用していなかったジプシーを責める。



「着けると動きにくいし、着ていたから必ずしも安全ではない」とフォローするボギーとドック。
たぶんみんな着ていないw

山さんは、「おまえたちの命はおまえたちだけのものじゃない。俺たちの捜査に全市民の命がかかっていることを忘れるな」と説く。

直後に、川本の死体が発見された。
山さんは、研究所を辞めるという深町を訪ね、妻を亡くし失うものは何もないという彼の言葉にひっかかり、
妻の闘病の資金を響組系のサラ金から借り、先日完済していることから、深町が主犯で響組が噛んでいると確信する。

あくまで金が目的の響組と、いざとなったら菌を撒くことを辞さない深町との仲間割れの瞬間がチャンスだと、
その機会をうかがう山さん。
動き出した深町を尾行し、ある喫茶店に入る。失敗したら後は任せるとジプシーに託して…。

しかし、喫茶店じたいが響組の息がかかっており、山さんは拳銃を奪われ手錠をかけられる。
それを察したジプシーが、ガスの点検を装い店の地下室に入ると、そこには深町と組員たち、そして山さんがいた。

内閣から金は引き出せないと知り、案の定分裂する深町たち。
響組から裏切られ殺されそうになった深町が、ここにある菌はニセモノで、本物は別の場所に隠していると告白。
山さんは、その場所を聞き出すため危険な賭けに出る。

――内閣から金を引き出す代わりに俺も仲間にしろ。信じられないならこの場で原刑事を射殺して見せる。
信じられない様子の一同をしり目に、山さんは淡々とジプシーに銃口を向け、引き金を引く。

ボスを撃った時とは大違いでしたね。もちろんジプシーの右胸心を生かしたことは私たちにはわかりますが、
この場の一同は山さんの大胆な行動に度肝を抜かれています。
そんな彼らの隙を狙い、山さん、そして死んだふりをしていたジプシーの連携で一網打尽に。

失うものはないという深町の、自分の命だけは惜しいだろうという心理を突いて、菌の場所を吐かせる山さん。


仲間も躊躇なく撃つ姿を見せつけられたばかりの深町は、恐怖のあまり自白。
マールブルグ菌が東京に蔓延する危機は回避できた。


肋骨にひびが入っただけだったというジプシーを、「折っちゃったほうが治りが早い」といって
道場に連れ出すドックたち。
菌が撒かれても、あいつらだけは死なないだろうと呆れるボスと山さん。



ラストのボスと主演刑事のやりとりはいつも楽しみですが、山さんとの絡みはボスもすごく楽しみにしていたんじゃないでしょうか。
そんな空気が伝わってきます。