太陽LOG

「太陽にほえろ!」で育ち、卒業してから数十年…大人になった今、改めて向き合う「太陽」と昭和のドラマ

「大捜査線」#2 男たちの挽歌

2018年11月05日 | 刑事・探偵モノ
初回で特に登場人物の紹介もなく詳細は不明ですが、
第四機動捜査隊は、隊長(山内明)、その中のひとつの班の主任が加納(杉良太郎)、
班員に沢木(神田正輝)、都築(本阿弥周子)というメンバー。

加納主任は30代半ばから後半?
都築と沢木は同期かそれに近い間柄のようで、
若いけどそれなりに経験は積んでいる20代半ばから後半という設定でしょうか。
ちなみに、都築は主任をお慕い申し上げている様子w

さて、第2話。香港映画ばりのタフなタイトルですが、意外にも沢木刑事(神田正輝)の出番が多い回です。
そして、演じるのが神田さんだけに、独特のほんわかムードが漂っています。



加納主任が天ぷらそばを食べ終わるころ、どこからか戻ってきた沢木。
「冷めてるぞ」という主任の言葉もかまわず、冷めてるというかのびてる天ぷらそばを食べだしました。

「毎日パトカーに乗ってばかりで曜日の観念がない。こんなことでいいのかなって時々思うんですよね」
ぼやきつつも勢いよくそばを啜っているので、まだまだ大丈夫そうです。

そんな折、団地の近くで暴走族がたむろしていて迷惑という通報が入る。
警ら中のパトカーが現場に着き、少し離れた場所から様子を見ていたものの、
「病気の孫が眠れない」という再三のおばあちゃんからの訴えに、
岡島巡査がパトカーを降り、立ち去るよう頼みに行く。

無線を受けていた佐藤巡査はそれを見送ったものの、直後に岡島巡査が暴走族のメンバーに
撥ねられ死亡してしまった。

城西署と四機捜では、暴走族メンバーのなかから岡島巡査を撥ねた者を探し出すべく乗り出す。
捜査の網にひっかかったリーダーと二人の若者のうち、ひとりは族のメンバーではなく、
たまたまリーダーと知り合い一緒にいた辺見(小野進也)だった。



佐藤巡査の目撃したバイクと同じくナンバー末尾19のバイクに乗る辺見を尾行し海までやってきた沢木。

「海はいいなあ」のんびり話しかけます。
たしか「大都会PART2」のジンも、容疑者に同じように語りかけてました。

孤児院出身で何度も少年院に入った辺見は警官を憎んでいた。
少年院を脱走し海に来た思い出話をし、沢木は沢木で「税金泥棒だといわれるけど、それは違う」と、
一歩間違えば命を落とす危険な仕事を、それでも身を粉にして働いている多くの警官の現実を訴える。

「今いちばん何がしたい?」沢木に問いかける辺見。
「そうだなあ、恋人と一日中こうやって砂浜にいることかな」
「恋人はいるのか?」
「いない」
「俺もいねえんだ」


……なんですか、友情育んじゃってますか。
のちに太陽で何度も相対する小野進也さんだけに、こんなになごむ絡みは貴重です。

しかし、族のリーダーは取り調べで、メンバーではない辺見を売り彼が撥ねたと証言。
辺見の無実を信じる沢木が任意同行を求めると、辺見は沢木に心を開いていただけに怒りも大きく、殴りかかってくる。
ゴリさんを苦しめた小野進也相手で(ごちゃ混ぜ)沢木もボコボコですが、なんとか取り押さえます。

黙秘を通す辺見だが、加納主任の説得に沈黙を破り、無実を訴え釈放される。
自由の身になった辺見だが、口封じのため暴走族のメンバーに囲まれ人目のない原っぱへ連れていかれる。
辺見を尾行していた沢木が駆けつけ、車に乗せて助けだそうとする。

お、沢木のカーアクションか?!と期待したのも束の間、まさかの泥濘にはまってスタック。
パチンコでフロントガラスに石をぶつけられ、バットでガラスを割られ絶体絶命。
「俺を差し出せ、それで済む」
沢木を助けようとする辺見。そんなことできるかと、拳銃を抜く沢木。…銃持ってたんかい!

これが神田さんがオートマチック拳銃を使うきっかけになったドラマだと聞いていたので、
よし、いよいよ!と思ったら、威嚇だけして撃ちませんw

そこに加納主任登場!
出てきただけで、さっきまで暴れていた族のメンバーたちが静かに…。
遠山の金さんか!!
なぜか律儀に一人ずつバイクで突っ込んでくるメンバーを次々撃ち倒し、戦意喪失させて制圧する金さん、もとい加納主任。

岡島巡査の位牌の前で事件解決を報告する刑事たち。
泣き崩れる母親にかける言葉が見つかりません。



その帰り…と思われる車内でなぜか服装が違う沢木が、ぽつりとつぶやく。
「俺が死んだら、故郷(くに)のお袋が悲しむだろうな…やだなぁ」

沢木刑事は、ホントに普通の神経をもった善良な青年です。
のちに彼が殉職するそうで、それを思うとこの一言が沁みます。

「君は人のために死ねるか」
エンディングテーマが、曲だけ聞いてたらちょっと笑えちゃうんですが、
たぶん見続けているうちに泣きながら聴く日がでてきそうです。

加納刑事が発する言葉は、語り口は冷静ながら情熱を秘め、存在感にも有無を言わせぬものがあり、
さすが主任、さすが杉サマ。

ですが、当方では今後も沢木刑事を中心にお送りいたします。