久々の治療に関する投稿です。
当院に来院されるようになって半年ほどのご夫婦、Oさん夫妻のお話。
先に私のところへいらしたのは、ご主人でした。
初診時の症状は、肩の痛みが酷く両腕とも挙上不可。うつむくと両下肢に痺れ。左股関節痛。
もう少し、病の背景を伺いますと昨年から1年間ほど悪性リンパ腫の治療(抗がん剤、放射線治療)を受けていらしたとのこと。
その間に起きた症状の引き金になりそうな事柄をお聞きしたところ、自営業であることから人事上の気苦労があったとのこと。そのあとから肩が痛み出したそうです。(現代人では過度のストレスが病の原因になるケースは、かなりの割合に上ります)
夫々の症状については、心理的背景も考慮して治療することにより緩快したのですが、その後もリンパ腫の再発を懸念して免疫力を高めることを目的にした治療も継続していました。
奥様も、この半年の間に度々、肩こり等の治療で来院されていました。
そんな矢先、Oさん夫妻から驚きのお知らせを戴きました。
何と奥様が妊娠されたとのこと!
通常、抗がん剤、放射線での治療を行うと精子の受精能力は失われますので妊娠は不可能なのですが、Oさん一家には奇跡的にコウノトリが舞い降りたのです。
Oさんのご主人の治療を振り返りますと、確かに男性の不妊治療にも用いるツボが治療のメインになっており、しかも自宅でも毎日お灸をするようにお話していました。
主訴から首肩や股関節、リンパ節を狙ってはいましたが、私の治療が病名に関わらず身体のバランスをとることを目的にした診断・治療方法の為、結果として不妊治療にも関係するツボが鍼灸治療の場として選ばれていたわけです。
私は、今回のOさんのケースにて少々考えてしまいました・・・
Oさんの場合には不妊治療ではなく他の主訴での来院でしたので治療をお受けしました。
これが、もし・・・不妊治療メインで相談を受けていたら、どう答えていただろうか?
恐らく、常識的に考えてお断りしていたであろうと思います。
治療を請け負える限界を判断する難しさを考えさせられてしまいました。