大学2年の時のこと。
他大学の学園祭を回りをしていた。
友人やグループで行くこともあったが
その日は1人で早稲田祭に行った。
屋外にはサークルや有志の露店が並び
男子学生たちが女性グループを狙ってナンパのように営業をかけている。
慶応なら女子学生が男性に声をかけてくるのだが
早稲田の場合は慶応とは全く対照的だった。
女の子たちが断るのに苦労している様子を見て
こういう時「○○」が使えないだろうかと思っていた。
自分自身その時、アイデンティティや自己表現に悩むことがあり
その解決の糸口として自分の中に見え隠れしたいたものが「○○」であった。
あちこちで女性グループが声をかけられているのを見ながら
自分のような男一人を誘ってくるのは××ぐらいのものだと思って歩いていると
「ねえ人生について考えてみない?」
坊主頭の兄ちゃんが声をかけてきた。
思っていた通り××だ。
この兄ちゃんは根は明るそうなのだが
(この後は勝手な想像)
田舎から東京に出て来て都会的なたの学生や東京人にはなじめない。
浮いた存在になったり理由もわからずハブられたりして
行きついたのが宗教団体といった感じだった。
先程の「○○」を出してみようか。
そう思いつつリアルの世界で使うには躊躇するものがあった。
とりあえず「いいです」といって離れようとしたら
「ねえいいじゃない」と言って腕を掴んできた。
その時やはり「○○」を使うことを決意した。
呼吸を整え心を落ち着かせた後
その男の目を見ながら言葉を放った。
「あの、シワマです」
彼は一瞬「信じられない」といった表情を浮かべると
それまでのテンションは一気に下がり
「シワマってそんな」と言いながら
掴んでいた私の腕を放した。
シワマの予想以上の威力に自分自身も驚いた。
そしてそれまで見え隠れしていただけのものが
この瞬間に自分の中で堅固なものとなった。
その後まるで勝ち誇ったかのような気分で
しばらく早稲田のキャンパス内を歩いていたが
ふと先程の兄ちゃんが気になってきた。
先程の場所に戻ってみたが
二度と彼を見つけることはできなかった。
この日は1983年の11月6日。
「シワマ記念日」と名付けました。
ちなみに私のHNのシヤマとは、このシワマから来ています。
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