東医宝鑑 内景篇(内科)四
二五、小便(一〇)
秘精元 脬が冷え小便が白く濁るときに使う。
処方 牡蠣煆、兎絲子酒製、竜骨、生五味子、韭子炒、白茯苓、白石脂煆・桑
螵蛸酒灸を各等分に細末し、酒糊で梧子大に丸め空腹時に塩湯で七〇~
九〇丸呑み下す。
固本元 小便の濁を治す。
処方 甘草灸三両、猪苓二両半、蓮花芯・黄連各二両、白茯苓・縮砂・益智仁
・半夏薑製・黄柏炒各一両、湯浸蒸餅で梧子大に丸め空腹時に温湯で
五〇~七〇呑み下す。
半苓丸 白濁を治す。即ち精門猪苓丸である。
導赤湯 小便の濁ったのを治す。
処方 木通・滑石・黄柏・赤茯苓・生地黄・梔子仁・甘草蛸各一銭、枳殻・白
朮各五分を剉作し空腹時に水で煎じて服用する。
加味清心飲 心熱で小便の赤濁の症を治す。
処方 蓮肉・白茯苓・各一銭半、益智仁・麦門冬・遠志・人蔘各八分、石菖蒲
・車前子・白朮・沢寫・甘草各五分を剉作して燈心二〇を入れて水で煎
じて服用する。
妙応丸 赤白濁を治す。
処方 兎絲子酒製、桑螵蛸酒灸・川練肉各五銭、牡蠣煆三銭、竜骨・辰砂・石
菖蒲・白茯苓・益智仁・蓮肉・縮砂各二銭半、を末にし山薬糊で梧子大
に丸め、昼は人蔘酸棗仁湯で五〇丸呑み下し、寝しなに糯米湯で五〇丸
呑み下す。
鶏清元 小便が濁ったときに使う。
処方 大半夏の生を末にして雞子清で梧子大に丸め、少しかわくと猪苓莢でま
ぜ、弱火で炒り、猪苓莢は養薬のために器中に貯蔵し白茯苓を煎じた湯
で空腹時に三〇~五〇丸呑み下す。
蠱水火分清飲 赤白濁を治す。
処方 赤茯苓一銭、益智仁・草薢・石菖蒲・猪苓・車前子・沢寫・白朮・陳皮
・枳毅・升麻各七分、甘草五分を剉作して酒水を半分づつで空腹時に拭
くようする。
桑螵蛸散 小便が濁って一日数十回目眩などがしてやつれるのを治す。これは女労
から来る症である。
処方 桑螵蛸塩水でついたもの、遠心薑塩・石菖蒲塩炒・竜骨・人蔘・白茯苓
・当帰酒洗・鱉甲醋灸各五銭、甘草灸二銭半を作末し毎二銭を寝しなに
人蔘・茯苓・桑白皮煎じた湯で調服する。
一六、蠱病白淫
内経に「脾が腎に伝はる病は疝瘕である」といっているが、小腹に熱があって痛み、
白いものが出るのを一名蠱という。この症が小腹にん熱があって痛み、小便に白液が
出るが、大体邪熱して精真を守らぬからである。肉蓯蓉丸を使う。
肉蓯蓉丸 蠱病を治す。
処方 肉蓯蓉・白茯苓・黄芪・沢寫・牡蛎粉・五味子・竜骨・当帰各一両を作
末し蜜で五指大に丸め空腹時に三〇丸酒で服用する。
一七、脬痺症
脬痺は即ち寒淋の類で風・寒・湿に属し、巴戟丸・温腎湯を使う。
巴戟丸 脬痺で小便が渋くて通じない症を治す。
処方 巴戟一両半、桑螵蛸麩炒・遠志薑製・生乾地黄酒洗・山薬附子炮瀆断・
肉蓯蓉酒浸各一両、杜仲炒・石斛・鹿茸・竜骨・兎絲子酒煮・五味子・
山茱萸・官桂各三銭を蜜で梧子大に丸め、空腹時に五〇~七〇丸酒で呑
み下す。
温腎湯 脬痺で小便の不利を治す。
処方 赤茯苓・白朮・沢寫・乾薑炮各一銭二分半を剉作し、水で煎じて服用す
る。
蔘苓琥珀湯 淋渋し茎中が痛いときに使う。
処方 川練肉・甘草梢各一銭、玄胡索七分、人蔘五分、赤茯苓四分、琥珀・沢
寫・柴胡・当帰尾・青皮・黄柏各三分を剉作して燈心を入れ水で煎じて
服用する。