東医宝鑑 内景篇(内科)四
二六、大便(16)
大黄飲子 熱があって大便の通じない症を治す。
処方 生地黄二銭、大黄煨・杏仁・梔子・升麻・枳殻各一銭、人蔘・黄苓・甘草各五分、薑五片、殻二粒、鳥梅
一個を入れて煎じて服用する。
潤腸丸 老人の血が少なく、胃腸がかわき大便が閉結して七、八日間も便がなく羊糞に似ている症を治す。
処方 当帰・生地黄・枳殻・桃仁・麻仁を等分に作末、蜜で丸め梧子大にし、空腹時に四〇~五〇丸呑み下す。
潤腸湯 老人・弱体の人の大便閉結を治す。
処方 蜂蜜一両、香油五銭、朴硝を、水で煎じて温めて服用する。
調導飲 婦人の産前産後の大便不通症を治す。
処方 当帰・川芎・防風・枳殻各一銭二分半、甘草三分に薑三棗二を入れ煎じて服用する。
宣積丸 大便の閉塞を治す。
処方 巴豆の殻を取り、乾薑・韭子・良薑・硫黄・甘遂・白檳榔を等分に作末し、飯で卵の黄身大に丸め、早朝に先
に椒湯で手を洗い、麻油をてのひらにぬり、粟一粒をにぎると、しばらくたつと便が出て止まる。止まったら
手を洗う。
提盆散 大便の不通を治す。
処方 草鳥のごく細く切ったもの、葱白一枚の根を煮ると汁が出る。そこへ草鳥末をまぶして団子をつくり、肛門に
入れておくとすぐ通る。即ち霹靂箭というが大・小便の不通を治す。
推気丸 気が昇降せず、大便の秘渋、小便の赤黄色に使う。
処方 黒牽頭末・大黄・檳榔・枳実・陳皮・黄苓を等分に作末し、薑汁煮糊で梧子大に丸め、淡薑湯で三〇~五〇丸
呑み下す。
甘遂散 大・小便の不通を治す。
処方 赤皮甘遂二両、爛蜜二合をまぜて毎一両を四分して一日一回蜜水で服用する。
鉄脚丸 大・小便の不通を治す。
処方 大皂角焼存性を作末して酒麵糊で梧子大に丸め、酒で三〇丸呑み下す。
貼臍膏 大・小便の不通を治す。
処方 甘遂を作末して麵で調合して糊のようにして臍と臍の下の固いところへぬり、別に甘草を煎じて飲むとすぐに
通じる。
顚倒散 大・小便の不通を治す。
処方 大黄・滑石・皂角各三銭、小便の不通には滑石を三銭加え、大便の不通には大黄三銭を余計加え、大小便とも
に不通の場合は、大黄・滑石をそれぞれ三銭づつ加えて作末したものを、毎三銭空腹時に温酒で調服する。
倒掲散 大・小便の不通を治す。
処方 六、七月頃に牛馬の糞中から蜋を探して大小にかかわらず、ひもで結んで陰干しして貯蔵しておいて、使う
とき取り出してきれいな瓦の上において四面に火灰をおいて乾かしたあと、刀で切って大便の不通には上半截
を、小便の不通には下半截を使い、大小便ともに不通のときは全角を細末にして服用する。
廻生神膏 陰症大小便の不通のため、危急なときに使う。
処方 牡蛎陳粉・乾薑炮各一両を作末し、男は女のつばで調合したものを手のひらで熱が出るまでもんだあと睾丸
にかぶせ、汗が出ると治り、女には男のつばで調合して男の調合のようにして両乳房にかぶせ、汗が出ると
治る。
丁番散 大・小便の不通を治す。
処方 苦丁番五銭、川鳥炮・白朮・猪牙皂・角炮細辛各3銭、胡椒一銭、麝香少しいれて作末し、竹筒で肛門に薬を
吹き入れる。