東医宝鑑 外形篇(外科)一
二、面(八)
三、眼
四、外障の場合
外障は肺の病である。晴が外からかげると暗い。
目痛で赤脈が上から下がる症は太陽の病であり、下から上る症は陽明病、外から内に入る症は小陽病、赤脈瞖がはじめ上から下る症は太陽に属するので、表を治し、必ず眉稜骨が痛み、または脳と首が痛み、または偏頭痛する。治法は温めて散らすことである。
温剤として臘茶飲、散剤は夏枯草散・選奇湯を使う。赤脈瞖がはじめ下から上へあがる症と、または内皆から外に出る症はみな陽明に属し、その症勢は熱があり、その治法は下して冷えさせる。下させるには明日流気飲・銭氏寫青丸・局方湿白元に黄連・黄柏を加えたものを使い、冷ますには一味黄連羊肝元を使う。赤脈瞖が外から内に入るのは小陽で、半裏半表で治し和解させねばならず神仙退雲丸を使う。
外障には肝臓積熱・混晴・努肉攀晴・両瞼粘晴・膜入水輪・釘り根深・黒瞖如珠・花瞖白陥・水瑖深瞖・王瞖浮満・順逆生瞖・鶏冠蜆肉・瞼生風栗・胞肉膠凝・漏晴膿出・蟹晴疼痛・突起晴高・風起喎扁・倒睫挙毛・風牽瞼出・神崇疼痛・施螺尖起・鶻眼凝晴・轆轤転関・被物撞打・撞刺生り・血灌瞳人・味目飛塵飛絲・天行赤目・赤目後生瞖・胎風赤痢・風赤瘡疾・衛風涙出・暴風客熱・瞼硬晴痛・痛如鍼刺・痒極難任・瞳人乾缺・黄膜上衝・赤膜下垂・赤膜下垂・小階赤脈・小児通晴・小児胎中生贅・小児青盲などの症がある。
臘茶飲 赤脈瞖が上から下る症は温めて散らす。
処方 芽茶・附子・白芷各一銭、細辛・川芎・防風・羌活・荊芥各半銭、塩ひとにぎりを入れて服用する。
夏枯草散 肝虚で瞳が痛く冷たい涙があふれ、明るいのを嫌う症を治す。
明日流気散 肝経が不足し風熱が上がって見るものがかすむ症を治す。
神仙退雲丸 瞖膜・内外障が昏暗になる症を治す。
処方 当帰酒洗一両半、川芎・木賊・童便浸して焙ったもの、蜜蒙花・荊芥穂・地骨皮・白蒺藜・甘菊・羌活各一
両、川椒炒・七銭半、爪蔞根・枯実・蔓荊子・薄荷・草決明妙・甘草灸各五銭、蛇蛻・蟬蛻・黄連各三銭を
作末して蜜で丸め毎一両を一〇丸つくって茶漬け又は白湯一丸づつ呑み下す。
石決明散(一名大決明散) 肝熱で目がはれて痛み、瞖膜が生じ、または脾が熱く、目のなかに鶏冠のようなものが出来る
症に使う。
処方 石決明・草決明各一両、羌活・梔子・木賊・青箱子・赤芍薬各五銭、大黄・荊芥各二銭半を作末して毎二銭
を麦門冬湯で服用する。
揆雲散 風毒が上がり、眼目がくらく、かゆくて痛い症ヺ治す。
処方 柴胡二両、羌活・防風・甘草各一両を粉末にして毎二銭を薄荷湯または茶漬けで服用する。
局方蜜蒙花散 風眼で目がくらく、赤くはれる症を治す。
処方 蜜蒙花・白蒺藜・羌活・木賊・石決明を各等分して毎一銭を茶漬けで服用する。
蟬花散 肝経に熱があって涙の多い症を治す。
処方 草竜胆・甘菊・蜜蒙花・蔓荊穂・川芎・蟬殻・青箱子・草決明・梔子・防風・木賊・白蒺藜・甘草を各等分
に粉末にして毎二銭を茶漬けまたは荊芥湯で服用する。