東医宝鑑 外形篇(外科)一
一、頭(四)
七、正頭痛
頭痛の通治薬は川芎茶調散・一字軽金散・如聖餅子・七生丸を使う。頭痛に川芎を使っ
て治らないと引経薬を加えるが、太陽には羌活、陽明には呉茱萸をそれぞれ使う。
頭痛には正頭痛、偏頭痛、があり、風寒頭痛・湿熱頭痛・蕨逆頭痛・痰飲頭痛・熱蕨頭痛・気厥頭痛・真頭痛・酔後頭痛などがある。
婦人頭痛には養血袪風湯・四神湯を使う。
川芎茶調散 偏頭痛・正頭痛と鼻づまりなどを治す。
処方 薄荷二両、川芎・荊芥穂各一両、羌活・白芷・甘草各五銭、防風・細
辛各二銭半を作末して、毎二銭を茶漬けで食後調服し、または七銭づ
づ茶を少し入れ煎じて服用しても良い。偏頭痛には細末にして葱で調
合し、両太陽穴にはると効果がある。
一字軽金散 偏頭痛・正頭痛で眉稜骨が痛み、両目がひきつれ、骨が痛い症を治す。
処方 川芎・白芷・藿香・荊芥・施覆花・石膏・防風各五銭、南星・川鳥生
各二銭半、草鳥一銭半を切って日向で干し、作末して毎1銭を茶漬け
で調服する。
如聖餅子 気厥・痰厥の頭痛を治す。
処方 南星・乾薑・川芎・川鳥・甘草各一両、防風・半夏製・天麻・細辛各
五銭を作末して薑汁麵糊でまぜ、芡実大に団子をつくって、五つを温
酒または茶漬けで食べる。
七生丸 男女の頭痛と一切の一切の頭痛。痰厥・腎厥・傷寒・傷風頭痛を治す。
処方 川芎・川鳥・草鳥・南星・半夏・白芷・石膏を各等分にして、細辛・
全蝎を加え各半分づつ減らして細末し。韭葉の自然汁で梧子大に丸め
て生葱をかじったあと、茶漬けで七~九丸づつ呑み下す。
四神散 婦人の血風眩暈と頭痛を治す。
処方 甘菊・当帰・施覆花・荊芥穂各七分を作末して、実二銭を葱白三寸、
茶末一銭を煎じた水で調服する。
八、偏頭痛
偏頭痛とは片側が痛む症である。
偏頭痛が右側におきたら、痰と熱に依る症で、痰であったら蒼朮・半夏を使い、熱だったら酒製・片苓を使う。左側だったら風邪と血虚に属する症で、荊芥・薄荷を使い、血虚だと芎帰・芍薬・酒黄柏を使う。
右の偏頭痛には二陳湯に川芎・白芷・防風・荊芥・薄荷・升麻を加え、左の場合は二陳湯に四物湯を合わせ防風・荊芥・薄荷・細辛・蔓荊子・柴胡・酒苓を加えて使う。
偏頭痛が長いと大便がかわき、目は赤く、めまいの症には大承気湯で下し、外には大黄・芒硝を粉末にして両太陽穴にぬると良い。
偏頭痛には川芎茶調散・一字軽金散・川芎散・芎犀元・嗑鼻法を使う。
川芎散 偏頭痛に効く。
処方 甘菊・石膏・川芎・白殭蚕生を粉末にして毎三銭を茶漬けで調服する。
芎犀元 偏頭痛を治す。
処方 川芎・石膏各一両、人参・赤茯苓・細辛・甘草各五銭、麦門冬七銭半
、 阿膠珠四銭、梔子仁・竜脳・犀角各二銭半、朱砂銭半を粉末にして蜜
でねり芡実大に丸め、朱砂で衣をし一~二丸こまかくかんで温酒また
は茶漬けで呑み下す。
九、風寒頭痛
三五七散・芎辛湯・芎正蘇散・加聖餅子などを使う。
三五七散 風寒が脳に入って頭痛・目がくらむときに使う。
処方 防風二両、山茱萸・乾薑炮・赤茯苓各一両半、附子炮・細辛各七銭半
を作末して毎二銭を温酒で服し、または七銭を切って薑三、棗二を入
れ水で煎じて服用する。
芎辛湯 風・寒・湿が脳にあって頭痛・嘔吐・めまいがするときに使う。
処方 川芎三銭、細辛・白朮各一銭半、甘草一銭を剉作して薑五片、茶芽を
少し入れて水で煎じて服用する。