東医宝鑑 外形篇(外科)一
一、頭(七)
一六、脳風症
この症状は首と背筋が寒く、脳戸が極端に冷える。神聖散・太陽丹を使う。
神聖散 脳風を治す。
処方 麻黄・葛根半生半炒・藿香葉を各等分の作末して、毎二銭を荊芥薄荷酒で調服する。
太陽丹 脳が冷たい症は、みな風邪が上焦に来て頭痛をおこさせるためで、このときに使う。
処方 石膏二両、川芎・川鳥炮・白芷・甘草各一両、竜脳二銭、を作末し蜜でねり、麵糊にまぜて毎一両を一八
丸につくって、黄丹で衣をして二~三丸を食後葱茶湯でかみ下す。
17,首風症
風呂上がりに風にあたると首風症になる。
大川芎丸が主治剤、沐浴後のめまい頭痛には白芷丸を使う。
大川芎丸 首風を治す。
処方 川芎四両、天麻一両を作末して蜜で丸め、一両で一〇丸をつくり、毎一丸を茶か酒で呑む。
白芷丸 沐浴後のめまいや、頭痛のときに服用する。
処方 新白芷を多少にかかわらず切って蘿蔔汁で浸してさらし乾かして粉末にし、蜜で弾子大に丸め、毎一丸を
かんで、茶または荊芥湯で飲む。
選奇湯 眉稜骨痛を治す。
処方 羌活・防風・半夏製各二銭、酒片芩一銭半、甘草一銭に薑三片を入れ水で煎じて服用する。
上清散 風頭痛と眉骨・眼睢の痛むのを治す。
処方 川芎・鬱金・芍薬・荊芥・薄荷・芒硝各二銭半、乳香・没薬各五分、竜脳二分半を鼻内に入れる。
不臥散 頭痛の酷いとき使う。
処方 玄胡索七枚、青黛二銭、猪牙皂角二両を作末して水でかきまぜ、杏仁大の団子をつくり、仰臥させて竹管
で男は左、女は右の鼻の中に入れ、薬が候中に入って酸味を感じたら、起きて銅銭一箇をくわえている
と、つばが出てきたらすぐ治る。 一名青黛散ともいう。
六聖散 あらゆる頭痛を治す。
処方 乳香・没薬・川芎・雄黄・白芷各二銭、芒硝五銭、を作末して、病人を仰臥させて口に水を含ませ、薬を
鼻内に少し吹き入れるとすぐ治る。