グローバル投資プログラム(The Global Investor Program)(以下「GIP」という)とは、シンガポール政府が潤沢な純資産の持ちの起業家、投資者を対象とした永住権プログラムです。GIPはシンガポール経済開発庁(EDB)及びシンガポール人材開発省(MOM)に共同管理されています。
シンガポール政府はシンガポールに投資者を誘致するために、GIPを打ち出しました。個人は申請要件に該当し、且つGIPに承認される事業分野に投資する場合、永住権(Permanent Residence:PR)が取得できます。例えば、外国人投資家は、シンガポールにおいて会社を設立するもしくは既存事業を拡大するに250万シンガポールドル(以下「SGD」という)以上を投資し、又はGIPに承認されるファンドに250万SGD以上を投資する必要があります。
外国人がGIPによってシンガポール永住権(PR)を取得した後、管轄官庁は5年間有効の再入国許可(REP)を当該外国人に発行します。再入国許可を持っている申請者はシンガポールに頻繁に出入りすることができ、同時に永住者(PR)の身分を保留するため、再入国許可は申請者にとって不可欠なものです。更新の評価基準に該当する場合、申請者は現有の再入国許可が更新できます(更新の再入国許可の有効期限が3年又は5年を選択できます)。
申請者のGIP申請により、申請者の配偶及び21歳未満の未婚の子女はシンガポール永住者(SPR)を申請することができます。ご注意くださいますように、シンガポール永住者(SPR)の身分を取得した全ての男性は、シンガポールのナショナル・サービス(軍事訓練)に服する義務があります。
GIP申請の所要時間は約6~8か月です。申請の際に、管轄官庁は申請者が自らシンガポールへ面接しに行くことを要します。申請承認後、申請者はシンガポール政府に発行されるAIP(Approval-in-Principle)レターを受け取ります。AIPレターの有効期間が6ヶ月であり、申請者は有効期間内にその投資計画を実施する必要があります。
本稿は、GIP評価基準、投資の要件、及びGIPによってシンガポール永住権を取得するための必要な手続きについて簡単に説明します。
概要
グローバル投資プログラム(GIP)とは、シンガポール政府が潤沢な純資産の持ちの起業家、投資者を対象とした永住権プログラムです。シンガポール経済開発庁(EDB)及び人材開発省(MOM)が共同設立したGIPは、シンガポールにおける潤沢な純資産の持ちの起業家及び優れた実績のある経営者の数を増やすことが目的とし、シンガポール経済発展を更に促進します。GIPの申請要件に該当する者はGIPによって永住権(PR)を取得することができます。
投資オプション
GIPにより、以下のいずれのオプションが選択できます。
(1) オプションA:新規事業の設立又は既存事業の拡大に250万SGD以上を投資すること。
(2) オプションB:シンガポール会社のGIPファンドに250万SGD以上を投資すること(現在シンガポール経済開発庁に承認された各2つのファンド及びファンド管理会社がある)。
(3) オプションC:新規又は既存のシンガポールの単一ファミリーオフィスに250万SGD以上を投資すること(当該オフィスは2億SGD以上の資産を管理している必要がある)。
投資分野リスト
GIPにより、以下のいずれの投資分野が選択できます。
- 航空エンジニアリング
- 代替エネルギー/クリーン・エネルギー
- 車両
- 化学
- コンシューマ・ビジネス(例えば、香辛料及びフレーバー、食品成分、栄養、ファミリーケア及びパーソナルケアなど)
- エレクトロニクス
- エネルギー
- エンジニアリングサービス
- 健康管理
- 情報通信製品・サービス
- 物流・サプライチェーン管理
- 海洋工学・オフショアエンジニアリング
- メディア・エンターテイメント
- 医療技術
- ナノテクノロジー
- 天然資源(例えば、金属、鉱業、農産物など)
- 安全・セキュリティ
- スペース
- 医薬品製造業・バイオテクノロジー
- 精密工学
- 専門家サービス(例えば、コンサルティング、デザインなど)
- アートビジネス(アートビジネス及び視覚芸術ビジネス、例えば競売店舗、美術品輸送、倉庫業など)
- スポーツ
- ファミリーオフィス・金融サービス
再入国許可の有効期限
永住権が正式に発効する場合、申請者は5年間有効な再入国許可(REP)を取得します。再入国許可により、永住者はシンガポール国外でも永住権を保留しています。5年後、再入国許可を更新するには、以下の要件に該当する必要があります。
5.1 更新(3年間有効)
(1) GIPのオプションA、B、もしくはCを実施したこと。 且つ
(2) オプションA、Bの場合、申請者は以下のいずれに該当する必要があります。
- シンガポールにおいて会社を設立し、当該会社が最低10人の従業員を雇用し、そのうち5人がシンガポール公民であり、且つ会社の年間支出が200万SGD以上であること。 又は
- 申請者もしくは全ての追加の申請者が既にシンガポールに2年6ヶ月以上滞在したこと。
(3) オプションCの場合、申請者は以下のいずれに該当する必要があります。
- 投資しようとするファミリーオフィが最低10人の従業員を雇用し、そのうち5人がシンガポール市民であり、3人が専門家であり(即ち、家族以外の者が顧問又は法律、税務、投資に関連する取締役会の構成員を担任している必要がある)、且つ会社の年間支出が200万SGD以上であること。 又は
- 申請者もしくは全ての追加の申請者が既にシンガポールに2年6ヶ月以上滞在したこと。
5.2 更新(5年間有効)
(1) GIPのオプションA、B、もしくはCを実施したこと。 且つ
(2) オプションA、Bの場合、申請者は以下のいずれに該当する必要があります。
- シンガポールにおいて会社を設立し、当該会社が最低10人の従業員を雇用し、そのうち5人がシンガポール公民であり、且つ会社の年間支出が200万SGD以上であること。 且つ
- 申請者もしくは全ての追加の申請者が既にシンガポールに2年6ヶ月以上滞在したこと。
(3) オプションCの場合、申請者は以下のいずれに該当する必要があります。
- 投資しようとするファミリーオフィが最低10人の従業員を雇用し、そのうち5人がシンガポール市民であり、3人が専門家であり(即ち、家族以外の者が顧問又は法律、税務、投資に関連する取締役会の構成員を担任している必要がある)、且つ会社の年間支出が200万SGD以上であること。 且つ
- 申請者もしくは全ての追加の申請者が既にシンガポールに2年6ヶ月以上滞在したこと。
家族の永住権
申請者の配偶者及び21歳未満の子女が永住権を取得することができます。家族の21歳未満の男性メンバーは、シンガポールのナショナル・サービス(軍事訓練)に服する義務があります。両親及び21歳超の未婚の子女はGIPによって永住権を取得することができませんが、更新可能な5年間有効の長期滞在ビザが申請できます。その長期滞在ビザは申請者の再入国許可(REP)の有効期限によって決定されます。
申請所要時間
一般的に、管轄官庁はGIPの申請を受理するに6〜8ヶ月がかかります。申請承認の際に、申請者は自らシンガポールへ行って政府の面接に参加する必要があります。申請承認後、シンガポール政府機関に発行されるAIPレターを受け取ります。AIPレターの有効期間が6ヶ月であり、申請者は有効期間内にその投資計画を実施する必要があります。その後、申請者は投資計画を証明する書類(例えば、株式証書(Share Certificate)、土地売買契約書など)をシンガポールの管轄官庁に提出する必要があります。上述書類領収後、管轄官庁は最終承認書を発行し、投資家はシンガポールの永住者(PR)になります。管轄官庁は関連書類を5年間保有します。