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米国会社の「抜本的変更」の種類と手続について(2)

2024-07-12 | 会社設立

続きましょう~~

 

  1. 臨時株主総会が「抜本的変更」を承認する方法

 

株主総会に定足数がある場合、株主は抜本的変更を承認するか否かを議決します。議決については、伝統方法、多数決方法、現代方法の3つの方法があります。

 

3.1     伝統方法

 

伝統方法は、議決権を有する株式の3分の2以上の同意があれば変更が可決するという方法です。当該方法は、超多数(3分の2)を必要とし、しかも株式の超多数(単に総会に出席した株主の超多数ではない)であるという点で、現在では廃止される傾向にあります。しかし、テキサス州を含むいくつかの州では、この方法を利用し続けています。

 

例:A社には抜本的変更に関する議決権を有する株式が6,000株あります。総会に4,500株が出席し(定足数に達する)、そのうち4,000株以上は議案を承認するために「賛成」票を投じなければなりません。議決権を持つ6,000株の3分の2が必要であるため、総会に出席した4,500株の3分の2ではありません。従って、3,800株のみが総会に出席した場合、4,000株の「賛成」票を得ることが不可能であるため、変更は承認される可能性がありません。

 

3.2     多数決方法

 

多数決方法は、議決権を有する株式の過半数の承認を取得し、抜本的変更を可決する方法です。当該方法はデラウェア州で採用されています。上記の過半数とは、単に出席株式や実際に議決権を行使した株式ではなく、議決権を有する株式の過半数であることにご注意が必要です。

 

例:A社には6,000株の議決権があります。総会には3,200株が出席しました(定足数に達する)。抜本的変更を承認するには、3,001株以上が「賛成」に投票しなければなりません。

 

3.3     現代方法

 

現代方法は最もリベラルであり、MBCA(2016年)が採用している方法です(実際、近年はこの方法がほとんどの人に納得されている)。当該方法では、抜本的変更について実際に議決権を行使する株式の過半数の承認を取得することで結構です。

 

例:A社には6,000株の議決権があります。株主総会には3,200株が出席しましたが(定足数に達する)、抜本的変更を承認するか否かについて実際に議決権を行使したのは2,800株のみとなります。この場合、1,401株以上が「賛成」に投票することで結構です。

 

参考資料:

[1] Richard D. Freer. The law of corporations in a nutshell. West Pub. Co, 2020.

 

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