7. 会社コンプライアンス
(1) 米国会社は当期課税年度の予定納税額(未払い所得税)が500ドルを超えた場合には、予想税額を支払わなければなりません。株式会社は毎年4月15日(暦年)までに法人税申告書を提出する必要があります。
(2) 予想税額を計算するにはまず年間予定納税額を確定することが必要です。当該税額は以下のいずれか少ない額になります。
(a) 当年度の所得税申告書の税額の100%
(b) 前年度の所得税申告書の税額の100%
(3) 各予想税額(年間予定納税額の25%相当額)は会社の課税年度の4、6、9、12ヶ月目の15日に分割払いすることが要求されます。
例えば、会社は暦年を採用し確定申告書を提出する場合に、分割払いのスケジュールは以下のとおりです。
分割払い |
暦年 |
第1四半期分 |
4月15日 |
第2四半期分 |
6月15日 |
第3四半期分 |
9月15日 |
第4四半期分 |
12月15日 |
(4) 予想税額を全額支払われなかった場合の罰金
(a) 罰金は、毎期の予定納税額と実際の支払税額との差額、及び関連する罰金率によって計算されます。前述の差額は、毎期の分割払いごとに独立的に計算されるものです。
(b) 罰金の計算期間は、分割払いの期限日から予定納税額の不足分を追納した日まで、もしくは確定申告書の期限日までのいずれか早い方に準じます。
(c) 罰金率は連邦短期税率に3%を加えて、もしくは10万ドルを超えた未払い分に5%を加えたものです。
(d) LLCは毎年3月15日(暦年)までに会社の所得税申告書を提出しなければなりません。
8. 海外子会社の情報申告書(Form 5471)
(1) 米国会社は、次のいずれかの条件を満たす場合、Form 5471の提出が必要です。
(a) あらゆる課税年度のあらゆる時点でも(直接的又は間接的又は建設的に)外国会社の総投票権又は株式総数の10%以上を保有する米国会社
(b) あらゆる米国の個人または会社によって株式の10%以上を保有される外国会社に役員(Officer)又は取締役を担任する米国会社
(c) 10%の持株比率に対する要求を満たすために外国会社の株券を追加購入する米国会社、または10%以下の持株比率に対する要求を満たすために外国会社の株券を売却する米国会社。当該米国会社が株券の売買を行う詳細な情報をForm 5471に記載することは要求されます。
前に述べた米国会社は以下の形態を含みます。
(a) 米国パートナーシップ企業
(b) 米国株式会社
(c) 国内の遺産または信託
(2) Form 5471の提出が要求されるあらゆる米国会社は、当該米国会社及び関連する外国会社の設立情報を提出する必要があります。必要な追加情報や追加資料は、米国会社が外国会社の持株を保有する比率によります。一般的に持株比率は高ければ高いほど、提出必要な外国会社情報が多くなります。
例えば、外国会社の年度会計期間内に当該外国会社の株式(議決権又は株式時価総額)の50%以上を保有する米国会社は、Form 5471を通じて次の情報を開示する必要があります。
(a) 外国会社の株式情報(株式総数、米国株主の保有する株式総数、及び直接株主の保有する株式総数を含み)
(b) 外国会社の賃借対照表と損益計算書(ドルで記載)
(c) 外国会社の一般情報
(d) 米国会社が保有する外国会社の株式数に基づき計算された収入
(e) 外国会社と米国会社との取引
(f ) 外国会社とその他関連者との取引
(3) 法人税申告書にForm 5471を添付してあわせて内国歳入庁(IRS)に提出する必要があります。従って、Form 5471の提出期限は法人税申告書の提出期限と一致しています(延期も含み)。Form 5471を期限内に提出できなかった場合、または開示すべき情報を正確に提出できなかった場合、以下の罰則を受ける可能性があります。
(a) 期限後申告又は無申告の場合、外国会社1社につき一会計年度ごとに10,000ドルの罰金が科されます。
(b) 米国会社は、IRSから追加資料提出通知書が郵送された日から90日以内に、要求された情報・書類を提出できなかった場合、当該期間内に30日ごとに10,000ドルの追加罰金(1社につき)が科されます。90日の期限が切れた後にも罰金は最高50,000ドルまで継続して加算されます。
(c) 情状がひどい場合には、刑罰が科される可能性があります。
9. 外資出資比率25%の米国会社又は米国で貿易活動に従事する外国会社の情報申告書(Form 5472)
申告する会社は、米国国内または国外の関連者との取引がある場合に、条例6038Aと6038Cの要求する情報を提出するために、Form 5472と呼ばれる情報申告書をIRSに提出する必要があります。
(1) Form 5472を提出する必要がある会社とは、外資出資比率が25%に達する米国会社又は米国で貿易又は業務に従事する外国会社を指します。外資出資比率が25%に達する米国会社とは、当期課税年度内のあらゆる時点でもその株式の25%以上を直接又は間接に保有する外国株主が最低1社ある米国会社を指します。
(2) 米国国内・国外の関連者は次を含みます。
(a) 申告会社の株式を25%以上直接または間接に保有しているあらゆる外国株主
(b) 特殊所有権帰属ルールに基づき申告会社と関連するあらゆる個人又は企業実体
(c) 特殊所有権帰属ルールに基づき申告会社の株式を25%以上保有する外国株主と関連するあらゆる個人又は企業実体
(d) 移転価格ルールに基づき、申告会社と同じ株主を持つあらゆる企業実体
(3) 開示すべき取引は、Form 5472に記載されているあらゆる種類の取引を含み、その定義の幅が広い、一般的に米国国外関連者と申告会社との間で行われるあらゆる種類の活動を含み、価値に対する制限がなく、配当金の支払いを含みません。申告すべき取引は下記を含みます。
(a) 財産または資産の交換(料金の支払い、家賃収入、販売、給与、コミッション支払、出資及び資本撤退を含み)
(b) 外国所有者・関連者の米国会社の財産(例:不動産)に対する使用
(c) 申告会社と外国所有者との間で行われる借金及び/又は利息の支払い
(4) Form 5472は通常、申告会社、持株比率が25%以上である外国株主及びその関連者が次の情報を提供することを要求します。
(a) 氏名・名称、住所及び米国納税者番号(TIN)(適用される場合)
(b) 事業の性質及び主たる営業所
(c) 納税義務がある国(当該国に税務上の居住者として所得税の確定申告書を提出する)
(d) 申告会社と関連者との関係
(e) 国外関連者との申告すべき取引の性質と金額
(5) 法人税申告書にForm 5472を添付してあわせて内国歳入庁(IRS)に提出する必要があります。従って、Form 5472の提出期限は法人税申告書の提出期限と一致しています(延期も含み)。Form 5472を期限内に提出できなかった場合、または開示すべき情報を正確に提出できなかった場合、以下の罰則を受ける可能性があります。
(a) 25,000ドルの罰金が科されます。
(b) 米国会社は、IRSから追加資料提出通知書が郵送された日から90日以内に、要求された情報・書類を提出・修正できなかった場合、25,000ドルの追加罰金が科されます。90日の期限が切れた後には30日ごとに25,000ドルの追加罰金が科されます。
(c) 未提出者及び虚偽または不実な情報を提出した者は、情状がひどい場合には、刑罰が科される可能性があります。