外国税額優遇措置は、世界的税制の枠組みにおける二重課税を回避するために設けられた制度です。この制度の趣旨は、外国の源泉所得に対して米国又は源泉所得の帰属地によって二重に課税される潜在的な負担を抑えることです。上記の内容は前回の記事に置いて説明致しました。本稿では、米国外国税額控除の計算方法とその制限について説明します。
1.外国税額控除額の計算方法は?
外国税収優遇を計算するには 3 つのステップがあります。前回の記事「米国の外国税額優遇措置の概要 I」において、計算の第一歩として優遇控除可能な外国所得税の計算が行われることが説明されました。後の 2 つのステップは、外国所得税額優遇限度額の計算と優遇可能な外国所得税と外国税収優遇限度額の間で小さいほうを決定することとなっています。
(1) 外国税額控除限度額の計算
外国税収優遇措置に対する制限によって外国税額控除可能額の限度額が限定されています。
この制限により、高税率の国で事業活動を行う米国国民が米国内による源泉所得に対して課された税金を外国税額控除に利用してならないとされています。外国税額が限度額より低い場合、米国の源泉所得税額との完全なる相殺が認められます。
外国税額控除限度額の計算方式は米国の納税額の上に外国源泉所得/全世界所得を乗じて出た結果となっています。
そのうち、米国の納税額 = 納税者の全世界による所得 * 適用される米国の所得税率
(2) 優遇可能な外国所得税と外国税収優遇限度額の間で小さいほうを決定する方法
米国の税率が 35%、ドイツの税率が 50%、米国による源泉所得が 100,000 ドル、ドイツによる源泉所得が 100,000 ドルであると仮定すると、次のように計算が行われます。
全世界による所得は 200,000 ドル = ドイツによる源泉所得 + 米国による源泉所得
米国の納税額は 70,000 ドル = 全世界による所得 * 米国の税率
制限がない場合、外国税額控除は 50,000 ドル = ドイツの源泉所得 * ドイツの税率です
外国税額控除の限度額 $35,000=米国の納税額 * (外国源泉所得/全世界所得)
外国税額控除の限度額は外国所得税より低いため、最終的に控除できる外国税額は低い方の35,000ドルとなります。また、納税者は米国政府に納めるべきな税額は 20,000 ドルではなく、35,000 ドルです。
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