■仕事場にて
空の色があきらかに夏のそれとは違う。油絵から水彩画へと、季節も衣替えをしたのだろう。
なんだか物事や人間への執着心も不思議に弱まってきたような、そんな今日の空気の柔らかさ。こうやって、どんなふうにこの季節を通り抜けて、だいっ嫌いな冬へと、私も折り合いをつけていくんだろう。
仕事をしながらラジオを聴いていたら、グレン・グールドの演奏するバッハが流れてきた。彼のベスト盤が芥川賞作家の平野啓一郎氏のセレクトでリリースされたらしい。
私の弟が彼のCDを山ほどもっていた。結構保守的な?指揮者や演奏家が好きだった彼の部屋にグレン・グールドのCDを見つけたときには、ちょっと意外で驚いた。なぜ? いつから?
いろんな話をしてくれた弟だが、グレン・グールドのことは聞いたことがなかった。ロックっ子(笑)だった姉貴にはわかるまい、と思っていたのかもしれない。
そのCDをすべてもちかえって、それから毎晩、仕事部屋でグレン・グールドのCDを聴いたっけ。
不思議な音の流れ、演奏の合間に洩れる彼のつぶやき、ハミング、うめきとも聞こえる小さな声…。なんだか不気味で、でも逃れられなくて、仕事の手を止めて聴き入ってしまったこともあった。
弟はどんな気持ちで、どんな夜に、この演奏を聴いていたのだろうか。もう尋ねることはできないけど。会いたいね。
今日、家に帰ったら、久しぶりにグレン・グールドを聴いてみようか。
空の色があきらかに夏のそれとは違う。油絵から水彩画へと、季節も衣替えをしたのだろう。
なんだか物事や人間への執着心も不思議に弱まってきたような、そんな今日の空気の柔らかさ。こうやって、どんなふうにこの季節を通り抜けて、だいっ嫌いな冬へと、私も折り合いをつけていくんだろう。
仕事をしながらラジオを聴いていたら、グレン・グールドの演奏するバッハが流れてきた。彼のベスト盤が芥川賞作家の平野啓一郎氏のセレクトでリリースされたらしい。
私の弟が彼のCDを山ほどもっていた。結構保守的な?指揮者や演奏家が好きだった彼の部屋にグレン・グールドのCDを見つけたときには、ちょっと意外で驚いた。なぜ? いつから?
いろんな話をしてくれた弟だが、グレン・グールドのことは聞いたことがなかった。ロックっ子(笑)だった姉貴にはわかるまい、と思っていたのかもしれない。
そのCDをすべてもちかえって、それから毎晩、仕事部屋でグレン・グールドのCDを聴いたっけ。
不思議な音の流れ、演奏の合間に洩れる彼のつぶやき、ハミング、うめきとも聞こえる小さな声…。なんだか不気味で、でも逃れられなくて、仕事の手を止めて聴き入ってしまったこともあった。
弟はどんな気持ちで、どんな夜に、この演奏を聴いていたのだろうか。もう尋ねることはできないけど。会いたいね。
今日、家に帰ったら、久しぶりにグレン・グールドを聴いてみようか。