『インビクタス~負けざる者たち』
(2009年、アメリカ)
監督 クリント・イーストウッド
製作 モーガン・フリーマン
出演 モーガン・フリーマン/マッド・デイモン
正月休み最後の夜に観たDVD 『インビクタス~負けざる者たち』。
濃いめの恋愛映画にはまる時期も一応あるんだけど、あんまり長く続かない。
やっぱりこういう映画に弱いDNAがあるんじゃないかと思うのだ(そんなもの、ないか~)。
■スポーツと政治
かつて観た『マンデラの名もなき看守』(よかったら、ココをどうぞ)。
マンデラの27年の投獄生活を知り(27年ですよ、私の貧相な想像力をはるかに越えた現実)、それで彼に関するさまざまなデータを探すきっかけになった映画だ。
合法的な政策としてのアパルトヘイトの悪しき歴史から生まれた黒人と白人の間の深い厳しい溝を埋めるべく、マンデラは大統領に就任後、何をしたのか。
その一つの流れとして、当時は国の恥と言われていたラグビーの弱小代表チームをワールドカップ初出場優勝への奇跡の道を導いていく、その過程のドラマ。
白人はラグビー、黒人はサッカーと見事に分かれていたなかで、マンデラはラグビーへの熱を国民全体に広げていこうとする。
黒人の背中を押し、そして大統領が黒人であるからこそ、白人にも表面的ではない心遣いを示す。その先に、国がひとつになることを目指して。
スポーツを政治に利用した例としてはヒトラーのオリンピックがある。国の威信を敵国はじめ全世界に知らしめようとしたナチスの政策。
マンデラはスポーツの力を借りて、国をひとつにしようとしたわけだ。
■ピナールとマンデラ
マッド・デイモン扮する代表チームのキャプテン、ピナールが、かつて27年の年月をマンデラが送った監獄を訪れるシーン。
独房に入り、マンデラの孤独な姿を、過酷な労働をする姿を想像する。そのときの表情がすごくいい。
はじめてマンデラにあったときの感想を求められたときの、「今までに出会ったことのない人」という言葉も深い。
27年間も虐げられてきたのに、「なぜ許せるのだろうか」と自問自答する。
マンデラの瞳はいつも穏やかで、どこか泣いているようで、でも強い。
ピナールとともに、観ている私たちもモーガン・フリーマン演ずるマンデラの魅力にとりつかれていく。
■覚えておこう
「我が魂の支配者は我」。
「インビクタス」(征服されない)の詩の中の一節に、はからずも心打たれた。
人はそれほど強くはないし、過酷な現状は決して甘くないし、思いどおりにならないことばかりだけれど、心の隅に置いておこう。
「私の魂は誰にも支配されない」と。
時代に流され、道を見失うことのほうがよほど多い人生だけど、心のかたすみに覚えておこう。
「誰も私を征服することはできない」
大したことはしていないし、大きなものに翻弄されやすい毎日だけど、忘れずにいよう。
「我が魂の支配者は我」。
■映画はここで終わるけど・・・
ラストシーンでは、ニュージーランドの強豪オールブラックスに延長戦の末勝って、ワールドカップ初出場で優勝を果たす南アフリカ共和国。
黒人も白人も関係なく、その勝利に酔いしれる。
最初は冷たくあしらっていた白人の警官が黒人の少年を抱き上げて歓喜の声をあげる。
素直に感動的なラスト。
物語はそこで終わるけれど、現実の世界はそこからまた歴史を刻んできている。
多くの黒人(だけではないけれど)の貧困、治安の悪化の問題など、南アフリカ共和国の抱える問題は決して小さくなってはいない。
現実はドラマでは終わらないということだ。
それにしても、モーガン・フリーマンの静かな魅力にまたまた引き込まれました。
ここでは「最高の人生の見つけ方」しか書いてないけど(ココです)、「ショーシャンクの空へ」から始まって、「ミリオンダラーベイビー」などなど、心震わせてもらっています。
突然ですが、先日ココで、エレカシの「悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅」を「わりとおとなしめな・・・」などと書きましたが、ラストの「悪魔メフィスト」、地獄からの声ではないですか。
聴いてなかったんじゃないの?と言われるのを恐れて、ここに記しておきます。
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