2023.09.03
「ロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
9月第一週!
「運転中の方も、お仕事中の方も、暇こいてる方も、ちょっとした息抜きにしていただけたら幸いです」
今回のテーマは、【おしゃれリズムなスピッツナンバーで漫遊記】です。
「おしゃスピ」(笑)。
スピッツはパンクロックのバンドを目指していたので、「基本、8ビートの曲がほとんどだったんですけど、売れ線を意識したアルバム『Crispy!』あたりから、ちょっとオシャレを意識した16ビートの曲もやるようになったんですよね」。
結局オシャレにはほとんどなりきれていなかったりするが、そんな「スピッツなりのおしゃれリズムなナンバー」で漫遊!です。
オンエア曲
01 楓(松任谷由実)
02 裸のままで(スピッツ)
03 夏が終わる(スピッツ)
04 まもるさん(スピッツ)
05 ヘビーメロウ(スピッツ)
06 YM71D(スピッツ)
07 美しい鰭(スピッツ)
08 Words of Love(NAZCA)
漫遊前の一曲は、松任谷由実さんのカバーで「楓」(プロデュース&アレンジ:富田恵一)(2002年、スピッツトリビュートアルバム『一期一会 Sweets for my SPITZ』)。
スピッツナンバーで漫遊のときは、「スピッツをカバーしてくれた曲で・・・」ということで。
この曲を聴いたときは、「あのユーミンがスピッツの曲をカバーしてくれた!」ということで「現実感がなかった状態だった」。
できあがりも「メチャメチャおしゃれで感動しました」と。
最初の曲は、「ミリオンヒットを狙って空振りだったあの曲」、スピッツの「裸のままで」(1993年、4thアルバム『Crispy!』)。
曲終わりで、「声が若い」。(ホント!)
(そんな事情を知ってからは、曲を聴けば歌い方にも必死さを感じてしまうし、MVも妙に力が入って見えたりするけど、でもそれはこっちの事情で、たぶんそんなことはないんだろうな)
1993年というと、ホコ天などでピークアウトしたバンドブームが終わって、渋谷系音楽の時代! 「スピッツも売れようとしてなんとかもがいていた時代」。
イギリスでは、ダンスロックやアシッドジャズのブームが来ていて、「ビートが細かいオシャレな曲を作らなくちゃダメなのかなと思っていた」。
そのころ聴いていたのが、イギリスのコーデュロイというアシッドジャズのバンドのアルバム。バックに流れる。
このバンドのアルバムに「当時のオレのファンキービートのルーツ、おしゃれビートのルーツが入っている」。
それまでも、ジェームズ・ブラウン、シックなどは聴いてはいたが、「コーデュロイのおしゃれ感がすごくわかりやすかった」。
そして、コーデュロイのような雰囲気の曲を作ってみようと思ってできあがったのが「裸のままで」で、「全然近くないと思うんですけど」。
全然おしゃれじゃない、「ドメスティックな歌謡ロックの枠内におさまるもの」ができあがっているなと思うが、ま、それがスピッツらしさなのかな、と。
ただ、バンドの演奏は、「しっかりオレの要望に応えてくれて、﨑ちゃんも田村もテツヤも、やるじゃん!って当時は思いましたね」。
次の「おしゃスピ」ナンバーは、「夏が終わる」(1993年、4thアルバム『Crispy!』)。
この頃のリズムアレンジのアプローチは、「プロデューサーの笹路正徳さんからも影響を受けていた」。
例えば、「愛のことば」。最初は「普通の8ビートのロックな感じだった」と、ZO-3で歌う草野くん。そこに笹路さんが「こんなリズムでやってみたら?と弾んだビートを提案してくれた」とZO-3で。
「それ、いいかも」と取り入れたらいい感じで曲ができあがって、それ以来リズムアレンジの幅が広がり、新曲を作るたびに、リズムをちょっと試してみよう、という時期だった。
「夏が終わる」も、笹路さんがなんとかしてくれるだろう、ということで、リズムアレンジにチャレンジしてできあがった曲。
「おしゃれリズム」・・・。
具体的には、R&Bやソウルミュージックから影響を受けた16ビートの曲。
草野くんの中には、そういう要素はなくて、「最初はウケるために取り入れていただけだった」。普通に作っていたら、8ビートの曲かシャッフルのリズムの曲ばかりになっていただろう、と、ZO-3で。「もともとそういうハードロックやパンクロックの人なんで」。
でもそういうおしゃれリズムを取り入れて演奏してみると、「あれ、なんか気持ちいいかも」という気持ちも芽生えてきた。
次は、「まもるさん」(2008年、34thシングル『若葉』のカップリング曲)。
ZO-3でリズムを演奏して、参考したのは小林克也さんの番組、『ベストヒットUSA』のオープニング曲、ヴェイパー・トレイルズの「Don’t Worry, Baby」。
Vapour Trails - Don't Worry Baby (1979)
だけど、「まもるさん」の場合は、「サビになると急にハードロック風になるので、そのへんはすごいスピッツっぽい曲かな」と。
(聴いてても、サビにくるとなんだか安心するのは、そのせい?)
次の「おしゃれスピッツ」は、「ヘビーメロウ」(2017年、『CYCLE HIT 2007-2017 Spitz Complete Collection』)
「この曲は、誰っぽいかな?」
ギターソロはジミヘンのサイケ感に近いところもあるが、これは「スピッツ独特のファンキーソングを確立した曲」と。「それは最近の『美しい鰭』につながっているかもしれない」。
でも、「歌詞にも出てくるけど、『なんちゃってファンキー』なんですよ」と。
これは卑下しているわけではなく、「なんちゃってファンキー」なリズムも今ではスピッツの大事な要素になっているんだな、と。
メッセージコーナー。
「マサムネさんのくしゃみは、普通の音量ですか?」
おじさんのくしゃみはなんで大きい? 「加齢によって腹筋が弱くなっているかもしれない」説。デカいくしゃみをするおじさんを見たら、「ああ、腹筋が弱ってんだな・・・」と思ってあげれば、気の毒な感じで見られるかも(笑)。
女性も「ファルセットみたいに大きなくしゃみの人、いらっしゃいますよね」と。
腹筋が原因じゃない人は、「かまってほしいとか、ちょっと寂しがりさんかも。大きい音で、自分の存在を認めてほしいとか・・・」と。
なかにはホントに迷惑なケースもあるし、「腹筋使ってほしいし、タオルやハンカチで覆ってほしいですよね。気をつけてほしい、というか、オレも気をつけます」。
小さいころは大人を見て、「自分もその年齢になったら、ああいう服装をするのかな」と思っていたら、実際には、趣味嗜好は「年齢」とは関係ない。「草野さんは?」
「若者文化がそのままスライドして高齢者文化になっていく」ということもあるのか?
服装だけではなくコトバなどもそう? 「マジ、やべー」とか、50年後に高齢者が使っていて、そのころの若者が「なに年寄りっぽい言葉使ってんだ」とか思ったり?
若いころ、ロックを理解できるような親になりたい、などと言っている友人がいたけど、「今は、むしろロックがおじさんっぽい文化になってきちゃってるもんね」。
「文化はスライドしていく」か~。フォーマルなものもスライドしていく。
根本的には、「新しいものに関心をもつことが大事なのかな。それが好奇心につながる。人生を楽しくするコツかな?」。
後半も「なんちゃってファンキーなリズムに乗って」と。
次の曲は、「YM71D」(2019年、16thアルバム『見っけ』)。
先ほども話題に出たシック(Chic)というバンドは、草野くんが中学のころ流行っていて、彼もよく聴いていた。
普段はハードロックやパンクロックを聴いていた草野少年だが、このシックは「聴いていて、気持ちがいいぞ」と。反復するリズムが、AC/DCやブラック・サバスなどに実は近いのでは?と。
のちのち、シックのギタリスト、ナイル・ロジャースは、デヴィッド・ボウイ、デュラン・デュランなどのロックのミュージシャンのプロデューサーとしても活躍した。
で、「YM71D」は、シックの「Good Times」や山下達郎さんの「SPARKLE」にがんばって近づこうとしたけど、「良くも悪くもスピッツでしかない曲に仕上がった」。
Chic - Good Times (Atlantic Records 1979)
(「YM71D」・・・、なんて気持ちのいい曲なんだろう、と聴くたびに思う。「良くも悪くもスピッツでしかない曲」というのが、その理由なのかなあ)
最後の曲は、「最新バージョンのスピッツのおしゃれリズムの曲」、「美しい鰭」(2023年、17thアルバム『ひみつスタジオ』)。
ビートの感じは、ジャクソン・ファイブの「ABC」のイメージもあったが、サウンドは、ミーターズというR&Bのバンドの1969年のデビューアルバムを参考にした。「ドラムのスネアの音をそれに近づけてもらった。わかりますかね。パコーンという音が気持よくて、無性に聴きたくなるんですよね、たまに」。
これをスピッツでもやってみたくて、「ドラムテックのかたにお願いして作ってもらった」。
「そのあたりは、よく注意して聴いてもらいたいです」
(パキッとした歯切れのいい音のことですね~)
特集の最後に。
「自分で自分のことをおしゃれというのも・・・」と。
今日の選曲でもれてしまったが、「エンドロールには早すぎる」「子グマ!子グマ!」「未来未来」も、わりと「スピッツ的にはおしゃれリズムかな」。
「今後も、届かないかもしれないけれど、届かない感じを楽しみつつ、おしゃれバンドを目指す不思議なバンドとして、やっていこうかな」
(これこれ。スピッツはずっとこんな感じでいてくれたら、こちらも楽しめますよね。こういうふうに自分たちの曲をいろいろ解説してくれるのは、ファンとしては本当にうれしいし、興味津々で話をきける。へ~、と思うことばかりです)
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナーは、NAZCAの「Words of Love」(1983年、デビューアルバム『Words of Love』)。
(イントロは? 「ハネモノ」)
NAZCAは、スピッツもプロデュースでお世話になった笹路さんが80年代に活動していたバンド。
最近サブスクで聴けることがわかって、「田村と盛り上がって聴いていた」。
笹路さんのバンドということで、「フュージョンぽいのかなと思っていたら、意外とロック。TOTOみたいな感じかな。晴れた日に車を運転しながら聴いたら気持ちよさそう」。
(聴いてみよう!)
曲終わりで、「ドラムはCharさんのバンドでアイドル的人気だった、個人的には『薔薇の嵐』のヒットが印象的だった辻野リューベンさん」と。
(思い出した! かわいいアイドルっぽいドラマーでした。)
来週は、「The Carsで漫遊記」。
草野くんがロック大陸に上陸したころ、チープ・トリックやザ・ナックとともに、よく聴いていたバンド。
ところが、なぜかこの『ロック大陸漫遊記』では一度もかけていないのかな、ということで、しっかりと特集です。
「草野さん、年齢とともにリップクリームの減りがはやくなってきました!」
そして、リクエスト募集!は「あなたの好きなギターソロ」。
最近は「ギターソロはいらない!」が議論になったりしているけれど、「いやいや、ロックはギターソロでしょっ!」ということで。
このお題なら、ロックファンにリクエストしてもらえるだろう・・・と。
熊本駅で大好きなくまモンを撮影して、スマホのロック画面に設定したら・・・。
「こんなくまモン、ヤだ」状態になってしまった・・・。
漫遊前の曲紹介では、「松」にアクセントを置いて、松任谷由実と言ったのがツボでした。二度目は普通に発音してたから、最初は思わず出ちゃったのかな?w 同じく「松」にアクセントを置き、松平健とか松平定信と言う人もいますもんね。
何はともあれ、マサムネがようやく復帰して良かった!大事な喉は、まだ慣らし運転でしょうが、大阪は大丈夫そうですね。体調が気になって、ス箱は頻繁にチェックしてたんだけど、日曜に恒例のコメがあったのを昨日知り、嬉しくて嬉しくて。取りあえず、オンテレで4/4スピッツを見たいなあ。前回の3/4スピッツにも和み、メンバーの強い絆を感じたけど。
おはようございます。
無事に4/4のスピッツが見られて、よかったですね。
無理せずに、それなりにはがんばってくれたら・・・。
「おしゃスピ」、いろいろ制作過程?での話もきけて楽しかったし、へ~と思えるところも多々あって、楽しい1時間でしたよね。
スピッツ曲を本人が語る、のは貴重な時間。
また期待しちゃいましょう。