☆最後の与兵衛と最後の?一幕見席
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、歌舞伎座の「一幕見席」とは、劇場の脇の専用の入り口(写真)から入り4Fにある「天井桟敷」で、(本来の歌舞伎座とは隔離?されていて、そちらに行くことはできない)、その日の演目の1つだけを選んで観ることができる席。
歌舞伎座で昼の部、夜の部をそれぞれ観ようとしたらチケットは1万円台だけれど、すべてじゃなく「これ」が観たいという場合にべんりなのが、この「一幕見席」。演目によって異なるけど、500円~1000円前後で観ることができる。
ただし、はじめて行くとびっくりするくらい「天井に近い」席。舞台を真上から見下ろす感覚、高いところが怖い人はヤめといたほうがいい、というような場所。
今はよくわからないけれど、かつては歌舞伎が本当に好きな常連客や、厳しいシロウトの観客、演劇関係の記者や評論家なんかがここで観ていて、大向こうからの「音羽屋ーっ!」「播磨屋ーっ!」なんて声を絶妙なタイミングでかけたりしていたとか。
歌舞伎座がもうすぐ立て替えのために壊されるというし(今、「さよなら公演」の真っ最中)、この前行ってびっくりしたんだけど、一幕見席の入り口前に長蛇の列。ええーっ、ここはこんなに人気のある場所になってしまったんですか??
あきらめかけたけれど、運よくその日に、「一幕見席」で「女殺油地獄」を観ることができた。
ここは高校生の頃、片岡孝夫さん(現・仁左衛門)の舞台を観に、制服姿で一人通った思い出の場所(歌舞伎座は高いから、この一幕見席か、あるいは国立劇場の学生割引しか行けなかったのです)。
当時は本当に人も少なくて、年配の常連さんっぽいひとしかいなかった記憶あり。誰も付き合ってくれなかったけど、そのうちにひとりで大人の世界に行くのがちょっと誇らしいようなワクワクするような、うれしい時間になってきて、今思えば抱きしめたいような時たちだ。
今回、当たり役の「女殺油地獄」の与兵衛を封印されるということで、これは最後にどうしても観なくちゃ!とかけつけたわけ(ココに、それについてに記事があります。
世話になっている年増の女性を殺す場面で油まみれになるところの歌舞伎の様式美。だけどどこかリアルで怖くて、でも美しい。そして、そういう表に見えるところじゃない、青年の身勝手さ、浅はかさ、ずるさ、でも幼さの中にあるチャーミングな雰囲気。そこのおもしろさがある意味、現代劇にも通じる。
わかりやすさとおもしろさがヘンに複雑じゃなく単純明快。身勝手な青年をとりまく家族の優しさ、せつなさも、そんなに芝居じみてなく、そこいらにありそうな感じ。
そして何より、孝夫さん(すいません、いまだに私にはこれが自然)の姿の美しさ、響く声のせつなさ…、それはこんにちも少しも変わっていなかった。
思いきって仕事のあいまに観にいってよかった、ほんとうに。
当時、バンドのライブとか、今で言うミニシアターとか、放課後にいろいろ楽しんでいたんだけど、そのあいまにこんな古風な時間もつくっていたんだな、とちょっとおもしろい。
歌舞伎座が新しくなっても、今の一幕見席のようなところが残されて、あの頃のワタシみたいな高校生が気軽に訪れることができればいいな、と思う。
最後に、どうしようもないけどチャーミングな与兵衛をありがとうございました、孝夫さん。
そういえば先週、卒業以来はじめてキャンパスを歩いた。当時から現在まで私にとっていちばん大事な友人といっしょに。
いい思い出ばかりではなくキツイ時期でもあったのだけれど、向こうからあの頃の私たちが歩いてきたら、まさに大林宣彦の世界?なんてことを思ったり…。
マイケル・ジャクソンの突然の死。
ジャクソン・ファイブの頃のかれのことを詳しく語ってくれる人がかつていました。すごい才能だったと。
私自身はとくに思い入れはないのですが、周囲に青春を彼に捧げた人や、音楽に触れるきっかけとなってくれたという人が何人もいます。
POP OF KING、安らかに!
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、歌舞伎座の「一幕見席」とは、劇場の脇の専用の入り口(写真)から入り4Fにある「天井桟敷」で、(本来の歌舞伎座とは隔離?されていて、そちらに行くことはできない)、その日の演目の1つだけを選んで観ることができる席。
歌舞伎座で昼の部、夜の部をそれぞれ観ようとしたらチケットは1万円台だけれど、すべてじゃなく「これ」が観たいという場合にべんりなのが、この「一幕見席」。演目によって異なるけど、500円~1000円前後で観ることができる。
ただし、はじめて行くとびっくりするくらい「天井に近い」席。舞台を真上から見下ろす感覚、高いところが怖い人はヤめといたほうがいい、というような場所。
今はよくわからないけれど、かつては歌舞伎が本当に好きな常連客や、厳しいシロウトの観客、演劇関係の記者や評論家なんかがここで観ていて、大向こうからの「音羽屋ーっ!」「播磨屋ーっ!」なんて声を絶妙なタイミングでかけたりしていたとか。
歌舞伎座がもうすぐ立て替えのために壊されるというし(今、「さよなら公演」の真っ最中)、この前行ってびっくりしたんだけど、一幕見席の入り口前に長蛇の列。ええーっ、ここはこんなに人気のある場所になってしまったんですか??
あきらめかけたけれど、運よくその日に、「一幕見席」で「女殺油地獄」を観ることができた。
ここは高校生の頃、片岡孝夫さん(現・仁左衛門)の舞台を観に、制服姿で一人通った思い出の場所(歌舞伎座は高いから、この一幕見席か、あるいは国立劇場の学生割引しか行けなかったのです)。
当時は本当に人も少なくて、年配の常連さんっぽいひとしかいなかった記憶あり。誰も付き合ってくれなかったけど、そのうちにひとりで大人の世界に行くのがちょっと誇らしいようなワクワクするような、うれしい時間になってきて、今思えば抱きしめたいような時たちだ。
今回、当たり役の「女殺油地獄」の与兵衛を封印されるということで、これは最後にどうしても観なくちゃ!とかけつけたわけ(ココに、それについてに記事があります。
世話になっている年増の女性を殺す場面で油まみれになるところの歌舞伎の様式美。だけどどこかリアルで怖くて、でも美しい。そして、そういう表に見えるところじゃない、青年の身勝手さ、浅はかさ、ずるさ、でも幼さの中にあるチャーミングな雰囲気。そこのおもしろさがある意味、現代劇にも通じる。
わかりやすさとおもしろさがヘンに複雑じゃなく単純明快。身勝手な青年をとりまく家族の優しさ、せつなさも、そんなに芝居じみてなく、そこいらにありそうな感じ。
そして何より、孝夫さん(すいません、いまだに私にはこれが自然)の姿の美しさ、響く声のせつなさ…、それはこんにちも少しも変わっていなかった。
思いきって仕事のあいまに観にいってよかった、ほんとうに。
当時、バンドのライブとか、今で言うミニシアターとか、放課後にいろいろ楽しんでいたんだけど、そのあいまにこんな古風な時間もつくっていたんだな、とちょっとおもしろい。
歌舞伎座が新しくなっても、今の一幕見席のようなところが残されて、あの頃のワタシみたいな高校生が気軽に訪れることができればいいな、と思う。
最後に、どうしようもないけどチャーミングな与兵衛をありがとうございました、孝夫さん。
そういえば先週、卒業以来はじめてキャンパスを歩いた。当時から現在まで私にとっていちばん大事な友人といっしょに。
いい思い出ばかりではなくキツイ時期でもあったのだけれど、向こうからあの頃の私たちが歩いてきたら、まさに大林宣彦の世界?なんてことを思ったり…。
マイケル・ジャクソンの突然の死。
ジャクソン・ファイブの頃のかれのことを詳しく語ってくれる人がかつていました。すごい才能だったと。
私自身はとくに思い入れはないのですが、周囲に青春を彼に捧げた人や、音楽に触れるきっかけとなってくれたという人が何人もいます。
POP OF KING、安らかに!