2024.03.31
ロック大陸漫遊記
TOKYO FM
3月最終週から4月へ。「春真っ盛り」。
「心に余裕がある方も、意外とギリギリという方も、ちょっとした息抜きにしていただけたら幸いです」
そして今日は、【ブルースロックで漫遊記】。
もともとアメリカの黒人音楽であるブルースはロックミュージックのルーツでもあるが、ほんまもんのブルースの影響を強く受けたブルースロックが、60年代~70年代初めに流行ったので、「そのへんのナンバーを聴いてもらおうと思います」。
草野くんは、「実はあまり得意なジャンルではないのですが、ロックを語る上では避けては通れないジャンルなので、漫遊してみようと思います」と。
セットリスト
01 ドルフィン・ラヴ(スピッツ)
02 All Your Love(John Mayall & The Blues Breakers)
03 My Heart Beat Like a Hammer(Take 2)(Fleetwood Mac)
04 Strange Brew(Cream)
05 Iʼm a Mover(Free)
06 Same All Over(Canned Heat)
07 Baby's Got Me Crying(Chicken Shack)
08 Rock Me Baby(Johnny Winter)
09 むかでの錦三(上田正樹とサウストゥサウス)
漫遊前の1曲は、スピッツで「ドルフィン・ラヴ」(1993年、4thアルバム『Crispy!』)。
ブルースには基本的なコード進行があり、この曲のAメロと間奏はその形式にのっとっている。
でも、「あんまりブルースロックという感じではないんですけど」。
(先週の「夢じゃない」に続いて、やっぱり、なんてかわいいボーカル。キラキラしたアレンジは、頑張っていた時代を思い出させる)
最初の曲は、「オレのイメージからすると、ブルースロックといえば、この人かな」、John Mayall & The Blues Breakersで、「All Your Love」(1966年、The Blues Breakers名義の1stアルバム『Blues Breakers with Eric Clapton』/オリジナルは、Otis Rush)。
John Mayallは、イギリスのブルースロックを牽引。このバンドを経て成功をおさめたというミュージシャンは多く、「エリック・クラプトンさん、フリードウッド・マックのピーター・グリーンさん、ローリング・ストーンズのミック・テイラーさんなどなど」。
「そもそもブルースってな~に?」
アメリカの黒人の間で歌われてきた音楽。
労働歌、お葬式のときに歌われる霊歌がベースになったと言われている。
主にギターの伴奏で歌われていて、1920年代にレコーディングされたものが人気になり、知名度が一気に上がった。
MCのバックに、1920年代にレコードになった、初期のブルースシンガー、ロバート・ジョンソンの歌声が流れている。
その後アメリカ各地に広がり、大勢のブルースシンガーが活躍。
60年代には、イギリスのミュージシャンの間でもブームとなった。アレクシス・コーナーさんなどが有名。
それまでのポップスとは異なる、「魂を揺さぶる」という感じが、多くの若いミュージシャンに影響を与えたのでは?
「それはわかるのですが」と、草野くん、「ゴダイゴ、チープ・トリック、マイケル・シェンカーを聴いていた少年の耳には、ブルースロックはすごい退屈に感じたんですよね。子どもが聴くには、ちょっと難しい感じはあるかなあ」。
フレーズがずっと繰り返しだったり、泣きメロもないので、「いまだに得意なジャンルではないのですが」、それでも「これ、ちょっとカッコいいかも」という曲もあって、そのあたりで漫遊だそうです。
次は、先ほど名前が出たピーター・グリーンさん率いる」、Fleetwood Macの「My Heart Beat Like a Hammer(Take 2) 高鳴る鼓動」(1968年、デビューアルバム『Fleetwood Mac』/今日は、1999年の再発盤から)。
今では70年代以降のポップなイメージが強いバンドだが、スタートはこてこてのブルースロックだった。
次は、Creamの「Strange Brew」(1967年、2ndアルバム『Disraeli Gearsカラフル・クリーム』/バディ・モスの「Hey Lawdy Mama」を下書きに作られた曲)。
Creamは、エリック・クラプトンが先ほどのThe Blues Breakersを離れて結成したバンド。
ここでも、「Creamの曲は結構かけてますよね」。
古いロックにはまり始めた頃は、ハードロックやサイケなサウンドを期待してレコードを買ってブルースっぽい曲だったりすると、「正直、がっかり感がすごかった。中学生の耳にはすごいおじさんっぽく感じちゃって、Creamもそんなバンドのひとつだった」。
Creamは以前に、「CreamっぽくないCream」で特集(ココ)。
(Cream特集で「White Room」が流れなかったし)
そのころは、「実はブルースっぽい曲は飛ばして聴いてました」。
でもギターを始めてからは、「ブルースっぽい曲のほうがコピーしていて楽しいのに気づいて」、それで聴くようになった。
「Strange Brew」のリフを弾いて(カッコいい!)、「ペンタトニックスケールという特有の音階を覚えるのに、この曲は最適だった」と。
そして次は、Freeの「Iʼm a Mover」(1968、デビューアルバム『Tons Of Sobs』)。
草野くんは、「Cream同様、Freeの曲もブルースっぽくない曲のほうが好きだった」。
そして、「じじいになってくると」、「ポール・ロジャースさんの歌はブルースでこそ、その威力を発揮するのかな」と思うようになった。
この曲は、「ブルースロックがハードロックに変貌していく過程がわかりやすいかもしれない」。
基本的に、Aメロはワンコードのギターリフ(ZO-3で演奏)で、正確にはブルースのコード進行に沿ってないが、「それでもブルースっぽいなあと思います。ブルースとハードロックの中間みたいな曲」。
Free - All Right Now (Doing Their Thing, 1970) Official Live Video
(Freeと言えば・・・これかも)
「ブルースファンへ」
後半にいくときに、「言い訳みたいになるんですけど」の前置きで、ブルースロックは詳しくないから、ファンからには、「それ、ちょっと違うんじゃないの? なんであの曲かけないの?」みたいなツッコミを入れつつ聴いててほしい・・・と。
「ブルースロックのファンの方って、結構うるさ型の人多そうなイメージありますけどね」と。
そして、「ブルースって、つらい仕事を和らげるためとか、大切な人を失った悲しみをみんなで歌いましょう、というような、魂の声を具現化したような音楽だと思うので、当時の若者が求めていたエモーショナルな音楽としてはまりやすかったんじゃないか」。
そして次は、「アメリカのバンド」、Canned Heatの「Same All Over」(1969年、4thアルバム『Hallelujah』)。
Canned Heatは、前にも「フルートが入った曲」特集(ココ)で「かけたことがある。60年代の『ミュージック・ライフ』などによく出てくるバンド。
この曲は、「ピアノがいい感じで入っています」。
(気持ちいい浮遊感。懐かしい感じ)
「退屈だったブルースセッション」
かつて、ミュージシャン仲間や音楽業界の人の結婚パーティーとかがライブハウスで開かれると、出席者によるブルースセッションが始まることがあった。
えんえんとブルースの循環コード(ZO-3で。聴きなれたコード)に合わせてブルースのフレーズ(これもZO-3で)が続く・・・というのが「結構退屈だったんですよね、ぶっちゃけね。演奏している人は楽しいんだろうけど」(笑)
スピッツメンバーでもその思い出話をすることがあって、「たぶんそこにいた、ほとんどの人が退屈だったんじゃないかなと思いますけど」(またまた・・・(笑))
「今ならお酒も入って楽しく聴けるかな。ま、おじさんになってからのほうが楽しく聴けるかな」
そして次は、Chicken Shackの「Baby's Got Me Crying」(1969年、2ndアルバム『O.K. Ken?』)。
先ほどのFleetwood Macと、Savoy Brown、Chicken Shackが三大ブルースロックバンドときいたことがあるが、wikiによると、「日本の中だけで言われているらしい」。
Savoy BrownとChicken Shackのどちらか・・・と迷ってのChicken Shackです。
この曲は、「ホーンセクションも入ってゴージャス」。
「ブルースギター」
草野くんがギターを始めたときの入門書のテキストの著者が「ブルージーなギタリスト」、竹田和夫さんだった影響で、「ブルースっぽいギターが入り口になってしまった」ので、「ロックのギターはブルースギターから始めなければいけないのか」と思っていた。「ホントはそんなことはない」
それで、「手癖になっていたフレーズがたいたいブルースっぽい」とか(ZO-3で)
最後は、Johnny Winterの「Rock Me Baby」(1973年、メジャー4thアルバム『Still Alive and Well』)。
「ブルースギターもこれくらい派手に弾けたら気持ちいいだろうな。ジョーニーさん、弾きまくっています」
(ギターだけ聴いててこんなに楽しい)
特集の終わりに。
ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッぺリン、ジミヘンにも、ブルースロックの曲は多い。70年代のハードロックも多かれ少なかれブルースロックの影響を受けている。
「そういう視点で聴くと、ブルースロックの新たな発見があるかもしれないです」
また、歌謡曲に多い「ほにゃららブルース」(「雨のブルース」とか「中の島ブルース」とか)は戦前から独自にガラパゴス的進化を遂げた音楽なので、「音楽的には黒人の音楽とはかけ離れたものになっていて、別物と考えていいようです」。
(疲れたときとか、前のめりじゃなく、椅子の背に体をあずけて聴ける音楽)
今日の「ちょっぴりタイムマシン」は、上田正樹とサウストゥサウスの「むかでの錦三」(1975年、ライブアルバム『この熱い魂を伝えたいんや』/「むかでの錦三」は70年代の漫画のキャラクター)。
(イントロは、「ただ春を待つ」か)
日本のブルースロックといえば、先ほどの竹田和夫さんのブルース・クリエイション、憂歌団などが浮かぶが、上田正樹とサウストゥサウスのこの曲は、「シティーポップ風味もあり、今聴くとカッコよさ増し増しなんで、紹介したい」。
1975年のライブ音源だが、「ロックミュージックとしても演奏・サウンドともにクオリティー高い作品だと思います」。
(上田正樹といえば、ソロでの「悲しい色やね」か)
そして来週は、「ジュディ・シルで漫遊記」。
ジュディ・シルさんは、「70年代の短い期間活躍されたけど若くして亡くなった悲運のシンガーソングライター」。
「ほとんど忘れ去られた存在だったが、今世紀に入って再評価され、カントリーミュージックとバッハをブレンドしたような独特の世界がクセになる」、そんなジュディ・シルさんで漫遊します。
(ココでかけてくれましたね。それから、たまに聴きたくなるシンガーです)
「草野さん、ムササビグッズのコレクション、見てください」
夏フェス出演の情報
★RISING SUN ROCK FESTIVAL 2024 in EZOに!
https://rsr.wess.co.jp/2024/
2024年8月16日・17日〈雨天決行・オールナイト開催〉
16日:開場 10:00/ライブスタート 14:00/終了 23:00 予定
17日:開場 10:00/ライブスタート 12:30/終了 05:00(18日)予定
〈北海道石狩市新港中央1丁目 / 小樽市銭函5丁目〉