日時:10月25日
映画館:新生サロンシネマ
パンフレット:B5版720円。
原作ジョン・ル・カレと言うだけでそそられますなあ。
時代は現代。冷戦時代の諜報戦のメッカと言えばイスタンブールとかウィーンだったが、現在はハンブルグらしい。かの地に国際指名手配されているチェチェン人の青年が密入国し、ドイツの銀行家に接触を図ろうとする。どうやら巨額の資金が動くらしい。テロ組織に資金が流れることを危惧した、ドイツの諜報機関とCIAが彼を巡って暗闘を繰り広げる。さらにテロ組織への資金提供窓口を運営しているとおぼしきイスラム教徒の学者を巻き込んでいく。
ちなみにタイトルである「誰よりも狙われた男」とはフィリップ・シーモア・ホフマンのことだと思っていたが、実はチェチェン人の青年を指す。
【以下、ネタばれあり。】
ドイツ諜報機関の行動チームのリーダーがフィリップ・シーモア・ホフマンで、チームがやっていることは犯罪まがいの盗聴・盗撮・誘拐。毒を以って毒を制すと言えば聞こえは良いが、実行部隊は泥臭い。
映画そのものには全然派手さがなく、テロや陰謀が存在していたがどうかもよく分からない。無関係と思えるささいな事件をきっかけに大きな事件に繋げていく展開は、ル・カレそのもの。「スマイリーと仲間たち」なんかを思い出した。
ただ、その地味さが映画に向くかどうかは別で、そこを引っ張るのがフィリップ・シーモア・ホフマンなのだが、彼がアメリカ人の本人にしか見えず、ドイツ人には見えないのが難。(ル・カレは彼がイチオシで、ジョージ・スマイリーも演じさせたかったとか。)雰囲気的にはステラン・スカルスガルドがピッタリだと思うが、そんなキャスティング・ディレクターは給料泥棒だろう。あまりにベタだね。
セリフももちろん英語なのだが、「Michael」をマイケルとベタ英語読みする原語を「ミヒャエル」とする字幕には好感が持てる。
ドイツ人銀行家を演じるのがウィレム・デフォーなのだが、これもアクが強過ぎてドイツ人に見えない。きっとテロ組織を裏で操っているに違いないと思いきや、ル・カレの小説にそんな荒唐無稽などんでん返しがあるわけではなく、スマイリー・・・じゃなくてホフマンに翻弄される不運な銀行家・・・。
と、書けば書くほど、ル・カレ風味のよく出た映画と分かるのだが、とにかく「まずフィリップ・シーモア・ホフマンありき」みたいな狙いすぎたキャスティングで損をしてしまっている。案外、ドイツ人俳優で地味に固めた方が映画としては面白くなったかも知れない。
ところで今回初めて行った新生サロンシネマ、劇場の壁面は宮崎祐治のイラストで飾られている。
その中にあったこれについて
FB友だちから「右の人、kamacciさんに似ていますね。」とコメントが。
そんなことを嬉しげに言いふらしている野郎は、きっと「誰よりも狙われた男」になることだろう。
映画館:新生サロンシネマ
パンフレット:B5版720円。
原作ジョン・ル・カレと言うだけでそそられますなあ。
時代は現代。冷戦時代の諜報戦のメッカと言えばイスタンブールとかウィーンだったが、現在はハンブルグらしい。かの地に国際指名手配されているチェチェン人の青年が密入国し、ドイツの銀行家に接触を図ろうとする。どうやら巨額の資金が動くらしい。テロ組織に資金が流れることを危惧した、ドイツの諜報機関とCIAが彼を巡って暗闘を繰り広げる。さらにテロ組織への資金提供窓口を運営しているとおぼしきイスラム教徒の学者を巻き込んでいく。
ちなみにタイトルである「誰よりも狙われた男」とはフィリップ・シーモア・ホフマンのことだと思っていたが、実はチェチェン人の青年を指す。
【以下、ネタばれあり。】
ドイツ諜報機関の行動チームのリーダーがフィリップ・シーモア・ホフマンで、チームがやっていることは犯罪まがいの盗聴・盗撮・誘拐。毒を以って毒を制すと言えば聞こえは良いが、実行部隊は泥臭い。
映画そのものには全然派手さがなく、テロや陰謀が存在していたがどうかもよく分からない。無関係と思えるささいな事件をきっかけに大きな事件に繋げていく展開は、ル・カレそのもの。「スマイリーと仲間たち」なんかを思い出した。
ただ、その地味さが映画に向くかどうかは別で、そこを引っ張るのがフィリップ・シーモア・ホフマンなのだが、彼がアメリカ人の本人にしか見えず、ドイツ人には見えないのが難。(ル・カレは彼がイチオシで、ジョージ・スマイリーも演じさせたかったとか。)雰囲気的にはステラン・スカルスガルドがピッタリだと思うが、そんなキャスティング・ディレクターは給料泥棒だろう。あまりにベタだね。
セリフももちろん英語なのだが、「Michael」をマイケルとベタ英語読みする原語を「ミヒャエル」とする字幕には好感が持てる。
ドイツ人銀行家を演じるのがウィレム・デフォーなのだが、これもアクが強過ぎてドイツ人に見えない。きっとテロ組織を裏で操っているに違いないと思いきや、ル・カレの小説にそんな荒唐無稽などんでん返しがあるわけではなく、スマイリー・・・じゃなくてホフマンに翻弄される不運な銀行家・・・。
と、書けば書くほど、ル・カレ風味のよく出た映画と分かるのだが、とにかく「まずフィリップ・シーモア・ホフマンありき」みたいな狙いすぎたキャスティングで損をしてしまっている。案外、ドイツ人俳優で地味に固めた方が映画としては面白くなったかも知れない。
ところで今回初めて行った新生サロンシネマ、劇場の壁面は宮崎祐治のイラストで飾られている。
その中にあったこれについて
FB友だちから「右の人、kamacciさんに似ていますね。」とコメントが。
そんなことを嬉しげに言いふらしている野郎は、きっと「誰よりも狙われた男」になることだろう。
題名:誰よりも狙われた男 原題:A Most Wanted Man 監督:アントン・コービン 出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライト |