kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

チェルノブイリ

2020年08月28日 | 年間ベスト3

ちょっと出遅れたが、周りでも話題になっているので、ようやくイッキ見したHBOミニシリーズの「チェルノブイリ」。

当然、救いのない重苦しい内容なのだが、これが実によく出来ていて面白い。
チェルノブイリ原発事故の発生から現在まで約5時間で語るのだが、脚本の面白さやキャラクター造形が巧みで全く飽きさせない。

もちろん、ストーリーは絶望的だし、オチも分かっているのだが、その中での人間の生きざま、科学者、大臣、消防士、炭鉱夫、兵士、一般市民、KGBなどなどをさまざまなエピソードが語られる。 一部脚色があるものの、ほぼ史実通りの内容で、被ばく死の様子など恐しい迫力を持っているし、(被ばく死の実態を見たことがないので、リアルかどうかは分からない。)炉心が溶融してチャイナシンドローム化した最悪のシナリオなど、現実的な同世代の恐怖としてのしかかってくる。

ワタシ自身は原発に賛成でも反対でもないが、こういったドラマを見ると、原発の必要性と日々の生活のありようを改めて考えなくてはならない。

このドラマの素晴らしさをさらに高めているのが、美術とキャスティング。 ロケ地はウクライナとリトアニアらしいが、ロケできる資金力もさることながら、景色や建物が醸し出す雰囲気だけで説得力が違うし、UAZやGAZのトラック、軍用車両などの実車がわんさか出てきて、それだけでもワタシは満足。(セリフが英語なことは目をつむろう。)

さらに主役の二人が素晴らしい。主役の科学者にジャレッド・ハリス、現場責任者の大臣にステラン・スカルスガルド。普通なら主役じゃない顔の二人。後者はまだ知名度があるものの、ジャレッド・ハリスなんて個性的な悪役顔で以前から好きな俳優だが、一般には認知度があるとは言えない。その顔を主役に据えられる俳優の層の厚さを改めて実感する。 政治家と科学者という対立軸のふたりが史上初最悪の事故の中で職務を果たし、さりげない友情を培うあたりなど涙。オッサンが目で友情を語る作品に弱いのだ。

最終話のエンディングで登場人物のその後をちゃんと語るあたり、製作陣の真摯な姿勢を感じる。 当然辛い作品だか、また見よう。

ところで、ジャレッド・ハリスは、ハリポタシリーズのダンブルドア校長のリチャード・ハリスの息子なのだよ。

題名:チェルノブイリ
原題:CHERNOBYL
監督:ヨハン・レンク
出演:ジャレッド・ハリス、ステラン・スカルスガルド、エミリー・ワトソン、ジェシー・バックリー

 

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彼らは生きていた

2020年06月19日 | 年間ベスト3

悪趣味カルト映画の監督と「ロード・オブ・リング」「ホビット」シリーズのアカデミー賞監督の顔ほかに第一次世界大戦オタクにして複葉機コレクターの顔を持つピーター・ジャクソン。

そのピージャクが監督した第一次世界大戦のドキュメンタリーというのだから、期待は高まろうというもの。
ちょうど広島での公開初日とコロナ禍による劇場休館が重なり、一時はあきらめざる得ないかと思っていたのだが、晴れて広島でも公開。(ちなみにひと頃4月末にスターチャンネルで放送されるという話があったので、まもなくそちらでも見られるだろう)

開幕、傷だらけモノクロの記録映像で第一次世界大戦開戦が伝えられる。あれ、カラーライズされた映像じゃないのか。
その後、インタビュー音声とともに、当時の若者がイギリス軍に志願し、訓練を受け、フランスに送り込まれるまで、モノクロ記録映像が続く。

いよいよフランスの戦場に着いたとたん、映像が現代のニュースのようなカラーに切り替わると、目が覚めるかのよう衝撃を覚えてしまう。まさに「彼らは古い映像の中のいたのではなく、本当に生きていた。」ことを実感させられる見事な展開だ。(実はここに技術的な仕掛けがあるのだが、そこは後述)

そこから塹壕戦の退屈で泥だらけの毎日、小規模な戦闘、砲撃、休暇などの日常がつづられ、世界初の菱形戦車が登場した後、いよいよ大規模攻勢に転じる・・・のだが、大損害を被り、死屍累々の中、やがて休戦と、西部戦線に従軍したイギリス軍兵士の目線で見た第一次世界大戦が再現される。

全編、オーラルヒストリーによるナレーションや音響がただならぬ臨場感を高め、休戦の場面など安堵感と空虚感の狭間に実際に我が身をおいているかのようだ。

当時の撮影フィルムのキズやヨゴレを除去し、カラリゼーションしただけでなく、実はフレーム数も追加している。当時のカメラは手回しで平均12フレーム/1秒で撮影されているから、スクリーンにかけた時に例の「カクカク」した動きになってしまう。これを現在の24フレーム/1秒にするため、前後の動きからフレームを追加しているのだ。これで動きがスムーズになる。

さらに当時は音声が記録できなかったので、映像から読唇して発言内容を確定させ、部隊名から兵士の出身地を特定させて、そこの訛りを話す俳優にアテレコさせているのだ。

さすがWETAというか、メイキングだけをさらに1本のドキュメンタリーとして観たいくらいだ。(ソフト化されたら映像特典として付くだろうか。)

もう一方で、徹底したリサーチの賜物としても映像の半分くらいは新たに製作されたものだし、当時の兵隊のオーラルヒストリーも必ずしも映像が撮影された場所とリンクしているわけではない。
真贋の見分けられない映像とドキュメンタリーの関係とはなんぞやと改めて考えされられることにもなった。(まあ、ピータージャクソン自身がそんなエセドキュメンタリー「コリン・マッケンジー」を撮っているのだが)

さて、力技でもって第一次世界大戦を追体験したワタシは帰国した兵士たちが誰からも感謝されなかった虚しさには涙し、ロストジェネレーションする自分さえ予見としてしまう。

この技術で別の切り口からの新作を見たいし、広島に住んでいるものとしては、この技術を使って被爆前の広島の様子を再現できないものかと考えてしまう。
単に戦争ドキュメンタリーとしてだけでなく、上質のよく出来た映画として、ぜひ見るべき一本。






題名:彼らは生きていた
原題:They shall not grow old
監督:ピーター・ジャクソン




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2019年ベスト映画

2019年12月28日 | 年間ベスト3
毎年恒例の年次報告です。今年は例年以上にたくさん観た一年で、良作も多い年でした。

◆ベスト映画
ROMA/ローマ
教科書的回答ですが、ストーリーと映像の緊張感のバランスが絶妙でした。暴動から病院に至るシーンやラストの1シーン1カット、主役の女の子の魂の告白など今、思い出しても泣けます。

ウトヤ島7月22日
後味の悪さしかない映画ですが、その重さが貴重。

「八甲田山」「東京裁判」「日本のいちばん長い日」
いずれもリバイバルですが、劇場で腰を据えて観ることに価値があります。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ストーリーはさておき、映画の語りの中に惹き込む力はさすがタランティーノと唸らされました。心底、映画が終わってほしくなかった。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」
そりゃ、まあね、泣くよ

T−34/レジェンド・オブ・ウォー
本物のT−34がずっと戦い続けるって、それだけで充分。

アイリッシュマン
円熟の伝統芸能の世界。

ドクター・スリープ
全然期待していなかったのですが、キューブリックとキングの世界観を見事にまとめきっていたところに感慨深いものがありました。

他にも「恐怖の報酬/オリジナル完全版」「ファーストマン」「グリーンブック」なども良かった。

「JOKER」については、実はもっと極悪な展開を期待していただけに、ベスト入はしていません。

◆ワースト映画
GODZILLA/キング・オブ・モンスターズ
世界を守り、怪獣を倒すために、核兵器でゴジラにパワー注入しなければならないのなら、そんな人類は滅びてしまえ!

今年は映画の本数だけでなく、映画館での滞在時間が長い一年でした。とにかく上映時間のデフォルトが2時間30分。未見の作品を含め3時間超えもザラにあったのが印象的です。

今年の年末映画はまだですし、来年も楽しみな映画がいっぱいです。



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アイリッシュマン

2019年11月16日 | 年間ベスト3
日時:11月16日
映画館:イオンシネマ広島

ROMA/ローマ」に引き続いて、NETFLIXのオスカー対策公開。今回の劇場公開は予想していただけに身構えていたけど、それでも公開のお知らせは直前。油断も隙もない。

スコセッシにデ・ニーロ、ペシの顔合わせで「グッドフェローズ」「カジノ」路線の実録ギャング映画。実在のギャング(かな)フランク・シーランの半生を描く。セルフ・リメイク的位置づけかと思いきや、シーラン本人が今回の事件を告白した書籍が出版されたのが2004年だったそうなので、新ネタといえば新ネタ。原作も早速読まねばなるまい。
(ちなみに先の2作品の原作者、ニコラス・ピレッジは本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めている。)

デ・ニーロ扮するシーランはトラック運転手だったが、ひょんなことからギャングのボス、ラッセル(ペシ)と知り合い、裏社会の仕事に手を染めていく。やがて、当時アメリカで強大な権力を持つ全米トラック運転手組合の委員長、ジミー・ホッファにも近づくことになる。

ジャック・ニコルソンが扮したこともあるホッファを演じるのはアル・パチーノ。まあ、アクが強い(笑)
他にもハーベイ・カイテルだの、スティーブン・グレハムだの、ジェシー・プレモンズだの、現代ギャング映画のオールスター映画みたい。

上映時間3時間半ととにかく長いのだが、映画そのものも1950年代から2000年頃までのアメリカ裏社会を総覧させてくれる。劇中時間も3つの世代を行き来し、最初、シワシワのペシが出たときには不安がよぎったが、1950年代パートではILMの特殊効果で見事に若返って登場する。色々言っているスコセッシ、ここはいいんだ(笑)

パブリシティでは殺し屋のように紹介されているシーランだが、映画の半分以上はマフィア組織と組合との間で右往左往している。この辺は「グッドフェローズ」のレイ・リオッタみたいだ。(とは言え、もちろん人もたくさん殺す。)

時代的にキューバ革命、ケネディの大統領選出、ピッグス湾事件、ケネディ暗殺などなど派手な事件が続き、登場人物たちもそれらの事件に何らかの形で翻弄される。先の2作だったら、背景にガンガンに当時の音楽やロックが流れるところだが、今回はその辺はおとなしめ。

その分、マフィアと組合の組織をじっくりと描き、全くダレることがなく、「すぐ誰かが死体になる」異様な緊張感が続く。

だが、今回印象的なのは組織と個人の関わりを丹念に描いたところだと思う。そう思うと、やはり先の2作はその点が突っ込み切れていなかったと思わされる。
もちろん、映画の上映時間もあってのことだと思うが、シーランが組織のしがらみと友情の狭間で逡巡するくだりや暴力的な仕事を嫌う娘との確執など、これまでスコセッシが描きたかったものがキッチリ描かれているように思う。
デ・ニーロが半生を振り返って改悛するエピローグなど、ある意味、スコセッシの集大成的なシーンかも知れない。

オールスターなキャスティングが鼻につくところはあるが、しっかり楽しめる3時間半。







題名:アイリッシュマン
原題:THE IRISHMAN
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、アル・パチーノ、ハーヴェイ・カイテル
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

2019年09月10日 | 年間ベスト3
日時:8月30日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:820円。タランティーノ映画の常道として、テキスト情報盛りだくさん。

1960〜70年代と言えば、映画的には夢のような時代。
さらに本作の舞台となる1969年はワタシの生まれた年でもあり、50歳になった今年、何か感じるものがある。

その1969年に起きたチャールズ・マシスン事件を背景にした、タランティーノらしさが溢れた作品。これまでの作品同様、何が起きるかわからないので、直前は一切の情報をシャットアウト。買った映画雑誌も封を開けない。

過去のタランティーノ作品
>>ヘイトフル・エイト
>>ジャンゴ/繋がれざる者
>>イングロリアス・バスターズ
>>グラインドハウスUSA版
>>デス・プルーフinグラインドハウス


デカプリオ扮するリック・ダルトンはそろそろ落ち目のTV俳優で映画俳優への転身(当時はこの格差がシビアだった)に悪戦苦闘中。
ブラピのクリフ・ブースはリックのスタントマン兼雑用係兼長年の親友。
マーゴット・ロビー(今、「キダー」と入力したのは正しい間違い。)は実在の人物シャロン・テート。

映画はこの三人の3日間をタランティーノらしいダラダラ話と得体の知れない緊張感で語る。

時系列を解体した話法はいつもながらなのだが、実話がベースにあることもあり、知識が多ければ多いほど楽しめるし、妄想と現実、カメラの向こう側とこっち側を行ったり来たりする語り口が楽しくて仕方ない。(過去と現代を行き来するのはレオーネの「ウエスタン(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト)」とか「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の影響だよなと改めて思わせる。)

開幕早々、アル・パチーノのエージェントがリックの経歴と映画・テレビの旧作をフォーマットとあわせてクドいほど説明してくれ、ダミアン・ルイスのスティーブ・マックイーンはシャロン・テートの男の好みを自分と比較して笑わせてくれる。

ブルース・リーとカート・ラッセル、ゾーイ・ベルのくだりはゾクゾクするようなワンカット撮影で、オチにも大笑い。

「対決!ランサー牧場」でのダルトンの撮影現場は虚実が行き交う夢のような世界。映画好きが虚構の世界に憧れるものが詰まっている。

さらに虚実織り交ぜたポスターアートやCMも楽しい。この世界では、ポスターは威勢がいいが大して面白くない「コマンチ・アップライジング」とか黒澤版「トラ!トラ!トラ!」が見られるのだろう。

監督自身この映画をおとぎ話と認めているが、ワタシも同感。もう途中から「この映画終わってほしくない、ずっとこの世界にいたい」と思わせてくれる。

イタリアに渡ったリックはそこそこの成功を収める。あのくだりはまさにワタシの大好きなマカロニ裏話のまんまだし、レオーネとコルブッチの違いが認知されていないのはバート・レイノルズが自伝で語っているとおり。それにItalian Producer役の外見はまさにセルジオ・コルブッチ!!
やはり「人間行き詰まったらマカロニウエスタン」ですね。

その後の展開は・・・。大好きですけどね。

タランティーノ映画にしては珍しく観終わった後に重苦しさがなく、何となしに希望と爽やかな気分で劇場を後にできる。あの時産まれた子はワタシと同じ歳だった・・・と思うと涙しますけど。

ところで、リックがイタリアで出たスパイアクション「ダイノマイト作戦」(時代的にはユーロクライムものじゃないかという気もするが)の監督はアントニオ・マルゲリティってことになっている。彼だったら、車のジャンプシーンはミニチュアで撮影しただろうな。どうでもいいことだけど。(笑)







題名:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
原題:Once Upon a Time in Hollywood
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラット・ピット、マーゴット・ロビー
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ROMA/ローマ

2019年03月10日 | 年間ベスト3
日時:3月9日
映画館:イオンシネマ広島西風新都
パンフレット:未発売

配給・公開方法を巡ってカンヌで一騒動あり、アカデミーでも話題だった本作、3月7日に日本公開発表、3月9日に公開ってムチャやん。
当然、チラシもポスターも前売りもありません。故に映画の詳細もあまり伝わっておらず、普通なら無理してまで見ないのだが、監督が「トゥモロー・ワールド」「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン。無理して観ますよ。

1970年のメキシコ、ローマ地区で家政婦を営むクレオが描かれる。家政婦というと遺産相続で揉めるのを目撃したり、勤め先の若い男の子とイケナイ関係になったりするものだが、残念ながらそういう映画ではありません。

クレオが勤めるのは歯科医の一家、夫婦、妻の母親、4人の子供とワンコの面倒を見ている。つつましやかなだが、変化に満ちた毎日だが、大きな事件が起きるでもなく、最初の方は少々退屈。

しかし、モノクロームで描かれる70年代のメキシコの様子、美術や町並み、エキストラが実に見事で、70年代中盤に撮影された映画かと錯覚するくらい。フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリーを見ているかのようだ。この味わいはモノクロならではだろう。

さらに画角を目一杯に使った構図にキュアロン監督お得意のワンシーンワンショットなど撮影技法のオンパレードで、どんどん映画に引き込まれていく。

新年のパーティーシーンなどビスコンティの「山猫」を彷彿とさせる興奮感に満ちた中盤を飾る名場面だ。

やがてクレオの望まない妊娠が発覚、雇い主の医者も愛人と駆け落ちしたりで、クレオの日々の生活が大きく変化していく。
残された医者の家族とクレオの絆が深まるが、世の中では学生運動が過激化し、一部で暴動化していく・・・。

ある時点から映画が一気に緊迫化していくあたり、実はまんまある映画と一緒なのだが、高度な撮影技術とその緊迫感に観ているうちにどんどん涙が出てきた。一連のシークエンスが終わる時には、いろいろあって涙が止まらない。

その後、もう1シークエンスがあるが、こちらも別の緊張感に満ち、クライマックスなどキュアロンの鬼の撮影技術が炸裂、画面全体からヒリヒリ感が伝わってきて、非常に疲れる。で、またいろいろあって号泣。

世の中の冷たさとさりげない優しさに満ちたストーリーにタイムスリップしたかのような美術、気の狂いそうな撮影技術が噛み合った名作で、無理してでも観て良かった一作。

ところで、この作品がネッフリでないと再見できないかも知れないなんて、酷いなあ。






題名:ROMA/ローマ
原題:ROMA
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ヤリッツァ・アパリシオ、マリーナ・デ・タビラ、フェルナンド・グレアディガ




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2018年ベスト映画

2018年12月29日 | 年間ベスト3
毎年恒例のベスト映画です。

◆ベスト映画
犬ケ島(字幕版)」
オープニングから一気に引き込まれた、日本を舞台にした人形アニメーション映画。
これまでにないレトロ・フューチャー感がたまらないです。

ホースソルジャー
典型的な戦争コマンド特殊部隊モノですが、兵法の手順をちゃんと描いたところがポイント高しです。アカの露助のボルシェビキの旧ソ連の兵器がワンサカ出てくるところもポイント還元率アップです。

ぼくの名前はズッキーニ
たまにこういう映画を観ると心が洗われますね。

ウィンド・リバー
重いテーマ、寒々とした風景、70年代な顔ぶれ、エンディングの銃撃戦と大好物のオンパレード。

他にも
キングスマン/ゴールデンサークル」(中身はともかくジュリアン・ムーア様だけで充分です。)
スリービルボード」(フランセス・マクドーマンドも好きです。)
ジュマンジ/ウェルカムトゥジャングル」「スターリンの葬送狂騒曲」「ボーダーラインソルジャーディ」「ボヘミアン・ラプソディ」なども良かった。

シネコンでの邦画公開が増え、洋画公開のスケジューリングが年々厳しくなっているのが骨身に染みます。

◆ワースト映画
犬ケ島(吹替版)」
当初はこれが早々にベスト映画に入っていたけど、改めて字幕で観たら吹替版は映画の良さを完全に殺していたことから急転直下ワーストに。

パシフィックリム/アップライジング
本業的にインバウンド効果は面白かったですが・・・

ザ・プレデター
なんて醜い出来栄えなんだ・・・

◆見逃して残念映画
「イカリエ−XB1」
チェコのモノクロSF映画。
絶対外してはいけない映画なのに、8月中旬のドタバタでフォローできていなかったのは、数年間は引きずるであろう失態。

年々、ちゃんとアウトプットできなくなっているので、来年は頑張ります。
では、また来年!!

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ウィンド・リバー

2018年10月05日 | 年間ベスト3
◎サイコキラーものっぽいが、70年代を思わせるクライムサスペンス
◎インディアンの人権問題を根底に据えた重厚な内容
◎雪山と雪原の寂寥としたロケが美しい

撮影の困難さゆえ本数が少ないのだが、雪山が舞台になった映画は寂寥とした景色もサバイバル感も大好きだ。(「ヘイトフル・エイト」「レヴェナント

メインビジュアルからして、心底寒そうな本作、キャッチコピーはシリアルキラーものを思わせるが、実話ベースの真っ当なクライム・サスペンス。

OP、雪原で息絶える少女が映し出され、その後、野生生物局のジェレミー・レナーが発見するのが発端となる。ジェレミー・レナー、基本的に70年代の悪人顔でこういった映画にピッタリ。その胡散臭い顔立ちにホワイトカモフラージュのアウターとか前掛けしたザック、レミントン700とマーリン1895SBLモデルの扱い、痛んだアウトドアジャケットとカウボーイハットと何から何まで雰囲気がいい。別の俳優に置き換えるとしたら、ジョン・バーンサルくらいかと思っていたら、後半で彼も別の役で出てきて、なんだか製作陣と意気投合したみたいで嬉しい。(笑)

インディアン居留地で発見された少女の死体を巡り、都会のFBI職員が登場するが、彼女を演じるエリザベス・オルセンが美人ではないがほどよい幸薄そうなところがかわいい。都会のFBIと田舎の警察が対立するのはよくある展開だが、彼女、ものすごく理解があり、そういった展開にはならず、むしろストーリーの背景で描かれるのはインディアン居留地の諸問題、社会的待遇と劣悪な生活環境となる。

ただ、そこだけを声高に訴えるのではなく、犯罪捜査をきちんと進めていくので映画としても面白い。その辺はやはり監督・脚本のテイラー・シェリダンの手腕なんだろう。クライマックスもウエスタンしているのが嬉しい。変なトリックや思わせぶり伏線もなく、ストレートに事件解決に進むあたり、食い足りなさを感じないわけでもないんだが。

ジェレミー・レナー出演作の「ジェシー・ジェームズの暗殺」を彷彿とさせたが、音楽も同じニック・ケイブとウォーレン・エリス。どうりで雰囲気が一緒。

ところで、雪山・雪原ロケが美しく、アウトドア好きとしてはそれだけでも入場料の価値がある。こんな土地をとぼとぼ歩いたりしたら、さぞかし楽しいんだろうな。テント泊は無理だけど。






題名:ウィンド・リバー
原題:WIND RIVER
監督:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、ダニエル・グリーン、ジョン・バーンサル


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犬ヶ島

2018年06月02日 | 年間ベスト3
「いぬやしき」とか「○○島」とかいう日本映画と勘違いし、完全にノーマークだったが、先日の「ぼくの名前はズッキーニ」に引き続いてのストップモーションアニメ。監督はウェス・アンダーソン。

いきなり、三人の高校生が体育館で演奏する和太鼓のオープニングに始まり、そこからとても一言で説明できない。最初からその世界観に引き込まれる今年のベスト入り確実の映画。

これから20年先の日本。ウニ県メガ崎市で流行った犬の流行病、ドッグ病の蔓延を阻止するため、市長令により犬は全部、ゴミ処理場の島(犬ヶ島)に捨てられることになる。コバヤシ市長の養子、アタリ少年は捨てられた飼い犬スポッツを探すために犬ヶ島に行くが遭難、そこで野良犬5犬組に助けられ・・・

GODZILLA」とか「ベイマックス」「パシフィック・リム/アップライジング」など「もう一つの日本」は今の流行りだが、舞台となるメガ崎市は外国映画にありがちな中華日本でもリトルトーキョー日本でもなく、全く斬新なセンスのレトロ未来日本。基本的に正しくて、ちょっと外している漢字表記が楽しい。

これに限らず監督のセンスで作り込まれた画面の情報量が半端でなく、DVDのモニター画面ではもったいない。ぜひ、劇場の大スクリーンで見たほうがいい。

もちろん、ストップモーションの技術もずば抜けていて、CGかと見間違えるのだが、随所に盛り込まれたアニメとの相乗効果でフルカラーのオサレなコミックを読んでいるかのようだ。
で、その一方で乱闘シーンになると日本のギャグマンガ的に丸い煙の中でドタバタとやるという手抜き(?)描写に大笑い。

犬たちをはじめ、アタリ少年、コバヤシ市長、アメリカ人留学生トレイシー、渡辺教授などなど偏見のステレオタイプでいて、微妙に外しているキャラクターも楽しい。(たぶん、計算づく)

ワタシが観たのは吹替版で犬は流暢な日本語を話すのだが、アタリ少年はたどたどしい日本語。オリジナル言語では犬は英語、人間は日本語を話すらしく、全員日本語を話すと混乱はなはだしい。

犬の会話が人間に通じているかどうかが判然としないのだが、この感覚、その昔「じゃりン子チエ」で猫の小鉄とジュニアの会話が人間に通じていたのかどうかよく分からなかったのに似ている。

和太鼓を中心にした音楽もヘンテコで魅力的。脱力感にあふれ、映画の雰囲気を高めてくれる。そこで「Tokyo Shoeshine Boy」が流れるかっ!

という訳でちょっとクセのある映画がお好きな方はぜひご覧いただきたいのです。






題名:犬ヶ島
原題:Isle of Dogs
監督:ウェス・アンダーソン
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ぼくの名前はズッキーニ

2018年05月27日 | 年間ベスト3
特に意識しているワケではないが、ワタシはストップモーション・アニメが好きなようだ。

「チェブラーシカ」や「ウォレスとグルミット」シリーズ「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の一連のシリーズは観ているし、昨年も「KUBO」は外さなかった。

ということで、本作も何の予備知識もなく、人形アニメっぽいパブ写真1枚だけで劇場に足を運んだ。

アル中の母親から「ズッキーニ」と呼ばれる主人公の9歳の少年は、誤って母親を事故死させてしまい、児童養護施設に入れられる。施設にはヤク中、強盗、精神障害、児童虐待、不法移民などの親を持つ子どもたちが入れられていた。
最初は馴染めなかったズッキーニだが、子どもたちや教師、保護者役の刑事などとの交流を通し、心を開いていく。そして、新しい入所女子のカミーユに心を惹かれていく。

なかなかハードな設定でこれを実写で映像化されていたら、息苦しくて見るのが辛いのだが、ちょっぴりだけ不気味な人形が演じると辛さが和らぎ、さらにはより感情移入しやすくなる不思議。それでも環境に恵まれないズッキーニが切なくて悲しくて涙が出そうになる。

ちょっと異形だけど可愛らしいキャラクターに加え、適度にデフォルメされた世界も心地よくて、自動車やバスの描写はチェブラーシカとか教育テレビの「働くおじさん」を彷彿とさせる。

意地悪な伯母に引き取られそうになるカミーユを救出する以外、大きな波乱もなく、1時間少しで映画はエンディングを迎えるが、とても幸せな気分になれる。エンドクレジットの空の青さが印象的。

今回、残念だったのが吹替。主人公のズッキーニのVCが峯田和伸なのだが、声がオッサン・・・。






題名:ぼくの名前はズッキーニ
原題:Ma vie de Courgette
監督:クロード・バラす
声の出演:峯田 和伸、麻生 久美子、リリー・フランキー

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