アイゼンハワー元帥が第二次大戦直後に書いた回顧録。
出版は昭和24年(1949年)と60年前。図書館で書庫の奥の奥から保護袋付きで貸り出した。
これが面白い。分類は戦記なのだろうが、戦場の描写は少なく(オマハビーチの激闘とかマーケット・ガーデン作戦のような大戦闘も数ページでさらりと描かれる。)、むしろ「戦争システムの運用」といった話が多い。
そこには、アメリカ軍の編成に始まり、経験の積み上げさせ方、兵站、新兵器の開発、他の連合国への政治的配慮、マスコミとの付き合い、ジューコフ元帥との友情にいたるまで、様々な話題が盛り込まれ、まさに「管理職オブ管理職」のような内容。(ヨーロッパのアイゼンハワーは究極の管理職だ。)
こんな面白い本がなぜ再版されないのか不思議で、政治的な配慮でもあるのかと勘ぐってしまう。
60年前の翻訳とはいえ、今でもそのままで十分読める読みやすさ。(「ロンメル軍」を「ロメル軍」と表記しているあたり、時代だね。)著作権の権利が切れているので、もうすでにパブリック・ドメインになっているんだから、誰か再版せんかな。
(とはいえ、「フランス植民地兵」を「アフリカ土人部隊」としているのは、手直しが必要だろうな。)
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