kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ヴィクトリア

2016年06月26日 | ★★☆☆☆
日時:6月26日
映画館:シネツイン

ベルリンでカフェの店員をやっているスペイン人のヴィクトリアちゃん、クラブ帰りに知り合った男性4人組と意気投合し、楽しく遊ぶのだが、そのうち犯罪に巻き込まるというサスペンス。

この映画の見どころは、なんといっても140分のワンカット撮影。ベルリンの街を疾走する主人公ヴィクトリアちゃんにカメラが片時も外れず付いていく。

映画好きとしては、ワンシーンワンカット技法が光る映画は大好き。製作現場を感じさせる独特の緊張感は映画ならでは。

なのだが、この映画では残念ながら、その緊張感があまり伝わって来ない。
良くも悪くもワンシーンワンカット撮影の醍醐味はそのトリッキーさにあるのだと思う。例えば、「グッドフェローズ」で冷凍トラックの中から死体が発見されるシーンの滑り込むようなカメラの動き、「ブギーナイト」のプールに飛び込むパーティーシーン、「狼の死刑宣告」の立体駐車場を上下に行き来する技術、「ハードボイルド」のエレベーター移動を交えた大銃撃戦・・・
フレームの枠外で計算しつくされたダンスのように動き回る製作陣を感じさせてくれる。

もう一つの醍醐味はモブシーン。
「史上最大の作戦」の自由フランス軍の上陸シーン、「ヨーロッパの解放」のベルリン国会議事堂での死闘、「トゥモローワールド」のエンディングの大混乱・・・
これもまた製作陣の金と手間のかかり具合を感じさせてくれる。

バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」みたいな変則ワザを含め、ワンシーンワンカットの事例を持ち出すときりがないくらい、やっぱり好きなのだ。

ところが本作では140分という長尺こそ見どころだが、登場人物が少なく、また撮影技術の進化もあって、小型カメラと大容量のディスクがあれば撮影できるよなって難しくないかのように誤解させてしまう。

車に4人が押し込められて移動するシーンの撮影などは、撮影クルーの狭苦しさを感じさせるのだが。(車のウィンドウがみるみる結露するのはご愛嬌。)

また、カメラが主人公の横にひっついているため、画面に広がりがなく、息苦しいような映像が続くのは問題かな。

さらに、物語の展開が時間的に早過ぎるので、主人公の性格がよく分からず、説得力に欠けるあたり、もう少しストーリーと脚本にひと工夫があってもよかったと思う。

ところで、この事件、おそらく半径500メートル以内で起きているのだと思う。多分、すぐ逮捕されるぞ。






題名:ヴィクトリア
原題:VICTORIA
監督:セバスチャン・シッパー
出演:ライア・コスタ
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