神奈川絵美の「えみごのみ」

美の変遷・この半世紀


銀座のミキモトホールで開催中の
「広告に見る美の世界」展。(~来年1月13日まで)

撮影OKとのことだったので、いくつか
印象的な写真やポスターなどをカメラにおさめました。

これは……

1959年、美智子妃殿下ご成婚の年の広告。

それまでは、簪や帯留めといった和の装飾品には馴染みがあっても
庶民にとっては洋装のアクセサリーは縁遠かった時代。
これで「結婚式にはパール」の認識が一気に高まったそう。

別のポスターだが、
「ネックレス8000円~、イヤリング2500円~」という価格表示もあり、
時代を感じさせる。


これは1964年東京オリンピックの記念メダル。
発売時には店頭に長蛇の列ができたそうだ。


大阪万博時にも、こんな記念ブローチが。


そして、個人的に少なからず衝撃を受けたのが

「GOLD AGEの皆さまに」と書かれた店頭ポップ。
このお姐さんが、
   …江戸紫の無地に銀の帯、帯締めを斜めにして粋な着こなし。
手にはタバコ(詳しくないのですが、キセルの柄の先にタバコがついている)。
文面を読むと、40歳以上くらいを「GOLD AGE」と呼んでいるようだが、
私も含めた現代の40代を思うと、ヴィジュアルにギャップが……

この展示では50年代からの代表的な広告が、ほぼ時系列に掲示されており、
今でいう「美人」とはちょっと方向性の違うモデルさんの広告も数多く、
それが却って、
「そうだよねー、日本人ってこうだよねー」と妙に共感を呼ぶ。


クリエイティブの面でも、興味深い展示がたくさん。

こちらは里見宗次というデザイナーが手掛けた
ミキモト超初期の広告。
日本では一般にそう知られた存在ではないが、
時代的には藤田嗣治と同じで、
パリでは万博(1937年)ポスターを初め、数々の受賞歴を誇り、
藤田とともにとても有名だったそう。


そして、こちらは私もかすかな懐かしさをもって
思い出される、
広告会社「ライトパブリシティ」の作品。
1951年に創立されたこの会社には、秋山晶、和田誠、
篠山紀信といった各分野のビッグネームが在籍した。
1950-60年代とは思えない、斬新なデザイン。


この展示、宝飾品はない分地味目ですが、
先に書いた美智子さまご成婚の時代の広告や
割と現代に近いインターナショナル色の強い広告など
クリエイティブ畑の人、好きな人にはなかなかの見応えあり。
入場無料ですし、待ち合わせや時間調整にもお役立ちです。

コメント一覧

神奈川絵美
はつきさんへ
こんにちは
>不思議と成長期のエネルギー
そうなんですよね。カオスのような中で、一般大衆に
受け入れられるスタイルを模索していったのではと
思います。
経済的にも、まあオイルショックなどはありましたが、
前向きで明るい未来を、みながビジョンとして
もっていた時代だったのでは……。
はつき
ご無沙汰してます
http://blog.goo.ne.jp/asochan0930
ご無沙汰しています。
興味深い展示会のご紹介ありがとうございます。

大人が大人らしい時代だったのだな・・・という印象を受けました。
そして、なんというか…やぼったいところもあるのですが、不思議と成長期のエネルギーのようなものも感じます。モデルさんが生き生きしているから?また成長期の時代の雰囲気を反映しているのかもしれないですね。
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは
コピーライトという言葉もこのころ生まれたのでしょうか。
こういう「カオスの時代」に一定のスタイルを生み出し
広めるって、すごいエネルギーだと思うんですよね。
年明けもしばらくは開催していますので、
よかったらぜひぜひ、ご覧になってみてくださいね。
Tomoko
こんにちは。
やっぱり「ライトパブリシティ」に反応しちゃいますね。笑
師匠である灘本唯人氏から、この当時銀座で宇野さんや和田さんや横尾さんらが毎日のように集ってお茶しながら一杯やりながら、広告の話やイラストレーション(という言葉自体当時はまだ普及していなくて)という分野の確立についての話など喧々囂々話し合っていたなんてエピソードをうかがっては、時代の雰囲気を妄想したものでした。
私も時間があれば覗いてみようかなって思います。
神奈川絵美
とうこさんへ
こんにちは
>着物を着るようになると
そうですよね。私も、パールに限らず
ネックレスやイヤリングはもう全然、出番がなくて。
ファーコートも然り。
まあでも、物欲はないに越したことはありませんよね
とうこ
昭和の広告・・・今も新鮮な感じがします。
帽子の方、少なくなりましたよね。私も帽子大好きです。

ミキモト真珠は、憧れです。
でも、着物を着るようになると、ネックレスはしないので、少し欲望?はなくなっているのですが・・・。
神奈川絵美
朋百香さんへ
こんにちは
朋百香さんのような、アートなお仕事をされている
方には、とても面白い企画だと思いまーす
キセルのお姐さん、お母さまと同じくらいの
世代なんですね…内面の強さが出ていて
カッコいいですよね。
一方、宝飾店の広告のモデルとしては、
現代から見ると斬新な感じがします。
これも時代の流れなんでしょうか・・・。
神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
以前「装苑」の展示を観たときにも思いましたが、
洋のテイストを積極的に盛り込み、かつ
日本人に合わせようとしているところなど
広告の世界でも共通しているなあ、なんて。
太陽の塔、キッチュで(失礼!)可愛いですよね。

帽子、私は個人的に好きで、
冬のファーコートには欠かせないアイテムなんですが
(もっとも、和服を着るようになってから
ほとんど出番はありませんが…)。
世界的にみて、昔のフィルムに出てくるような
帽子ファッションって、少なくなったような・・・。
朋百香
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
おお、良い展示を教えて頂きました。
あのキセルのお姐さん、ちょうど私の母くらいの
時代だったかと・・・(雰囲気がそんな感じです)
懐かしいですねぇ。この時代を考えると現代の人は
40代も50代も若いですね。
時間が合えば行ってみたいです。
りら
昭和ってモダンな時代だったんだよなぁ、と改めて感じました。
この太陽の塔、今欲しい~!

そう言えば、いつ頃から日本の女性はあまり帽子をかぶらなくなってしまったんでしょう?
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