この写真の帯、どのように創られていると思いますか?
↓
-繊細なレースを貼り付けている?-
残念、違います。
アップで見ても、・・・やっぱりレース?
実はこれ、すべて手描き。
知っている人は知っている、仁平幸春さんの渾身のシリーズ
「ベネチアンレース」の最新作なのです。
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もう会期が残り少ない(6月5日(日)まで)けれど、
今、横浜市の山本きもの工房では、代表であり和裁士でもある山本秀司さんが
これはと選んだ「良きもの」を展示販売している。
例えばこちら。
光をよく反射する綾織で、しなやかな風合い。
もし作家物だったら60万円はしそうな、草木の下染めの着尺だが、
何と15万円~。
会期中ならさらに割引の特典も。
・・・というワケで、
今、お誂えをご依頼している「マーブル小紋」他の打ち合わせも兼ねて
遊びに行ったのだが、
そこで見事に「かかって」しまった。
仁平マジックに。
こちらは前柄。
関東巻きでは上の柄が出る。
ヨーロッパのハイジュエリーを連想させるようなデザイン。
しつこいようだが、
すべて、手描きだ。
・・・と、ここで着物好きな方なら、あれっと思うかも知れない。
-これ、夏帯でしょ?
生地は、何なの?-
私が手描きと何度も書くのには、理由がある。
それは・・・
帯地が、レース地だからだ。
銀糸の入った透け感のある生地。当然目は粗い。
そこに、このようなレースを模した柄を「描く」ことの難しさは・・・
ここまで書けば、もう誰にでもわかってもらえるだろう。
「だから、“レース オン レース”なんです。」と山本さん。
決して量産できないこの試みに、仁平さんも「山本さんの頼みだから」と
今回取り組んだとのこと。
これだけでもクラクラするのに、
よくよく柄の部分を見ると・・・
「あれっ、色がついていますね。玉虫色みたいな・・・」
「これ、僕が染めたんです」 エエ!?
この赤系~緑系にほんのり色づいている部分は、表生地ではなく、
芯を染めたもの。
「柄のどのあたりにどんな色がきたらいいか、を、何度も表生地と重ね合わせては
確かめ、決めていったんです」
芯の素材そのものも、数え切れないほどあるサンプルから、染めに適していて
表地とマッチするものを選びぬいたそう。
「あの・・・ 山本さんが指示して職人さんが染めた・・・?」
「いいえ、僕が自分で染めたんです(語気強め)」
-はああ、スミマセン。あまりにも、手のこんだすごい作品なので・・・-
そして私は、この“仁平幸春×山本秀司のダブルネーム”をいただいていこう、
と決心するのに、その後10分もかからなかった。
仕立て上がりで飾ってあったこの帯、
私にとっては一からのお誂えではないけれど、
今のところ、世界にたった一本。
話題になったら、もう一本、二本・・・と創られるのだろうか。
創って欲しいような、欲しくないような。
※仁平幸春さんのサイト「dye works Foglia」はコチラ
※山本きもの工房、山本秀司さんのブログはコチラ
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