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日中は爽やかな着物日和。
藍色の大島に、“今年イチオシ”のわんこ羽織にしてみた。
帯は、季節柄……
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ホントは、この紅葉帯をもっと締めないと
時期を逃してしまうのだけど。
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+
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TOO MUCH!
ごちゃごちゃしそうなので、帯はシンプルで明るい色目のアーガイル柄に。
帯揚げ→薄オレンジ
帯→卵色
帯締め→緑
羽織紐→赤
カラフルだけど、散漫にならず、
これらの色のハーモニーはとても、気に入った。
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さてこの案件の担当編集者は、
30代だろうか、私より10くらいは年下に思われる男性で、
なれなれしくもなく、よそよそしくもなく
抑えたトーンでぼそぼそしゃべり、
世間話もそこそこするけれど、盛り上がるでもなく
顔の表情があまり変わらず、
真顔でいると、本人は怒ってないのにちょっとムッとして見える、
微妙につかみどころのない人。
でも私も基本シャイなので、
沈黙があっても苦にならないし、居心地は悪くない。
そんな彼と駅で待ち合わせし、いざ取材先へと歩き出したとたん、
「…かわいいですね。」
へっ!?
「…その傘。」
開いた日傘が目に留まったよう。
とりたてて特徴のない、デパートのワゴンセールで何年も前に買った
もう古びてしまった傘だけど……これが、かわいい?
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これのどこがかわいいのか、聞いてみたい気もしたが、
話を深堀りしていいものか…何の気なしに言ったかも知れないし。
「そ、そうですか? どうというものでもないですけど」で話を切ってしまった。
そして、取材先に着き、応接室で待機中。
私が「今日のインタビュー内容に関連する資料です」と、
難しめの医学用語が散りばめられたA4の紙数枚を渡したところ、
「…かわいいですね。」
へっ!?
「…このクリップ。」
医学用語のどこがかわいいの!?と焦ったが、
彼が見ていたのは
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資料を留めていた犬型のクリップだった。
ここでも私は返事に窮し、
「ふ、ふつうの文房具店に売っていますよ。」で一度は切ってしまったが、
あっ、そういえばと気づき
「そうそう、この羽織も! 犬柄なのよ」と、袖を彼の方へ差し出した。
すると彼
「おおおー! 本当だ! 犬! かわいいですね!」
声に生気が宿り、トーンが上がった!
普段、小声でぼそっとしゃべる彼と
「かわいい」という単語はどうしても結びつかない。
でも意外と、プライベートでは「かわいい」ものが好きなのかも
知れないな。
というワケで、
この「ワンコ羽織」のネタ披露先となった最初の人は、
「あのう…。この着物と帯って、つながっているんですか?」
というレベルの質問をしてくる、
着物について非常に教え甲斐のある男性でした。
あと数回会ううちに、着物の基本、教えちゃおう♪