神奈川絵美の「えみごのみ」

ユーミンのラジオから #3 -優しい月-

私が15歳のときに書いた、とある日の日記


……をもとに、帯を創るという、無謀ともいえるオーダーを


快く引き受けてくださった染色作家 仁平幸春さん。
工房スタッフの甲斐さんとスリーショット。

お渡ししたのは日記の文章だけ。
そこから仁平さんに自由に発想をふくらませて
図案化していただく、というもの。

最初の打ち合わせが確か4月下旬。
それから工房のお引越しが急に決まったり、
展示会が続いたりして少し、足踏みしていたのですが、

-図案ができました-
仁平さんから11月初旬に、ご連絡をいただきました。


それが、コチラ。


(図案もやりとりも、ブログ掲載の了承を得ています)


-テーマが深いので、非常に悩みました。-と仁平さん。

-最も印象に残ったのは、
「生き別れも、死別も、そんなに悲しい別れじゃない。
一番つらいのは、時間を隔てたために会えない、ということ」
という言葉。
とはいえ、(せっかく帯にするのだから)暗くなってもいけませんし……-

いろいろ考えていたら、「ピコーン!」とひらめいたそう。

-帯なのだから、一つの画面にまとめるのではなく
お太鼓と前柄で
そのテーマを表せば良いんだ!-

そこで
「お太鼓の大きな花と、前柄の小さな花を、細い蔦でつなぐ」案が浮かんだのだそう。


つながっています。


……仁平さんの説明を読んで、
私は、まるで絵巻物みたい、と、
そのアイデアをとても好ましく思いました。
手先からお太鼓にかけて時間が流れていって、
前柄とお太鼓は物理的にも四次元的にも、
重なることは決してないのだけど、
どこかでつながっている…と思える安心感、

-のようなものを表現できれば-とも、仁平さんはおっしゃっていました。


地色は、今まで仁平さんに創っていただいた2本がいずれも
白系だったので、
今回は暗めで、と、あらかじめリクエスト。

モチーフについては、
「仁平さんの描く花が好き」と事前に伝えはしたものの、
特にこれを入れて、というような指定はせず。
なのですが、今回も「月」が入っていました。
おそらく地色との関係からだと思います。

仁平さんに今まで創っていただいた帯

「月 と わんこ」


「月影のコンサート」

いずれも月が入っています。


今回の帯の図案は、
花や蔦が物語の主役なのですが、
私は何となく、脇役だけれど
一連の物語を何も言わず見守っている月に
心を寄せてみたくなり。

「優しい月」-まだ仮置きですが、そんなタイトルが
浮かんできました。

さて、いただいた図案に対して、
私が2、3、ご提案やご相談をさせていただいたことは……

長くなってしまったので次に回しますね。
※日記の全文はコチラに掲載しています。
※Foglia工房についてはコチラをご覧ください。

コメント一覧

神奈川絵美
セージグリーンさんへ
こんにちは
地色は、青みがかった墨色を考えてくださって
いるそうです。どんな色になるのかな、楽しみ
色はもちろん、線のタッチやぼかし加減でも
印象はずいぶん変わりそうですよね。
セージグリーン
ユーミンの詩からを読み込んで、それをこんな
ファンタジックなお花の絵柄に、、、さすがは仁平さんですね。
暗めの地色にお花が浮かび上がるのですね。
どんなお色目になるのか,楽しみです。
神奈川絵美
香子さんへ
え~、そんなそんな、観念しないで
ぜひぜひ香子さんも

こんなに大きなお花は、澤田麻衣子さんに
創っていただいたLOVE ROSES以来なので
私も楽しみです
香子
わ〜、早く出来上がりが見たいです♪
仁平さんにいつかは帯を…と思っておりましたが
自分はもう無理と観念しましたので
絵美さんの御誂えをとても楽しみにしております
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