文字通り、圧巻でした
嵐のような感動といいましょうか
「吉野川」、すばらしすぎました・・・
きっちーさまと、玉三郎さん、
人間国宝の凄みって、本当に全然別格だと思いました。
吉野川をはさんで敵対する、
大判事(だいはんじ、きっちーさま)家と、太宰少貮後室定高(だざいしょうにのこうしつ・さだか、玉三郎さん)の家
背山を竹本の葵太夫(あおいだゆう)さんが、
妹山を愛太夫(あいだゆう)さんが、哀切にそれぞれ語り始めます。
ところが、敵ながら愛しあう若いふたり、久我之助(こがのすけ)と雛鳥(ひなどり)の美しさ。
染五郎さんと菊之助さんが大変美しいです。
そして、歌舞伎座に特別に設けられた両花道から登場する、
きっちーさまと玉さまがほんとうに輝くばかり
堂々たる風姿のきっちーさま
決然とした意志を秘めた玉さま
ふたりとも、物語のキーポイントとなる、
桜の枝をもっての登場です
きっちーさまが語ります。
「畢竟(ひっきょう)、親の子のと名を付けるは人間のわたくし。
天地から見る時は同じ世界にわいた虫。
イヤモウ別に不便とは存じ申さぬ」
息子・久我之助の運命をさとっているのでしょうが、
その背中には、人間の業(ごう)のようなものを
感じさせます
玉さまがそれに応えます。
「おなごの未練な心からは、我が子が可愛ゆうてなりませぬ」
娘・雛鳥もまた悲惨な運命をたどるのですが、
このときは大判事に毅然として相対する
一国の主ともいうべき、風格をそなえています
ところが、ここから、両家のかなしみがはじまります
息子と娘は、やはり死を選び、愛を成就させんとします。
それぞれ愛する子供たちを涙ながらに
手にかけることになる、大判事と定高・・・。
ふたりの慟哭と和解がまた泣けます
きっちーさまの名台詞がまた見事です
「いかめしく横たえし大小(刀のこと)、
せがれが首切る刀とは、五十年来知らざりしか」
「命を捨つるは天下のため、助くるはまた家のため、
気遣いせずと最期をきよう、
花は三吉野侍の手本になれ」
怒涛のごとく、久我之助とすごした日々を述懐しつつ、
涙をこらえて、息子を討ちます。
玉さまとの、「あいやけ同士」といたわる姿に
人間の運命の皮肉をおもわずにはいられません
玉さまも大熱演で、涙をいっそうさそいます。
「せめて一人は助けたさ」
「大名の子の嫁入りに、乗物さえもなかなかに」
と、雛鳥の首を、ひな祭りの駕籠(かご)に乗せて
吉野川へ流す、すさまじい演技です
ふたりの当代きっての名優が、
命をけずっての名演を繰り広げました
安易に「感動しました」とはいえないほど
人間の宿業のようなものを感じました
そして、家族とは、国家とは・・・。
大変スケールの大きな舞台で
歌舞伎座でみたときの感激と緊迫感が
またよみがえりました
すばらしい舞台をありがとう!
きっちーさま、玉さま、染五郎さん、菊之助さん