おれこの数少ないおともだち。
おうちの敷地から出たことのない、柴犬の女の子。
まだ若い。
その子はいつもオレコのことを待っている。
じーっと、待っている。
いつだって外に出ているわけでないので、
時々しか会えないんだけど、会えるときは、
お互いうれしくなっちゃって、
ひーんひーーん、くるくる、とダンスしながら、
門越しにオレコを大歓迎してくれるのだ。
オレコもやっぱり、ひーん、ひーん、といいながら、
門の外をくるくる回ってる。
あんまりふたりで騒ぐので、
中からお母さんが出てきて、いろいろ教えてくれた。
以前ここのおうちのお父さんが、そのうちのもう一匹のわんちゃんとお散歩に出てたときに、
世間話をして、その時きいた話では、後ろ足が不自由で外に出られないっていうことだった気がするけど、
お母さんの話では、そうではなくて、とってもとっても臆病で外に出られないってことだった。
オレコと一緒だね。
それ以外には、1歳の女の子であるということ、キミーちゃんという名前であること、
体重がオレコの半分くらいの、6キロしかないということ、などを教えてもらった。
最後に門を開けてくれたので、初めて、お鼻チューをして、二人とも喜んでいるようだった。
いつも不思議に思うのだけれど、特に知り合いでもないのに、眼と眼が合うだけで、
ある程度の何もかもが通じ合うっていうのは、すごいことだよなあ。
あの二人は見た瞬間、お互いに好きで、通じ合うって、わかったんだものねえ。
好きという気持ちは、不思議だねえ。